物書きのライバルは物書きだけではない(むしろ、そちらの方が強敵)
ライバル作家への「嫉妬」に苦しめられる…そんな声を、聞いたことがあります。
苦しめられるだけならまだしも、嫉妬ゆえにライバルの足を引っ張っている作家も、中にはいるのかも知れません。
(1ユーザーの立場ではなかなか確証が掴めないので、あまりアレコレ言えないのですが…投稿サイトの研究をしていれば、アヤしい動きの1つや2つは普通に目にします。→確証が無いので表に出していませんが、データ収集&スクショ保存はちょこちょこしています。)
しかし、果たしてライバルとは、同じ「物書き」だけなのでしょうか?
むしろ自分は、もっと大きな「強敵」の存在に、日々戦々恐々としています。
それは「小説」というコンテンツの「外」にある存在…
たとえば、アニメやマンガ、ゲーム、YouTuberにVTuverに、TikTokerです。
「読書離れ」「活字離れ」「出版不況」が叫ばれて久しい現在…
「小説」というコンテンツは、常に「別の種類のコンテンツ」にユーザーを奪われ、脅かされ続けているのです。
(…とは言え、アニメやマンガ、ゲームに関しては、メディアミックスなどで互いに恩恵を与え合うこともあるので、一概に「ライバル」とも言い切れないのですが…。)
エンタメ・コンテンツの世界は諸行無常・群雄割拠の戦国乱世状態。
「小学生の憧れの職業」にランク入りすらした「YouTuber」でさえ、今は多くの配信者が収入激減を訴え、バブル崩壊寸前と言われています。
まして、読書離れ問題に長年「手をこまねいている」小説コンテンツなど、「オワコン化」待ったなしの危機的状況だと思いませんか?
正直、同じ小説コンテンツの中で足を引っ張り合っている場合ではありません。
むしろ、皆で手を取り合って、小説というコンテンツを盛り立てていかなければならないくらいの状況です。
しかし、小説というコンテンツ自体の「未来」に目を向けている人間は、未だそれほど多くないように見えます。
小説コンテンツ自体が廃れてしまえば、どれだけライバルを蹴落とせたところで意味など無いというのに…。
むしろ、そうやって足を引っ張り合ってギスギスしていたら、読者がドン引きして小説コンテンツ(特に小説投稿サイト)から離れていきかねません。
人間であれば、時にどうにもならない負の感情に振り回されることもあるでしょうが…
せめてもう少し、自分の状況を冷静に見つめて危機感を持たないと、マズくないでしょうか?
感情に溺れて、自分の未来さえ闇に葬ってしまう前に「“どうすれば”自分の望みが叶えられるのか」本気を出して考えてみても良いのではないでしょうか?
小説というコンテンツには、他のエンタメ・コンテンツには無い「弱点」があります。
それは「小説を楽しむには、ある程度以上の読解力が必要」という、避けられない必須条件です。
「受け身」でいても情報が「絵」や「音」で脳に流れ込んでくる他コンテンツに比べて、小説は難易度が高く、特に初心者のハードルが高いのです。
それでも、どうにかして他コンテンツに勝っていかなければ、小説コンテンツに未来はありません。
自分は正直、(他と比べて不利な)この「小説」というコンテンツにユーザーを入れるためなら「入口は何でも良い」と思っています。
話題性だけの中身が薄っぺらな作品であろうと、二番煎じ三番煎じの「どこかで見たような」作品であろうと…
とにかく、それがきっかけで、小説というコンテンツにユーザーが入って来てくれさえすれば、そのユーザーが他の作品にも流れてくれる可能性があるからです。
(たとえば、アニメのノベライズが「きっかけ」で「小説」自体が好きになったという人の話を、TVで観たことがあります。)
むしろ、ユーザーが入ってきた時に、いかに逃さず、他作品に流す「導線」を築いておくかがポイントだと思っています。
自分がこうして「Web小説の見つけ方・見つけられ方」を研究し、検索の仕方をまとめてきたのも、全てそのためなのです。
「自分の作品さえ読まれれば良い」「ライバルはむしろ排除したい」などという精神的視野の狭い考え方では、小説コンテンツの未来は守れません。
考えてもみてください。普通、客が入りたがるのは「品ぞろえの良い店」ですよね?
足を引っ張り合って、ライバルを消して「品ぞろえ」も何もなくなってしまったとして…そんな小説コンテンツが、多彩なジャンルが豊富に取り揃えられたアニメやマンガやYouTubeに勝てると思いますか?
どんなに優秀な人間が、どう足掻いたところで、たった1人で小説というコンテンツを背負うことなど不可能なのです。
むしろ、様々な方向から様々な客層を集めるために、多彩な作家が他にいてくれなければ困ります。
ライバル作家は、潰すものでも蹴落とすものでもなく、むしろ育てて「乗っかる」もの…
(他作家の起こしてくれた「ムーブ」や「ウェーブ」に便乗するというのは、実際よくあることだと思います。現時点でも(おそらくはブームを育ててくれた先達を意識することもなく)異世界転生ブームや悪役令嬢ブームに「乗っている」方は多いでしょうし…。)
ライバルさえ利用するくらいの気概が無くて、おもしろい小説など書けません――少なくとも、自分はそう思っています。
コンテンツの人気は、1人だけで成り立っているものではありません。
それまでに、そのコンテンツを盛り立て、育ててくれた「先達」がいたからこそ、今、人を集められているのです。
現在進行形で人気を維持してくれている同業者がいるからこそ、今もオワコン化せずに済んでいるのです。
それを考えずに「ぶち壊す」ような真似をすれば、コンテンツ自体が衰退し「オワリ」に向かってしまいます。
人間であれば、あのジャンルが気に食わない、あの作家が気に食わないといったことも、あるかも知れませんが…
そんな負の感情にエネルギーを費やすより、自ジャンルを盛り立て、自作品に人が流れて来るように策を練った方が、はるかに有意義です。
人間、使えるエネルギーには限りがあるのですから、つまらないことに無駄にエネルギーを使うより、自分と自分の活動するコンテンツのためにエネルギーを使った方が、良いのではないでしょうか?
(…というか、実際問題、小説コンテンツの状況がいろいろ危機的過ぎて、それを思うと、どんな作家に対しても「一寸先は闇だぞ…」としか思えなくなってしまいます。今やどのコンテンツもVUCAの時代過ぎやしませんか…?)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?