マガジンのカバー画像

作品集

46
ちょっと長めの作品を置いておきます。
運営しているクリエイター

#悩み

ふつう②

「よお真鍋!」
「声でけぇよカス」
「まぁまぁ、この動画見てくれよ。めっちゃ面白くね?」
「ん? あぁそれか。俺も昨日見たわ」
「どこで一番笑った?」
「○○が叫びながらぶっとんでくところだな」
「やっぱそこだよな! マジで○○おもろい。めっちゃ好きだわ」
「おはよう真鍋。粕谷」
「おは、根城」
「おお根城! お前もこの動画見た?」
「見てない。どれ?」
「○○のチャンネルの最新のやつなんだけど、

もっとみる
朝木 海③【実験的小説】

朝木 海③【実験的小説】

「船見さん……そんなに見つめられると私……」
「海ちゃん……」
「あ、そこは、ダメ、です」
「かわいいよ、海ちゃん」
「あ……やめ、て……船見さん……」
 どうしてこんな風になったかというと……



「どうしてだと思います?」
「何も考えずに変なシーン書くのやめた方がいいと思うよ」
 理知さんは、じとーっとした目で私を見つめる。私は気にしない。
「とりあえずこれがガチエロシーンか、それともガチ

もっとみる

長髪と関西弁Ⅰ【青春小説・BL風味】

 祭(まつり)、と呼ぶ声がした。振り向いた。

 俺は、自分の名前が嫌いだった。元々音に敏感で、騒がしいのは苦手だった。それなのに父親は大の祭り好きで、ことあるごとに俺を連れて行って、そのたびに「今日はお前の日だ」と言ってくる。うんざりだった。
 友達も、文化祭や体育祭のたびに俺に何かを言ってくる。

 名前というのは呪いみたいだと思っていた。字は違うが、祀るというのも、なんだか呪いっぽいし。

もっとみる