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人間関係にある“税金”の支払い方【読書記録】おいしいごはんが食べられますように

本が読めなくなりしばらくnoteをお休みしていましたが、久しぶりに読んだ本がとてもいい一冊だったので投稿してみます。

このnoteでは、書評を中心に読書に関する記事を発信しています。ぐちゃぐちゃになった頭の中を読書で整理してみると、それだけで人生がラクになります。人生をラクにする1冊を紹介するnoteです。

<こんな人にオススメの1冊>
・人間関係に悩んでいる
・ビジネス本、自己啓発本には飽きた
・「芥川賞作品て難しそう」って思っている←この本めっちゃ読みやすい!

この「おいしいごはんが食べられますように」で取り扱われている題材は人間関係。
だれも当てはまる題材のため、自分自身にオーバーラップしやすく心がざわつくと同時になにかホッとする、読むと心がラクになる1冊。

舞台は職場でのドロドロとした三角関係

職場でのドロドロとした三角関係を中心とした人間関係における”税金”の話。

登場人物は3人。
身体が弱く皆が守りたくなるような芦川さんはぜんぜん仕事をしない。
早退欠勤を繰り返す先輩の尻拭いをする後輩が優秀で仕事ができる押尾さん
その間にいる二谷は仕事も人間関係も卒なくこなすタイプ。

そんな中で、弱い人はみんなで助けるのが当たり前という職場の空気に違和感を感じる男女、ぜんぜん気が合わないのにも関わらず付き合い始める男女。

『わたしと一緒に芦川さんへいじわるしませんか?』

この提案からこの歪な関係が主なわぬ方向に動き出す。

”あたりまえに"に感じる違和感

人間関係には“見えない税金”のようなものがある。

「弱い人はみんなで助ける。」
「(行きたくもない)職場の飲み会に行く。」
「みんなで食べるごはんはおいしい(と言わなければいけない)。」

社会や人間関係を円滑にするために、社会の一員としては当たり前とされることが、自分の中では大きな違和感になることがたくさんある。それが職場の人間関係、個人と個人の恋愛関係という近くて生々しい空間に置き換えるとよりグロテスクに見えることがある。

人間関係の中にある”むかつき”の正体

支払う税金は人によって違う。人間関係の中にある”むかつき”の正体。

著者は会社員。その職場で感じる人間関係の”むかつき”がこの一冊の出発点となっているらしい。

支払う税金は一律じゃない。この不平等さがむかつきの正体なのかもしれない。

登場人物の3人の中では、ひとりは人間関係をシンプルにするために自分自身を複雑にして、 もうひとりは自分自身をシンプルに保つために人間関係を複雑にしているように感じる。他人には踏み込まずに一歩引いたところから冷静に見ることもその税金の支払い方のひとつ。

税金をどれぐらい支払うか?それをどう支払うか?それは人によって違う。

そう思うと人生がラクになる。オススメです。

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