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使うか?失うか?

こんにちは!
理学療法士をしているyukiです。


今日は一見何のことか分からないタイトルですが、

中枢神経系のリハビリテーションにおいて重要な、”神経可塑性”についての原則1つ目と題して、使用すること、もしくは不使用により脳の様々な領域でどのようなことが起こるのかを、先行研究を基にまとめていきたいと思います!


早速ですが、神経可塑性はご存知でしょうか?

簡単に言えば、脳には使えば使うほど、神経の働きがよくなったりある領域が別のある領域として変換されたりすることが証明されています。

このような機能を神経可塑性と言われたりします。

特に脳卒中や脊髄損傷などで運動麻痺を起こした場合にこの神経可塑性という考え方を知っていると治療に応用できるので、是非この記事を通して理解を深めてみてくださいね!

では、早速目次です!

使うか、失うか

この神経可塑性に関する初めての報告は実は1960年代になります。

HubelとWieselが行った視覚遮断の研究で、子猫を光を奪うと、光に反応する視覚野の神経数が減ることが観察されました↓(1)。


さらに成体で観察をすると、光に反応する神経の現象は、シナプスの数が減少していました↓(2)。



類似した結果は、サルの手先の触覚に関する体性感覚野でも観察されています。
1本の指を摘出してから2~9ヶ月後に、その皮質領域全体の神経が、隣接する指や手のひらの表在感覚として反応するようになりました↓(3)。


更に、聴覚領域では、聴覚障害がある場合、大脳皮質でも音の表現力が失われ、神経の数の減少を認めています↓(4,5)。


発育中のラットにおいて、運動を制限することで、大脳皮質のプルキンエ神経細胞の発達が悪くなることが報告されています(6)。


これらの報告で重要なこととして、感覚が消失することで、皮質の機能が完全に失われるわけではなく、皮質領域が別な何かに変換されるということにあります!

ある感覚領域の消失がその領域に関連する領域に引き継がれる、という反応が起こるようです。

例えば、聞いたことがある方も多いと思いますが、点字などです。

盲目の方が点字を読むのは、触覚課題として視覚領域が活性化することが証明されています(7)。


この変化は、2つの理由からリハビリテーション領域の研究において重要な概念であると言われています。



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