Ep.1-5

高校2年生になった。

4月。東村さんは、異動がなかったようで

いつものように事務室にいた。

「今年もよろしくね。」

「こちらこそよろしくお願いいたします!」

という挨拶を交わした。

私は、

お昼休みには配電室の

放課後には生徒会室の

鍵を借りに事務室へ行くことになった。

途中から先輩方が配電室の合鍵を作っていたことを知っていたけれど、

私はとても真面目だったので

毎日、事務室へ行った。


委員会のこと以外には

だれそれと付き合ったり

だれそれに告白されたり

だれそれに告白したり

そういうことをやっていた。

中学時代にはなかったことが

楽しくて仕方がなかったのだと

今なら分かる。

調子に乗り始めていた。

もともと勉強が好きだったので

成績はいつもかなり上位だったため

先生たちからの評価も高かったから

大抵のことは許してもらえてた。

それを鼻にかけることはしなかった。

私は努力していたから。

愛想よくしていたのも

先生たちに気に入ってもらえることは

私の中で大切なことだったから。

東村さんも、私が成績よかったのを知っていて

「テスト良かったんだって?」

と言われることがあった。

昨年は挨拶だけだったけれど

この時くらいから、

世間話もするようになっていた。

校内で見かけたときは

挨拶するようにもなっていたと思う。

他にも用務員さんや警備員さんとも仲よくしてもらっていた。

だから

東村さんは

その中の一人のお兄さん

くらいにしか思っていなかった。

彼氏ができたときは

「いいなぁ。俺も彼女ほしいなぁ。」

と言っていて

結婚していないんだと

不思議に思ったこともあった。

文化祭が近くなると、忙しさは倍増して

なんだかよく分からないうちに

当日を迎えていた。

その後は

またじゃんけんで負けて委員会の三役をやることになった。

私は委員長になったけれど

本当は委員長になりたい子が別にいて

その子から猛烈に嫉妬され

ものすごい攻撃を受けていた。

サポート役が得意だった私は、

トップとしての力はなく

委員会の中で浮いてしまって

東村さんに

愚痴を聞いてもらっていた。

私の高校生活は

友だちや先生たちだけではなく

職員の方にも

支えてもらっていたんだと

わかった。

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