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#読書ノート
読書ノート補遺2:読書ノートをやった意義
こちらでは、いくつかの角度から「読書ノート」の意義を感想ベースで書いていきます。ゆるい話なのでご安心ください。
感想
簡単に感想を述べさせていただきましょう。まず、やってよかったかどうかでいうと、明確に良かったです。該当のテクストは、記事の題材にする前に何度か読んでいますが、読書ノートの記事にしていくなかで多くの発見と知的興奮がありました。
一方で、読んでいただいている方のお役に立ててい
[読書ノート]最終回
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最後の講義(1984年3月28日)の最後の言葉――「以上です。こうした分析の一般的枠組みについてみなさんにお話すべきことがあったのですが、しかしもう遅いのでここまでにしましょう。どうもありがとうございました。」
この「お話すべきこと」に該当する、草稿として遺され語られることのなかったテクストの内容を、追加の言葉を補ったり変えたりしながら(テクストの構成を相当変えつ
[読書ノート]27回目 3月21日の講義(第一時限)
講義集成13 1983-84年度 339頁~365頁
今回のまとめ
自己が放棄された王(主権)
目標は人間(人類)の生き方を変えること
別の世界は可能だ
フーコーは講義の最初に「かなりひどい風邪を引いてしまって」最後まで講義をできるかどうか分からないと述べる。これはおそらく風邪ではない。そもそも一月に大きく体調を崩しており、その後、三月に定期的に病院に通っているが、それは診断を求めるも
[読書ノート]26回目 3月14日の講義(第二時限)
講義集成13 1983-84年度 317頁~338頁
今回のまとめ
伝統的哲学をご破算にする
ルッキズム批判の元祖!?
哲学者は悪口を言われてなんぼ
フーコーは、真の生というテーマをキュニコス主義が反転させ、それによる、真の生の別の生への移行、転倒、変容こそキュニコス主義のスキャンダルの起源であると述べる。【今回は4つの反転のうち3つがとり上げられます】
隠蔽されざる生の反転原則のラ
[読書ノート]25回目 3月14日の講義(第一時限)
講義集成13 1983-84年度 293頁~316頁
今回のまとめ
平凡な哲学をスキャンダルにする
あらゆる価値の価値転換(←ニーチェ)
生が真であるためには、ラディカルな別の生でなければならない
古代におけるキュニコス主義哲学の内部にあると同時に外部にある
キュニコス主義を理解することに困難があるとしたら、それ自体としては単純な逆説のためである。
一方において、キュニコス主義が提
[読書ノート]24回目 3月7日の講義(第二時限)
講義集成13 1983-84年度 275頁~291頁
今回のまとめ
真理という言葉の4つの意味
ソクラテスの継承者としてのディオゲネス
キュニコスは、哲学の極端化
真の生というテーマ政治倫理としての真の生
キュニコス主義は、始めから終わりまで(ディオゲネスからグレゴリオスに至るまで)、真理を表明し真理表明術を実践するそのようなやり方として、つまり生の形式そのものにおける真理の産出とし
[読書ノート]23回目 3月7日の講義(第一時限)
講義集成13 1983-84年度 243頁~273頁
今回のまとめ
キュニコス主義の学説はほとんど残ってない
生のための教育と武装
まぁた、革命かよ
今回の講義の大枠は、古代のキュニコス主義の歴史を検討することが困難である理由(4つ)の紹介と説明です。しかし、読み取るべきは、その説明のなかで抽出されるキュニコスの特徴とその意味です。つまり、読書ノート(特に見出し)の構造は4つの理由によ
[読書ノート]21回目 2月15日の講義~2月29日の講義
講義集成13 1983-84年度 89頁~206頁
今回のポイント
やっぱりソクラテスは近代につづく哲学の創設者
西欧合理性(の偏り)は根深い
倫理を考えるにしても2つの道がある
はじめに講義の流れの概観
前回は、政治の領野におけるパレーシアを話題のベースにして西欧哲学の特徴について――一方(20回目)では、預言、知識、技術の態度から区別される、パレーシア的態度で特徴づけられ、他方(
[読書ノート]20.5回目:哲学的言説の独自性
講義集成13 1983-84年度 82頁~83頁
20回目は、他と比べて短かったと思います。それは、文脈に組み込めなかった部分を飛ばしているからです。その部分とは、「西欧哲学の根本的特徴である3つの極」と「「真なることを語ること」の4つの方式」の間にあり、内容としては、哲学的言説が、科学的言説や政治的言説や道徳的言説とどのように違っているか、というものです。
実際、ギリシア以来、我々の時代
[読書ノート]20回目 2月8日の講義(第二時限)
講義集成13 1983-84年度 71頁~87頁
今回のまとめ
君主−助言者の関係なら「倫理的差異化」をつくれる
魂に対する実践としてのパレーシア
哲学における4つのやり方(態度)が定義される
パレーシアの問題化の第二の側面は、いわば問題化を補完するポジティヴな面。すなわち、「真なることを語ること」のために好都合な場所としての君主とその助言者との関係。
君主との関係にパレーシアの場所
[読書ノート]19回目 2月8日の講義(第一時限)
講義集成13 1983-84年度 43頁~70頁
今回のまとめ
みんなが恐れなく発言できるなら、そこに勇気の居場所はない
民主制に欠けているのは「倫理的差異化」
王制や貴族制は可能だが民主制は不可能@アリストテレス
講義の最初にフーコーは、都市国家へと方向づけられ関連づけられたパレーシアから、エートスへと方向づけられ関連づけられたパレーシアへの変容を通じて、真なる言説の実践形式としての
[読書ノート]18回目 2月1日の講義(第一時限〜第二時限)
講義集成13 1983-84年度 3頁~42頁
今回のまとめ
パレーシアにおける「勇気」について、詳細
類似/対立的言説として、預言・知恵・技術(教育)
現代のパレーシアとしての、革命・哲学・科学
講義の最初にフーコーは、体調を崩したため今年度の講義を一月初めから開始できなかったことを詫びる。講義の冒頭は、過去のフーコーの研究がどのようにしてパレーシア研究に遡っていったか、ということと
[読書ノート]17回目 3月9日の講義(第二時限)第一部 完
講義集成12 1982-83年度 441頁~465頁
今回のまとめ
基本の構図は「ペリクレス的パレーシア」と「ソクラテス=プラトン的パレーシア」
弁論術は社会を不平等なものにするための道具
師と弟子との対話で作用する性愛の術
『ゴルギアス』のなかの2つの場面が取り上げられ、哲学的パレーシアの三つ目の特徴が素描される。
『ゴルギアス』 ポスト=プラトン的分類において「弁論術について」とい