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2分で読める子育てエッセイ№888『「ただいま!」と言ってくる息子を待つだけ』

ある日、小4の息子が学校から帰ってきたと思ったら、なぜかソーっと玄関から入ってきた。これはきっと、ワタクシを驚かそうと思ったに違いない。
「しめしめ」
逆にワタクシがリビングに潜み、タイミングを見計らって
「ばあ!」
息子を驚かせると、息子は激怒。
「もうビックリするじゃん」
返り討ちにされたことに酷く腹を立て、しばらく膨れていた。

次の日、こんどは「ただいま」も言わず、階段をそろりそろりと登っている息子に気がついた。
「あれ、お帰り。ランドセルくらい置いたら?」
またまた、息子が地団駄を踏んだあと、想像以上にガッカリした。

これは・・・何がしたいのか、よくわからん。

元少年のダンナがこうヒントをくれた。
「お母さんに内緒で二階で宿題を終わらせて、『ただいま!』と『宿題ぜーんぶ終わってるよ』を一緒のタイミングで言いたいんだって」

知らんがな。

息子が宿題をする時間が約40分。そんなに遅くなったら、ふつう学校に
「うちの息子、まだ帰っていなんですけど・・・何かありましたか?」
って確認するレベルだよ?

仕方ない。二階にはダンナというダブルスパイがいるし、一時の流行りだと、しばらく息子に付き合うことにした。

帰ってくる5分前に玄関は開けておくので、そこからミッションはスタート。それからワタクシなるべく台所で料理しているフリ。一応、玄関の靴で息子が帰ってきたかを確かめる。
「おのれ・・・習字道具が玄関に投げっぱなし」
あとで、一言物申そうとぼんやり覚えておく。

それから息子の宿題が終わるまでは、ワタクシ絶対に二階に上がらず、あとは「ただいま!」と言ってくる息子を待つだけ・・・のはずなのに、全然スッキリしないんですけど。


数十分後。
「ただいま!」
といい顏して宿題を終わらせた息子が来ると、
「えっ! いつ帰ってたの?」
というセリフのワタクシ。我ながら大根役者っぷりなのが否めない。

「お母さん、宿題もう終わらせたよ! 気がつかなかった?」
という息子のお決まりのセリフにも
「う、うん」
ウソをつく背徳感がハンパない。

「ホントにホント? お母さん気がつかなかったの? やったー」
と何度も確認してくる息子には申し訳ないけれど、心の中で
「本当は玄関が開いた瞬間から気づいていました!」
と思った。済まぬ。でも宿題を気分よく終わらせているから良しとしよう。

これでもう3日目。一時の流行りは、三日坊主よりも長いと思い知った。

とほほ。





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