№28【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『これ見よがしに置いているみたい』

ダンナは気のせいだというけれど、ワタクシはそうだと信じている。

※

わが家の裏庭に放置していたプランター。
ある朝、窓を開けたら、顔なじみの野良ネコちゃんがプランターでモッチリしていた。

昼ごろどこかに出かけているのだけれども、気がついたら3日も連続で朝はモッチリ。
自由に溶ける液体のようにプランターにフィットしている猫ちゃんの姿が妙に癖になり、写真を撮る代わりに、追い払わずに好きなだけ寝かせることにした。

ところが4日目。
今朝もいるかと楽しみに見に行ったら、野良ネコちゃんはいなかった。

あれ？

次の日もいない。

もっといい場所を見つけたのかと、さみしくなっていたら、昨日までは無かったアルものが目についた。

それは結構大きいサイズのカナブン。
もう、事切れていたのだけれども、しっかり何かに一撃されたような形跡があった。

「なんか、これ見よがしに置いているみたい」

その時ワタクシ、ハッとした。

「も、もしやこれは猫のお礼？　3日分の宿代として自分の好物を置いて行った？」

「飼い猫だったらともかく、野良ネコはそんなことをしない」
ダンナは気のせいだというけれど、ワタクシはお礼だと信じている。

野良ネコちゃんの気持ちがメッチャ嬉しかった。

本音を言うと、ワタクシちょっぴり虫は苦手。
できたら、このカナブンはお持ち帰り頂けると助かります。