脳卒中歩行の股関節伸展筋と外転筋群
前回記事で、脳卒中歩行の外転筋と膝関節周囲筋について、まとめました。
記事はこちらになります。
この記事の中で、股関節伸展筋と外転筋の関係性について、終盤で触れましたが、
前回の記事をまとめるときに、気になる情報が確認できました。
それは、
”股関節伸展筋群と股関節外転筋群の神経学的な関わり”
についてです。
正直なところ、私自身、脳卒中者の歩行で股関節伸展筋群と外転筋群を神経学的なつながりとして見ることは少なく、
それぞれ単体として、どの周期で働く必要があるか?
という視点でばかり考えていましたが、
神経学的な関わりがあるなら、「こういったことも予測される?」ということを私見としてまとめていきたいと思います。
ちなみに、私が気になった一文では、
We have proposed two possible abnormal neuromuscular mechanisms that could explain the increased hip abduction: a voluntary synergistic coupling between hip abduction and hip extension or an abnormal reflexive coupling between the quadriceps and abductor(s).
参考文献(1)より引用。※論文の詳細は下記に示してあります。
端的には、歩行中の股関節外転を増加させる神経筋機構の異常として、
1. 股関節外転筋群と伸展筋群の随意的な相乗的結合性
2. 股関節外転筋群と大腿四頭筋の反射的な結合異常
これら2つが関与している可能性があることを著者らは報告しています。
上記の言葉通りで理解するのはやや難しいように感じますが、
より簡単な表現をすると、神経学的な関わりがありそう、ということが研究結果で得られたという理解で良いと思われます。
そして、上記に添付した前回記事は、大腿四頭筋や外転筋に焦点を当てた内容でまとめさせて頂きました。
今回が、伸展筋群と外転筋群の関わりや臨床的に考えられることをまとめてみたいと思います。
では、
まずは主な股関節伸展筋群と外転筋群を確認してみましょう。
ここでは、主な股関節伸展筋群と外転筋群を示しています。
股関節の伸展に大きく関わるのは、大殿筋
股関節外転筋群に関わるのは、中殿筋や小殿筋になります。
この辺は基本的なことなので、周知のことだと思いますが、
では、大殿筋の正常歩行での機能も見てみましょう!
上記もご存じの方は多いと思いますが、
股関節伸展筋である大殿筋は、股関節伸展時に働く訳ではなく、
股関節が屈曲位にある、I.CやL.Rで強く働きます。
むしろ、股関節が伸展位になると、股関節伸展筋はほとんど働いていません↓
では、立脚初期時の大殿筋はどのような機能をしているかというと、
足部におけるロッカー機能で作られた、推進力をブレーキングしたり、股関節運動と足部運動との協調性を取るための働きをしていると考えられています。
では、ここからが本題です。
脳卒中者の場合、どのような状態が考えられるでしょうか?
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脳Life 〜PTのための英文Review〜
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