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【取材記事】「忘れ物を取ってきて」 ちょっとの距離の“届けてほしい”を叶える、便利でエコな近距離配送サービスという選択

カフェにうっかり忘れ物をしてしまったとき、テイクアウト注文した食べ物を取りに行けないとき……。そんな困った場面に活躍してくれるのが、近距離おつかいサービス「anyCo」(以下、エニコ)。商品に限らず今すぐ届けてほしいモノの近距離配送を手配できるサービスです。自転車を使った配送スタイルは、CO2排出ゼロをかなえ、SDGsの取り組みからも要注目!

そこで今回は、エニコを運営・提供する株式会社エニキャリのナナさんに、エニコのサービス内容やSDGs観点から見たサービスの魅力について伺いました。

お話を伺った方

ナナさん
株式会社エニキャリ マーケティング本部
美容部員として従事する中、副業として2020年にUber Eats配達パートナー登録。 コロナ禍の影響を受け2021年に美容部員を退職し、Uber Eats配達パートナーを本業としてデリバリーを行いながら、Webデザインの職業訓練を修了。 2022年にエニキャリ入社、配達員の未来を創るプロジェクト「デリバリーCITY」の企画運営などを担当。副業としてUber Eats配達パートナーも継続。配達員の楽しさやポイント、お仕事情報などさまざまなメッセージをSNSで発信。Twitterフォロワー数約5,000人。 Twitter:@7nana_waku2

インタビュアー

小林慎和(こばやし のりたか)
株式会社bajji 代表取締役CEO
ビジネス・ブレークスルー大学 教授 大阪大学大学院卒。野村総合研究所で9年間経営コンサルタントとして従事、その間に海外進出支援を数多く経験。2011年グリー株式会社に入社。同社にて2年間、海外展開やM&Aを担当。海外拠点の立ち上げに関わり、シンガポールへの赴任も経験。その後、シンガポールにて起業。以来国内外で複数の企業を創業しイグジットも2回経験。株式会社bajjiを2019年に創業し現在に至る。Google play ベストオブ2020大賞受賞。
著書に『人類2.0アフターコロナの生き方』など。


「忘れ物を取ってきて」 近距離配送サービス「エニコ」ができること

小林:まずは御社の創業の経緯や事業内容について簡単に教えていただけますか?

ナナさん:創業は2019年8月です。弊社代表の小嵜が「誰でも手軽に物流を使える時代に」「巨大な経済を作り出すシェアリングエコノミー社会の実現」を企業理念に掲げ、創業した会社です。

企業と連携した短距離配達の物流ソリューション事業を展開しており、さまざまな商品をお店から消費者へ、企業からお店へとお届けする支援を配達システムと足回りの配達員の両面から提供しています。消費者向けサービスとしては、エニコの他にユーザーがサイトから注文した料理をお届けする「anycarry.jp(エニキャリドットジェイピー)」というフードデリバリープラットフォームも展開しています。

小林:あらたにエニコのサービスをリリースされたとのことですが、具体的なサービス内容について教えてください。

ナナさん:エニコは商品に限らず、忘れものや今すぐ届けて欲しいものを消費者がアプリでサクッと入力して手配できるサービスです。弊社のビジョンを実現する事業の一環として、2021年12月に提供開始に至りました。配達できるものは、大きさ30センチ×30センチ×40センチ以内、重さが5キロ以内、荷物の価額は総額3万円とさせていただいております。フードデリバリーや協業事業で培った経験に加えて、弊社はISMS認証を取得しておりますので「安心・安全」の体制でお届けします。

小林:エニコを使用するのは、消費者もしくはビジネスユースのどちらが多いんでしょうか?

ナナさん:今のところは消費者の方が多いように体感しています。例えば忘れ物やお店で事前購入したものをお店からユーザーにお届けるという内容ですね。

小林:お店からユーザーに届けるというのは?

ナナさん:代金のやりとりは原則として発生しませんので、あくまでもお客様がネットで決済したものをお店からご自宅までお届けするという配達サービスです。

小林:それはECに対応してないお店であっても可能ということですか?

ナナ:そうですね。例えばモバイルオーダーができるけれどデリバリーに対応していない店舗といったケースですね。あと、食べ物もそうですが、忘れ物といった“モノ”にも対応しています。例えばお友達に今すぐ届けたいというものがあった場合、アプリ上でお友達の住所と出発地点、配達内容を入力して、配達を依頼することもできます。

小林:なるほど。ちなみに自転車での配達ということなので、限界の配達距離は決められてるんですか?

ナナさん:そうですね、原則3キロまでとさせていただいております。1キロ単位で料金が変動していくという形になります。

小林:つまりは、郵便局や大手の配達業者さん、バイク便もあるというところで言うと、その近距離の細かなオンデマンドなニーズを拾っていってらっしゃるという感じですね。

ナナさん:おっしゃる通りですね。

小林:ちなみに雨の日も料金は変わらないんですか?

※価格は2022年7月1日現在のもので今後変更になる可能性があります。

ナナさん:はい、雨の日でも料金は変わりません。弊社は配達員に対して時給制を設けていますので、雨の日だから料金上乗せということは特段していないんです。雨の日であってもお客様には通常料金で、かつ安定して配達員を提供できるという点がエニコの特徴の一つでもあります。

「タクシーよりエニコを選ぶ」 個人の行動変容がSDGsの小さな一歩

株式会社エニキャリは注文者と店舗が手軽に利用できる注文・配達サイト
「anyCarry.jp(エニキャリドットジェイピー)」の運営も行う。

小林:続いてSDGsという観点でお伺いしたいんですが、プレスリリースの文面に「個人の行動変容」という表現を使われていたのが、とても印象的でした。私自身も自社のサービスについて伝えるとき、行動変容という表現をよく使用しています。御社の場合は消費者に対してどんな行動変容を狙って、この言葉を使われたのでしょうか?

ナナさん:これまでだったら忘れ物をしたらタクシーを使ったり、ビジネスであればバイク便を使ったりというケースが多かったと思うんですね。それを代わりにエニコを活用することで、CO2の削減であったり、シェアリングエコノミー社会の一助に知らずになるよという点で、皆さんが行動を変えていただいたら、それがひいてはSDGsに繋がりますよということをお伝えしたくて、「行動変容」という言葉を使用しました。

小林:それは配達員の配送スタイルが自転車だからということでしょうか?

ナナさん:そうですね。配送距離が3キロまでというのも、3キロをオーバーしてしまうとどうしてもバイク中心になってしまうので、なるべく自転車での提供を推進したいというところで短い距離で切らせていただいています。

小林:今までだと3キロの近距離配達ニーズっていうのは、タクシーを使う人もいれば、何かのついでにその近辺に行ったときに自分の足をのばそうだとか、あとは着払で送ってもらうというケースが一般的かなと思います。それを今すぐに自転車でエコに持ってきてもらうことで、便利になるし、CO2も出さないし、リーズナブルな価格でっていうところでエニコを選ぶという行動変容を意味するでしょうか?

ナナさん:そうですね。ただ、消費者に広く広がるにはまだまだ時間がかかるかなと思っています。それをビジネスの場面であれば、契約書をA社に届けたいみたいなところでタクシーやバイク便を使うところを、代わりにエニコをどんどん使っていただければ、さらに普及が進むんじゃないかなというふうに思っているところです。

小林:近距離ニーズの配達を自転車に置き換えるというところで、その距離数や回数の積み重ねそのものがCO2を排出しないっていうところに繋がると思うんですね。だからエニコのオーダー数、総配達距離数というのを見える化して、その数字を配達員にも注文する人にも見せていくっていうのが、今後のトレンドというか流れかなと思います。アプリを立ち上げたときに、例えばこれまで385キロもCO2を伴わない移動で実現したんだっていうことがわかるようにすれば、いかに地球貢献しながら物の移動が実現されているかを実感できると思うんです。そういうトップ画面を今後導入していくのもいいかもしれませんね。

ナナさん:ありがとうございます。素晴らしいアイデアですね! 弊社としても、現状はかなり低価格で提供していることから厳しい面もありますが、おっしゃる通りトランザクションが上がれば、この価格帯でも利益をしっかりマネタイズできるサービスだなと思うので、今後さまざまな工夫を重ねていきたいと思います。

今後は関西・九州への拡大を計画 若者だけではない高齢者層にもアプローチ 

小林:では最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか?

ナナさん:現在は、東京・横浜・名古屋の主要都市で展開していますが、今後は大阪・神戸・京都。福岡など、全国の主要都市からエリア拡大を計画しています。

小林:全国へ拡大ということになると、配達員のリクルーティングというのは、どんな状況ですか? 人材確保はなかなか大変なのでしょうか?

ナナさん:そうですね。今まさに配達員がいなければ事業は拡大できないので、配達員の確保には採用チームで力を入れてますね。

小林:なるほど。ちょっと話はそれますが、確かシンガポールの近距離配達サービスで、醤油が足りないというときに、アプリでピピっとやるだけで、配達員が自転車で醤油を買って届けてくれるサービスがあるんですよね。スーパーにちょっとした買い出しに行くというニーズって、緊急性ありますしね。お鍋をしてたらポン酢がなかった……みたいなことってよくあるんですよね。そういうときに近距離配達サービスがあると助かるなと思うんですけど、今後はこういったニーズに対応していくという計画はあるんですか?

ナナさん:そうですね。現状はあくまでも決済が完了した物の移動になるので、まだ計画段階にはありません。ただ、スーパーマーケットさんのウェブサイトに「今すぐお届けボタン」をつけて、弊社のシステムと繋げば、オンライン決済が完了次第、配達を弊社が行うということもできるかと思います。

小林:そういう意味では、身体が不自由な方や病気で家から出られない方など、身体的にお買い物やちょっとした用事がしにくい方の手助けになるようなサービスがより一般的になったらいいですね。課題としては、お年寄りはアプリが使いにくいという点も考えられますが、今の人たちは高齢になっても多分アプリは使えるかなと思いますけど……。

ナナさん:私自身もエリア配達を担当することもあるのですが、意外と高齢者でも利用されている方はいらっしゃいますね。車椅子の方にお届け物をした際には、非常に感謝されてすごくうれしかったです。おそらくコロナ生活2年3年の中で、デリバリーサービスが若者だけのものではなくなってきたのかなっていうのはすごく実感しています。エニコというサービスを通して、人々の役に立ち、地球環境にも貢献できるという点で、今後はますます多くの方々に弊社のサービスをぜひご活用いただきたいと思っています。


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