見出し画像

昭和の電化製品/女性を解放した洗濯機

 「僕の昭和スケッチ」56枚目

56洗濯機

<画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5>

昭和の時代に電化製品の三種の神器として擧げられたものは、テレビ、冷蔵庫、洗濯機です。

これは、マスコミのキャッチコピーですが、私はこの3つを並列に置く事に何時も違和感を感じます。
テレビは、文化生活を豊かにしたもの。冷蔵庫は食生活を豊にしたもの…、それは間違いのない事です。よく判ります。
しかし、洗濯機の登場は「何かを豊にしたといった生易しいものではない」、と私は思います。

冬期には出来るだけ早く起きて洗濯をすまさなければ洗濯物は乾きません。
日が短いからです。そのため、女性はまだ暗い内に起き、洗濯をしたのです。真冬の早朝に外へ出て、冷たい水で桶を用いて手で洗濯をする。それはどれほど辛い労働だったでしょう。手は赤切れ、血も滲んだ事でしょう。寒冷地では更に言うまでもありません。それを女性達は皆やっていたのです。想像してみて下さい。

この過酷な労働から女性を救い解放したのが洗濯機でした。洗濯機は、テレビや冷蔵庫とは比較にならない程大きな役割を果たした電化製品なのだと思います。

洗濯機の中で泡を立ててグルグルと回る水を見つめながら母親が
「有り難い事や、有り難い事や…」
と手を合わせていたのを私は今も忘れられません。


*ちなみに、三種の神器とは本来は…
天照大神(アマテラスオオミノカミ)が瓊瓊杵尊、邇邇芸命(ニニギ)に授けた三種類の宝器のこと。天皇が皇位のしるしとして受け継いぐ三つの宝物の事。鏡・剣・勾玉をさして言う。
八咫鏡(やたのかがみ) ・天叢雲剣 (あまのむらくものつるぎ) ・八尺瓊勾玉 (やさかにのまがたま).

*この記事は、「ミニチュア陶器工房てると」さんの記事でご紹介を頂きました。有り難うございます、てるとさん。

洗濯機紹介


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?