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感想 [新版]日本国紀〈上下〉百田 尚樹 通史としてはまぁまぁで、戦後の主張は、極めて百田的でついていけない。

歴史を論ずる場合、その立場によって内容がかなり違ってきます。
本書は、作家の百田さんの通史です。
右系の思想の持ち主として有名です。
新板は、かなり最初に書いたものよりも洗練、書き直しされていると聞きます。だからか、あまりツッコミどころはありません。
左系の書き手の多い教科書を批判しているところが上巻では目立ちました。

まずは、上巻。
気になった点についてコメントします。

継体天皇のところを論じているところに好感を持ちました。
この場面、皇統の交代劇があった可能性があったからです。
右系の人は、神武天皇から今の天皇まで血が途切れていない。万世一系というおとぎ話しを信じていますよね。天皇=神と見る人が多いので、きちんと系統の交代があった可能性を述べているのは好感が持てます。仁徳天皇と今の天皇は、たぶん、別系統だと思います。神武なんて存在すら不確かだし。

古代の日本は、比較的男女平等の意識が強かった、素晴らしいという主張ですが
中国の書物にもそうあるし、邪馬台国が女王だったこともあり
百田さんの主張はわかりますが
それは先進国だったからではなく
中国が当時、男社会だったのは競争が激しく、弱肉強食の世界だったから
それに対して、日本は発展途上で人口も少なく、比較的平和でのんきだったということだと思う
女性も活躍しないと生活できなかったのではないでしょうか

刀伊の入寇の朝鮮の兵が日本に攻めてきて殺戮したりしているという話しは知らなかった。
戦争だから、当然だし、日本が朝鮮を攻めたこともあるし、そういう時代だから、どちらも侵略ではないと思う。強いところが弱い国を攻める。そういう時代なのだと思います。日本の朝鮮植民地についても、僕はそう思っています。時代が帝国主義だったということです。

足利義満の陰謀は初耳だった。
次男を天皇にしたがってたなんて知らなかった。
仮説とはいえ面白い。

元寇の文永の役は台風は関係ない。時期的に台風は来てない。
この話しは面白かった。
台風でやっつけたと思っていたのですよ。


上巻は、一気に幕末までいきます。
だから、内容的にスカスカで不満足な内容。

下巻は、日清、日露の戦争あたりから丁寧に書かれていて、大東亜戦争に至るまでの経緯がシンプルな導線で記述してあり好感を持てました。
従軍慰安婦の嘘、南京大虐殺の嘘、朝日新聞のデマ報道
これらの話しは、いろんな人が証拠をあげて論じているので問題はないのですが
小林よりのりのゴーマニズム宣言のダイジェスト版みたいで、僕には内容的に薄く感じた。
南京大虐殺の嘘の話しですが、人口20万人の南京で、30万人の大虐殺があった。少したって調査すると25万人に増えていた。それは色んな人が書いてるし外国人の記者も言っているから正しいのだけど、他の本では、南京を支配していた日本軍。そこに多数の中国のスパイが侵入しテロをおこなっていたという話しがあり、その逮捕されたスパイの数が数百いて、それを裁判もしないで処刑したとあった。数は嘘だけど、それっぽいことはあったと言われています。嘘つきと決めつけるのもどうかなと思った。もちろん、30万虐殺とかありえないけど。百人くらいでしょうね。

あと、終戦後、満州や朝鮮から引き上げた婦女子がレイプされ妊娠したり性病に感染したりした人が膨大な数になり九州に収容する施設があった話しは初耳でした。犯人の多くは朝鮮人だったというのも初耳。

戦後の話しについては、僕はついていけない。
憲法改正の話しに出ていた、外国人でも簡単に議員になれるとか、そいつらが反日を目的に何かするかもという話しはどうなんだろう。ある議員の顔が浮かぶが、それを通史で書くべきなのか。

嫌韓、嫌中の意識が強すぎて、左翼や左翼系の報道機関を頭のおかしい人みたいに切って捨てるのも気にいらない。

最後のほうの百田劇場はいらない気がしました。

2023 5 28



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