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別居婚のリモート名づけ会議

我々夫婦は妊娠中も別居だったので、つわりや骨盤の痛みや、胃もたれや胎動で眠れない等のマイナートラブルを、全て1人で乗り越えなければならなかった。

それでも、夫に”子どもがお腹で大きくなる実感”を持ってもらうため、1ヵ月に1回、出産が近づいてくると2週に1回になる検診に合わせ、新幹線で東京まで来てもらい、なるべく病院へ同行させ、エコーを一緒に見たりした。


そんな妊娠期間、だんだんと出産が近づいてくる中で、考えなければならないこと。

『子どもの名前』

そもそも同居していたって、名前はどうやって決めたらいいのだろう?


第1弾:読み合わせ

名づけの方法は夫婦・家族によって様々だろうが、我が家はまずヒントを得るために、某妊娠・出産雑誌の付録についてきた名前辞典をぱらぱらめくり、苗字とバランスの良さそうな名前をピックアップするところから始めた。

とりあえずインプットを増やす作戦。

泥臭いのだが、子どもの性別がほぼ判明した後に、”男の子の名前”のページを”あ”から順に、苗字と併せて読み上げる方式で、

「こんな名前あるのね」
「こんな漢字あるね」
「これ響きがいいね」
「音数はこれくらいがバランスいいね」
などなど。

ここでは何の絞り込みもしなかったが、これから名前を考え始めるぞというスイッチを押すと言うか、プロジェクトのキックオフというのか。

ともかく、我々の名づけプロセスの中で唯一オフラインで行ったのが、この”読み合わせ”だった。

このとき、大体妊娠6か月。

ここからしばし時間が空く。


第2弾:個人準備

とはいえ、子の成長は待ってくれない。

ぼーっとしていたら、いつの間にか生まれてしまう。

別居婚からの里帰り出産だった私は、退院後夫に母子手帳を郵送し、諸々の手続きを行ってもらう予定で、夫に休みを取ってもらって手続きに行ってもらうことや、児童手当や健康保険の申請〆切、そしてその後すぐに出す予定の保育園申請のことを考えると、そんなに悠長に出生届を待ってられない認識だった。

出産までに夫とコンセンサスを取って、多くても3つまで名前の候補を絞っておかなければ。

そして、生まれてきた子どもの顔を見て、ファイナル・ディシジョンを決めよう。


だんだん妊娠・出産がプロジェクトのように思えてきて、子どもの名づけに対して、変なカタカナ使い始めたぞ。(普段仕事にも使いません)


ちなみにこの時考えたことは
・季節を連想する漢字を使用する
・発音がしやすい
・長すぎない
・流行りすぎていない
・読める
・できれば姓名判断が良い
といった項目を満たす名前。

考え始めると意外と要求事項が多いことに気が付いた。


第3弾:リモート名づけ会議

2018年の上期、今年の流れを先取るかのように、我が家の名づけ会議はフルリモートで行われた。

この時点で里帰りも終え、妊娠9ヶ月。

あらかじめブックしておいた会議日程に向けて、お互いにプランを作成しプレゼンする。

その日、ディシジョンメイキングに至らなかった場合のために、予備日も設けた。


もはや何を書いているのかよくわからないが、やったことは簡単。

Facetimeでビデオ通話しながら、令和おじさんのごとく紙に書いた案を発表していくだけ。

自分的第3位から第1位まで発表したのだが、私は個人的にこれがとても恥ずかしかった。

なんというのか…ゲームのキャラクターに付ける名前を本気で考えるような、そしてその名前を誰かに見られて「あいつ○○って名前つけてるぜ」って言われるかのような…
そういう恥ずかしさ、わかる人いますか?


恥ずかしさはあるものの、名前は最終的に届け出るものだし、まず発表し合わなければ進まないので、頑張った。

ちなみに私が考えたNo.3は夏生(なつき)、No.2は風汰(ふうた)。

夫が考えたNo.3は朔太郎(さくたろう)、No.2は悦司(えつじ)だったかな…ぶっちゃけ忘れた…。

さて、お互いに考えた名前を発表し合ったものの、ここからどうやってまとめるか?


出産からの出生届提出

2人の候補、全然違うじゃん、となったリモート会議だったが、第1回終了時点で「お互いの1位案を合体させればいいのでは」と、おそらくお互いに思いついたため、第2回の会議ではすんなり「これだよね」と案は1つになった。

いや、でも私としては「生まれてきた顔を見たらイメージと違う!」ということを避けるために、できれば候補は複数欲しかったんだよな。

まぁ、無難な名前だし、大丈夫か…?

結局、出産までに有力なNo.2、No.3候補は出なかった。


予定日を数日過ぎたものの、おそらく極めて一般的な様子で私は出産した。

スーパースピード出産ということもなく、とはいえスーパー難産ということもなく。初産としては、まぁこんなもんでしょう、と後からなら思うが、その場はそれなりに苦痛と感動とがあって、汗はびっしょり、出血は少し多く、股は切られ、夫は感動で泣いていた。

そして、生まれた息子の顔を見て「この顔はジェームズだ…」
とはならなかった。

まぁ、生まれたばかりの赤ちゃんの顔ははっきりしないので、それもしょうがない。

今見れば、王子みたいな名前でも良かったかな?と思うくらい、息子カッコいいけど。(親バカ)

こうして息子は、我々両親の考えた名前を付けられた。


名前に込めた想いと息子に残す自由

もっとジェンダーフリーな名前にすれば良かったな、とか、もっとグローバルに読みやすい名前も良かったな、とか、欲を言えばキリがない。

でも、今のところ夫婦としては、息子の名前にとてもしっくりきている。

私が名付けをする上で気にかけた条件は、上述の通り色々あるのだが、最終的に当てはめた漢字は、意味としてもとても良いものになった。

あなたの長い人生を、人に助けられ、そして人を助け、乗り越えていけますように。


名づけって、なんて重たい仕事なのだろう。
愛を込めて、願いを込めて、
できれば同時期に生まれた友人の子らと被らず、
突飛でなく、流行りすぎておらず、
夫婦や家族内の意見を摺り合わせ、
そんなふるいをくぐり抜けて最終選考に残す。

もちろん思いつきだって良い。
生まれた日に美しかったものでも、
好きな人の名前をもらっても、
名づけ方法にルールはないのだけど、
勝手に人の大切なものを決めるのだから、ちょっと慎重なくらいが良いかな、というのが”私”の考え。


ただ、親がどんなに悩んで決めようと、最終的に名前は子どものもの。

私が敢えてここで許す必要なんてどこにもないのだけれど、でもお母さんは、あなたが色んな理由で名前を変えたいと思ったとき、自由に変えたら良いと思っているよ。


おまけ:初めて自分の名前を呼ぶとき

息子が初めて自分の名前を認識したのはいつだろう。

おそらく1歳前後には、自分の名前を言われたら反応していたように思う。

1歳を過ぎて自分の名前らしきものを言うようになったが、発音が不明瞭すぎて、いつが最初なのかわからない。


最初のころの発音は
「だーちぇ」
そう聞こえたのだ。

「だ」も「ちぇ」も君の名前には入っていないけど…。

でも本人は発音しているつもりなのが可愛い。


現在、1歳10ヶ月の息子の発音は、まだもう少しといったところ。

相変わらず発音が不明瞭なので、もしかしたら我々夫婦しか、それを『息子の名前』だと認識できないかもしれない。

まだ「ちぇ」って言っているのよね。


いつはっきりと発音するのだろうか。

これも段々と変化していくので、きっちりといつからか、というのは認識できないだろう。

いつの間にか、自分の名前をしっかり呼んでいる、ということに気づいて、きっと我々夫婦は驚き喜び、そして少しの寂しさを感じるだろうな。

それまでは、今の舌足らずな発音を思い切り愛でるとしよう。


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