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感想 櫓太鼓がきこえる 鈴村ふみ 相撲の裏方の世界を描いた珍しい作品。しかし、細部に甘さがあったり展開が緩すぎたり問題も多かった。



相撲の裏方を描いた作品ということで興味を持った。
こういう裏方を描いた作品では、甲子園の芝生の管理をしている人を描いた あめつちのうた (講談社文庫) が成功している。
成功の鍵はディテールの細かさ。つまり、リアルに読者に、その世界を感じさせることだ。
その世界を具体的に細部まで再現させることで読者は、その世界に没頭できる
しかし、この作品はその点があまい

主人公が、呼び出しということもある。
まず、その手のあるある話しが軽く流されているし
苦痛らしい苦痛もなく

興味を持ったのは、彼らが相撲部屋の所属で
まるで力士みたいに暮らしていること
そのため、やたらと所属力士の闘いとか葛藤に力が入り
この人、というか、この物語。呼び出しの話しじゃなかったのかと感じてしまう。

著者の相撲好きはわかる。
なら力士や相撲の世界を正面から描けばよかったと思う。
なら、もっと盛り上がったと思う。

両親との和解とかの展開は、あめつちのうた と同じ流れだし
嫌味な先輩の嫌味は中途半端だった。

ようするに、中途半端な作品という印象しか残らなかったということです
ちょっと残念でした。


2023 11 3



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