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ブルクミュラー18の練習曲 第4番「ジプシー」の聴き方、感じ方、ストーリー。

こんにちは。

ピアノ講師であり、
メンタル心理ヘルスカウンセラーとしても活動しています、
「One Heart」です。

ブルクミュラー18の練習曲集について、
いろいろな角度から見て、聴いて、感じたことや
演奏法についてお伝えしています。

●今日のお題

ブルクミュラー18の練習曲
第4番 「ジプシー Les bohemiens.」


演奏動画はこちらです↓
(わたしが演奏しています)

まず、曲の話に入る前に、
ブルクミュラーという作曲家とこの教本について触れておきたいと思います。

ブルクミュラーは、1806年にドイツに生まれました。
のちにフランスでピアノ教授、作曲家として名高くなり、
フランスのボーリューで亡くなりました。68年の生涯でした。

ブルクミュラーの教本といえば、
「ブルクミュラー25の練習曲」が有名です。

これは、今日子どものピアノ練習曲として日本でも大変よく知られていて、
ピアノを習うとよく使われる教材のひとつです。

そして、今回のお題の「18の練習曲」は「25の練習曲」に比べて、
技術的にも内容的にも難しくなっています。

音楽性の面から見ても、大変重要な要素をたくさん含んでいて、
特にフレージング、ペダル、発想の練習には非常に効果的です。

25の練習曲の次のステップと考えていいでしょう。

わたしも子ども時代に「25の練習曲」は全曲学習しました。

当時は、表現力に乏しかったので
先生に言われてもイマイチ理解しづらいところもあったのですが、
この立場になって、あらためて学び直しをすると、
とてもいい教本だということがわかりました。

18の練習曲は、さらに表現力を求められる教本となっています。

さて、それでは本題に入っていきましょう。




☆形式 AーBーAーCーAのロンド形式


形式については、こちらのブログをご覧ください。
私が書いている別ブログです。

ジプシーという言葉についてまずは説明します。


☆ジプシーとは

一般にはヨーロッパで生活している移動型民族を指す民族名。

さまざまな地域や団体を渡り歩くものを例えて使う言葉ともなっている。

もとは北インドを原郷とする少数民族で、現在では定住のかたちをとっていることが多い。そして現在ではジプシーではなく、「ロマ」と言い換えられています。

ジプシーと呼ばれる民族が普及させた音楽を「ジプシー音楽」という。

☆ジプシー音楽

私がジプシー音楽と聞いて思いつくのは、スペインのフラメンコ。

ピアノのテキストのさし絵には、ジプシーと名のつく曲にフラメンコを踊る女性の絵が描かれていることが多いのでそのイメージが焼きついています。

もともとジプシー音楽とは、遠い昔北インドから移動してきた民族がヨーロッパ大陸の各地で伝えてきた音楽スタイルの総称。

長年に渡り培われ育てられてきたジプシー音楽は、ジャズやポップス、クラシックなどあらゆるジャンルの音楽に多大な影響を与えてきました。

そんな背景も頭の片隅の置いて、深めていきたいと思います。


☆お話し

(わたしの勝手なイメージです)

遠くで何やらダンスの声や音楽が聴こえる。

近づいてみると、小さな楽器隊が生演奏をし、その音楽に合わせてダンスをしている女性の集団が見えた。

細やかなステップを踏み、時に情熱的に大きく身体を動かしている。

悲しみ、苦しみ、孤独感・・・。
哀愁ただよう音楽に誘われて、思わずステップを踏んでしまいそう。

その一方で、喜びや躍動感のような感情も現れる。

何か嬉しいことがあったのだろうか?

仲間たちがアイコンタクトをして、楽しそうに踊る姿に心も躍り出す。

そしてまた、暗闇へ・・・。

いったいこの人たちは、何を思い、何を感じているのだろうか?

自由を求める気持ち?
音楽への情熱を訴える気持ち?

いろいろな感情が心の中を駆けめぐり、その答えを探っているようにも聴こえる。

☆楽譜をながめてみよう

楽譜の冒頭には、
”Allegro non troppo”《(アレグロ ノン トロッポ)あまり速すぎないで》と書かれています。

第1主題Aは和音進行。
ここでは、内声部右手の「ソーラソファーソ」という部分がメロディーになっている。5小節目からは左手に「ソーラソファーソ」というメロディーが移っている。
ここについている《アクセント》は、強調するという意味よりも、少しテヌート(音の長さを十分に保って)ぎみに演奏するというふうに捉えてみると表現しやすいと思います。

10小節目からの第1エピソードBは一転して優しくやわらかいかんじで。
”delicato”《(デリカート)繊細に》細やかだけどやわらかいスタッカートで演奏する。

22小節目からの第2エピソードCは、ff(フォルティッシモ)で。
”energico”《(エネルジーコ)力強く》と書かれているので、エネルギッシュに、軽快に。

35小節目からの第1主題の再現A’’はコーダへ向かいながら拡大していく。
コーダは、”perdendosi”《(ペルデンドシ)だんだん遅く、消えるように》音が遠ざかっていくように。

☆演奏のポイント

ハ短調の曲。

悲壮感ただよう調性。

主題Aが何度も変化を伴いながら登場します。
それぞれの箇所でどんな変化があるのか楽しみながら演奏できるといいと思います。

10小節目からの第1エピソードBは、少し明るいかんじになり軽やかさの中にやわらかい雰囲気も感じられます。
カスタネットのような音色を感じる箇所もあり、軽く繊細に演奏できるといいと思います。

22小節目からの第2エピソードCでは、同主調のハ長調に転調しています。

シンプルで素朴な感じを持つ調になるので、
エネルギッシュでありながら自由さを表現してもいいと思います。

35小節目からの第1主題の再現A’’では、主題に加えて終わりへと向かって広がりを表現していきます。
最後は、音楽が遠ざかっていくように、最後は消えてしまうようなイメージで終わりたい。

ジプシー音楽というジャンルは、日本人のわたしたちには馴染みのないリズムや表現が多く、演奏するのに若干の苦労があるかもしれません。

実際にわたしも、どのように表現したらいいのかわからない部分もあり、他の曲に比べて練習時間が長くなってしまいました。

日本人には馴染みの薄い民族音楽を学べる機会をいただけたことや、
練習していくうちにもっともっと深めたいと探究心に火がついたことなど、新しい発見がたくさんありました。

イメージすることの大切さやそのイメージを音楽に乗せること。

まだまだ探究心はつきないな、とあらためて感じた時間でした。











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