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2分で読める子育てエッセイ№862『さっきは要らないと言ったよね?』
ある日、朝食に目玉焼きを作ろうと思った。
「目玉焼きを食べる人!」
と家族に訊いたら、まだ寝ぼけ眼の小4の息子に素っ気なく要らないと言われた。
ふーん。
しばらくして、レタスと目玉焼きを1つのせたお皿をダンナの前に置くと、息子にこう声をかけた。
「みて~、お父さんの目玉焼き、メッチャおいしそうでしょ?」
さらに息子の好きなウスターソースをかけてみせた。その途端、さっきは要らないと言った息子が急になんだかソワソワ、ソワソワ。
しめしめ。
そこでワタクシ、息子にもう一押し。
「隣の人のご飯って、ものすっごくおいしいそうだよね~」
すると、ダンナがちょいとよそを向いた瞬間、息子はパクッと目玉焼きを食べてしまった。驚いたのはダンナ。
「ああ~! 俺の目玉焼きが~!」
そこでワタクシ、もう一皿テーブルに置きながらこう言った。
「これワタクシの目玉焼き。絶対に、ぜーったいに食べないでね」
顔を見合わせたダンナと息子。こんどはニヤリとしながら、それはそれはおいしそうに二人で食べていた。
「うまーい!」
と満足気なわが家の男子2人。そして、息子が食べるはずだった目玉焼きをワタクシがいつもよりおいしく頂いた。
なんの変哲もない、ふつ~うの目玉焼きが特別な味になる魔法。
チョロい。
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