いつもの夏休み③

おそうめん、おいしい。

あればあるだけ食べてしまう魔の麺類。

三束食べてしまう。

そう、夏の暑さが私を狂わせる。

私の元々の食欲とは関係ないと信じたい。信じさせてくれ。頼むから。お願い。


そんなこんなで食べ終わりいつも行くヨーカドーへ。

ばあちゃんちはどこに行くにしてもバスで移動しなければならない場所にある。

1番近いスーパーは急な丘を下ったところにあるが、足腰が丈夫なばあちゃんですら危ないから行っていない。

なので基本ばあちゃんとのお出かけはバス。

バス停まで歩くと自分の影が行方不明になる。

『日傘ないの?暑いでしょう、全く。あたしの日傘にでも入んなさい』

心配ゆえの怒りからの呆れ。

ばあちゃんは心配症だなあ。


間もなくバスが到着。

バスの中では他愛もない話。

ばあちゃんが通っているヨガの話、病院の話、お友達とのお茶の話。

ばあちゃんの話は止まらない。

楽しそうでなにより。


バスを降りていざお買い物。

『お夕飯、何か食べたいものある?』

「なすとピーマンの味噌炒め!」

『おまえ、いつもうちに来るとそればっか食べてるじゃない。簡単だからいいんだけどさ…』

「だってばあちゃんが作るなすとピーマンの味噌炒めが1番おいしいんだもん」

『おまえがそういってくれるならいいんだけど、毎回いってるしよく飽きないもんだ。あとはお魚でも焼こうね』

少し呆れるばあちゃん。

だっておいしいんだもん。

ご飯をたくさんおかわりしてしまう。

広い店内をぐるぐる周りお会計をし、買ったものを袋に入れる。

『おまえこんなに持てる?大丈夫?』

「大丈夫だよ。いつも重たいもの持ってるし。ありがと」

『無理しないでね?あたしだって持てるんだから』

持てるだろうけど持たせたくないよ、孫は。

せっせかせっせか買ったものを入れてお花屋さんへ行くと、ほおずきやおがらが目に入る。

いやはや、お盆ですな。

そしてそちらも私の持つ荷物の仲間入り。


ばあちゃんと買い物に行くと楽しみがある。

『お夕飯のあとにケーキでも食べようか。買って帰ろう』

「やったー!!ケーキケーキ!!」

大好きなケーキ屋さん。

ヨーカドー内にあるケーキ屋さんで、ここのヨーカドーに行くといつも持ち帰っていた。

いつも違う種類を買って帰る。

私はコーヒー系、紅茶系、チーズケーキ系が好きです。

余談。


帰りのバスに乗り、ばあちゃんちの最寄りのバス停で降りる。

虫の声が「ミーンミンミンミーン」から「カナカナカナカナカナ…」となり、気付くと夜の虫の声が混ざって聞こえる。

周りの木の葉っぱが重なり合う音、虫の声、日が落ち着いてきたころに吹く風を身にまといながら夕日を背に感じ歩く。


マンションに入り、近くで聞こえていた音と自分より高いであろう影に別れを告げた。

たくさんのドアの前を横切る。

カレー…きんぴら……なんかお肉を焼いてる……

目に見えずとも人間の生活が垣間見れる瞬間。


ガチャ

「ふぅぅぅただいま〜!!」

畳とお線香の匂いがいつも迎えてくれる。

帰ってきた。

そしてこれからお迎え。



2024.8.9.

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