感想 日本が先進国から脱落する日 野口 悠紀雄 円安という麻薬"が日本を貧しくした‼という著者の言葉には説得力がある。
アベノミクスがもたらした円安政策により、日本人は貧しくなった。
本書のモチーフは、これだろう。
当時の為替は110円前後
今は、130円
昨年の11月は150円。
えっ、どこが円安だったの?
アベノミクス時代は、むしろ円安に誘導しようとして途中で挫折したという印象です。
この本が書かれたのは、2021年の末。
アベノミクスは、財界の要望を受けて実施された政策でした。
円安=企業収益の拡大=物価高=賃金の上昇を目論んでいたが、当時の110円は現在の130円に比べて円安と言うには頼りなく中途半端でした。
だから、物価も上がらず。
企業収益は増えたが、給与アップするほどでもなく、内部留保されることになった
そして、肝心の成長戦略は途中で頓挫。
円安と本来セットである技術革新がなされなかったのが敗因と見ている。
だから、ちょっと著者との意見が僕は違う。
アベノミクスのせいで・・・というのは?
むしろ、アベノミクスが終わったせいで・・・が正解だろう。
円安に依存しすぎて、技術革新をしなかった。
これが日本が今、こんなことになった原因というのは同意したい。
この言葉は真実だと思います。
円安は経済界の要望でした。
円安になると企業収益が上がると信じられていた。
リーマンショック、東日本の大震災で疲弊した日本企業は土俵際まで追い込まれており
円安は救世主と思われていた。
例えば、5万ドルの車を日本企業が輸出したとする。
1995年5月末の1ドル=82円台 菅直人時代 円高
400万円
2022年11月=150円 円安
750万円
円安だと利益がすごい!!
しかし、著者の言うとおり、円安は簡単に企業の利益をアップさせるマジック
いや麻薬であり
ごまかし
企業は、利益が増えたことに満足し
成長を怠った
それが現在、日本が駄目な理由です。
アベノミクスに問題があるとすると、この成長戦略を途中で投げ出したこと
円安は、技術革新とセットじゃなきゃ意味はなかった。
本書で面白かったのは、ビックマックの世界の値段を比較して経済を論じているところです。
ここから見える日本人の賃金の低さは深刻でした。
本書よりも新しいデーターで検討すると
2022年7月27日の価格
アメリカ 710円
中国 490円
日本 390円
この価格は、その国の給与水準に比例します。
OECD(経済協力開発機構)が公表している賃金に関する 2020年のデータを見ると、日本は3万 8515ドルだ。他方でアメリカは6万 9392ドル。したがって、日本の賃金はアメリカの 55.5%でしかない。
これだと中国が日本に爆買いにくるの理解できます。
吉野家の牛丼だと
アメリカは
827円
日本は、426円(税込)
半値じゃねぇか!!
どうして、日本はこんなことになったのか?
と著者は述べています。
アベノミクスは、瀕死の重症だった日本企業を、円安という詐欺的なやり方で
ゾンビみたいに復活させたが
本来、やるべき技術開発を途中で投げ出した
企業が安易に円安で利益を伸ばし危機感を持たなかったのが原因だと著者は言っている。
そして、2040年問題
少子高齢化問題が深刻になる未来
いいこと、まったくない予感。
2023 1 25
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