来年の桜
雨が降っていた。この降り方だと七分咲きの桜が散ってしまうかもしれない。いつもよりのろのろとやって来た電車に乗ると人いきれでむっとしていて、大きな荷物を持っていた私はこの車両はハズレだったかなと、なんとなくそんなことを思いながらつり革を握った。
「一次試験受かったんでしょ?」
「二次がほかの会社とかぶっちゃって」
「ジンジブに電話してみたら?」
「なんか怖くて」
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