【取材記事】「地球環境にも人にも優しいおもちゃの世界」へようこそサステナブルおもちゃのサブスク×レンタル事業でSDGsを意識した経営をスタート。日本の新しいロールモデルになるシニア世代の新たな挑戦。
お話を伺った方
インタビュアー
■スタートして2ヶ月。誕生したばかりの新しいおもちゃのサブスクリプション
小林:サービスの立ち上げ経緯などをお伺いさせてください。
加藤さん:会社員として働いていたときから、起業したいという気持ちはありました。自分に何ができるのか、何がしたいのかを考えたり書き出したりしていくなかで、最終的にこう考えたのです。おもちゃの企画・開発や営業、製造に30年以上関わってきました。また参加していた学会では、障がいを持ったお子さんや高齢者のかたとおもちゃで遊ぶという実践と研究をしてきました。そうした経験を活かせば、おもちゃを通して社会貢献ができるのではないか。そして、それは自分が実現したい「夢」でもあると確信したのです。
小林:前職はどんなお仕事をされていたのですか?
加藤さん:大学を卒業してからは、ドキュメンタリー番組の制作会社に勤めていましたが、その後、出版社に転職しました。その出版社では、雑誌や書籍だけではなく、知育玩具の企画、製作、販売もしており、その頃からおもちゃに関わるようになりました。
小林:おもちゃナビの創業はいつですか?
加藤さん:昨年、創業したのですが、当初は、おもちゃのイベントや講演活動を細々と行っていました。しかしコロナがなかなか終息しないため活動自体がますます困難になり、会社の業態を大きく方向転換することにしました。そのリスタートが4月1日。(取材時6月)ですから、実質的に立ち上げてまだ2か月です。まずは知っていただくところからと思いまして、プレスリリースを出しましたところ、大きな反響をいただきました。
小林:HPには様々な国の木を使った柔らかいイメージのおもちゃが並んでいますが、既におもちゃに関してはお詳しいのですか?
加藤さん:おもちゃの開発に関わった頃の話です。子どもたちを夢中にさせるようなヒット商品を創ろうとしましたが、これがなかなか難しい。そこで、古典的な良いおもちゃを研究するようにしたのです。新しい要素を加えてみたり、削ってみたりして、できる限り子どもたちが楽しめてオリジナリティも高いおもちゃを創ろうと考えていったのです。そうしていくうちに、審美眼のようなものが養われていきましたし、古今東西のおもちゃの逸品に詳しくなっていきました。
■優れたおもちゃをバランスよく。一番良いチョイスがレンタルだった。
小林:赤ちゃんから幼児までのこどもがターゲットですか?
加藤さん:はい。0〜6歳までのお子さんを対象にしています。小学生になると定期的におもちゃをレンタルすることへの理解が難しくなると考えたからです。
小林:レンタルはいいですね!
加藤さん:将来的には、気に入ったおもちゃを安価でご購入いただけるようにしたいとも思っています。
小林:私も子供に北欧系のおもちゃなどを買ってあげました。サブスクリプションは絵本をとっています。うちのこどもが小さい時にこのサービスがあれば、間違いなくサブスクリプションしてましたね。100種類くらいのラインナップがあれば6年回るような形ですか?
加藤さん:2か月に一度、おもちゃをお届けし、一度にお送りするおもちゃの数は5個と決めています。ですから、年間30種類ほどのおもちゃがあれば1年間遊んでいただける計算になります。さらに2、3年〜最長6年間ご利用いただけると、弊社の選定したおもちゃの良さがより分かっていただけると確信しています。そのため、今は170種類ほどのおもちゃを準備しています。
小林:特に木のおもちゃは長持ちしますし、いらなくなる時期が必ずきますしね。メルカリに出してもなかなか売れませんし、捨てるにも忍びないですしね。
加藤さん:そうですね。ヨーロッパの木製玩具は質が高いので、とても高価です。子どもが気に入るかどうか分からない高価なおもちゃを購入するのはリスクが伴います。レンタルには、安心して試すことができるメリットがあります。
また、お子さまが欲しがったり、親の好みなどで選んで、偏ってしまったりするおもちゃを、機能別にバランス良く提供することができます。例えば、手や指の運動能力に有効なおもちゃや、手と目の協応を促すものや、集中力とコミュニケーションを高めるものなどですね。
小林:どこの国のおもちゃが多いのですか?
加藤さん: ドイツの木製玩具がいちばん多いですね。国産の木製玩具も多くあります。仕入れるおもちゃはオリジナリティがあることを重要視しています。できるだけオリジン(原点)に近いおもちゃを取り揃えています。結果、品目数を絞ることができています。
小林:原点のおもちゃを集めたことは、サブスクリプションにも活きてきますね。
■おもちゃに関わってきた経験は30年間。軽やかに現代に沿う形を見つける。現役時代の想いを実現するため、環境に配慮したおもちゃを自社で扱う。
小林:4月にスタートという事でしたが、それまでに150種類以上のおもちゃを輸入されたのですね。準備期間はどれくらいかかったのでしょうか?
加藤さん: 昨年の7月くらいからアイデアの壁打ちを始め、事業化計画に2.3か月費やしました。おもちゃの仕入れは昨年末から本格的に始めました。実質的な準備期間は約6か月です。
小林:HPはよく作られていると感じているのですが、ご自身でおつくりになったのですか?
加藤さん: ワイヤーフレームとテキストデータは自分で作ってWEBデザイナーに渡しました。雑誌編集の経験がありましたからストーリーづくりは得意でした。しかし、それをホームページ上に再現することはできませんでした。弊社のホームページをほめていただけるとしたら、それは外注したデザイナーが優秀だったからだと思います。
小林:すごいですね!起業される方はWebサイトを作るのに苦労される方が多いのですよね。自分の頭の中のイメージを伝えたくてもうまく言語にならず伝えられないんです。ラフデザインにもならなかったり、イメージを誰にも伝えられなくて、出来上がってみると、違う!ということがあったりします。それを思うと、おもちゃナビさんのHPはイメージがよく出ているなと感じました。
以前の会社はご定年になられてからおもちゃナビさんを立ち上げたのですか?
加藤さん:定年の少し前ですね。
小林:今の日本の目指すロールモデルのようですね。シニアのご年齢から、起業をし、HPも早々に用意し、海外からプロダクトを輸入、サブスクリプションの要素を取り入れていらっしゃる所が新しいですし、素晴らしい。
何故、サブスクリプションにしようと思ったのですか?
加藤さん:SDGsが声高に叫ばれるなか、微力でも地球環境保護に貢献したいという気持ちが強かったのです。会社に勤めている頃から、地球環境に優しい素材を使ったおもちゃをつくれないかと考えていました。しかし環境に配慮した原材料費は高くつきます。良いこととは分かっていても、経済的な理由や経営の観点から考えるとなかなか製造に踏み出せない。
一般的なプラスチックでつくれば3000円で売れるものが、バイオプラスチックでつくると5000円くらいになってしまう。これでは大量販売は厳しい。
それなら、やや高価な「地球環境を考えたおもちゃ」をレンタルで支援していけばいいと考えました。弊社で扱っているおもちゃは木製・布製・紙製が主ですが、『にほん米がらがらつみき』のようなバイオプラスチック製玩具も積極的に取り扱っています。
身近にできることからSDGsを考えていこう、子どもたちが使うおもちゃだからこそ、行動を起こしていかないといけないのではないかと思っています。
先日、BS放送で、オードリー・ヘップバーン主演の映画『麗しのサブリナ』を観たのですが、そこにトウモロコシ由来のプラスチックが登場したのです。1954年封切の映画のなかにです。70年も前からバイオプラスチックが話題になっていたことに驚きました。一方で、未だにバイオプラスチック製品の普及が遅れていることに愕然としました。
さらに、レンタルで「地球環境を考えたおもちゃ」を提供していくのであれば、継続して利用していただけるサブスクリプションが理想だと思いました。また前述しましたように、機能的にバランスが取れたおもちゃを、お子さまの成長と組み合わせて体系化し、おもちゃを通じてお子さまの成長をサポートするには、サブスクリプションが最適ではないかと思うようになりました。
小林:マンハッタントーイのスクイッシュやブリオの電車、ケラーの木製ミニカーなど私も持っていたり、知っているおもちゃもありますね。
取り上げるのをやめたプロダクトはあるのですか?
加藤さん:仕入れリストを作成する段階でかなり厳選しています。今のところはないですね。小林社長は、おもちゃにも造詣が深くていらっしゃいますが、それでも、まだまだご存じないおもちゃもたくさんありますよ!
小林:祖父母さんなどがお孫さんに誕生日やクリスマスをきっかけにプレゼントとして契約というのもいいかもしれませんね。
■見据えているのは未来。優れたおもちゃで遊ぶこどもが大人になるころ、記憶を頼りにSDGsに関心のある人になって欲しい。
小林:このサステナブルなプロダクト事業をすることによって、広まってほしいと思うSDGsの成果のようなものはありますでしょうか?
加藤さん: おもちゃで遊ぶ0〜6歳のお子さんが「このおもちゃはサステナブルだ」などと感じることはありません。親子で遊びながら話をすることで、お子さんが大きくなったとき、遊んだおもちゃの想い出や聞いた話のかすかな記憶が残っていればいい。
そうしたお子さんが大きくなった時、きっと環境問題やSDGsに高い関心を持ってくれるのではないかと期待しています。
小林:おもちゃの良さを書いたストーリーブックのようなものはあるのでしょうか。
加藤さん: おもちゃに同梱してお送りしています。「おもちゃの特長」と「おもちゃの遊び方のヒント」を書いたものです。メーカーの環境問題に対する考え方や、子どもたちへの想いも載せるようにしています。
小林:いいですね。お使いになる方の参考になりますね。
今後の目標や展望をお聞かせください。
加藤さん: 弊社で扱っている木製玩具などは、光や音が出る電子玩具と比べると、地味で、おもちゃのほうから、子どもたちに歩み寄ってきてはくれません。子どもたちが能動的に、遊びに参加しない限り面白さが発見できないのです。
しかし、その能動的に遊ぶことこそが、子どもたちの「生きる力」を育むと、私は信じています。実際にこうした研究論文を読んだわけではないのですがね(笑)。
この「能動的な遊びへの関与」と「SDGsへの貢献」。一石二鳥のサービスをぜひご利用いただきたいと思っています。
ただし規模の拡大は目指していません。オンリーワン企業でありたいと思っています。弊社の活動をご理解いただけるかたに長くご利用いただきたいですし、この会社を利用して良かったと、心底感じていただける会社にしていきたいと思っています。
小林:本日はとても良いお話をお聞きすることができました。ありがとうございました。
▼おもちゃナビの選べるプラン
https://toys-navigation.com/plan/
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