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書評 不可逆少年 五十嵐律人  罪に問われないから、今のうちに人を殺しておくとかおかしいよ。

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メフィスト賞受賞の『法廷遊戯』はすごかった。
それに比べると少し・・・。

メインの登場人物の名前がおもしろい。
美容師の兄が「砂」
高校生の弟が「漠」
二人合わせると「砂漠」

その兄弟の友達の高校生が雨田茉莉。
「あめだまり」
砂漠に雨

裁判所調査官の世良 真昼 が謎解き役。

ネットで殺人動画が話題に
3人の悪い大人たちが公開処刑
砂漠兄弟の父でピアニストでシャブ中の男
雨田茉莉のエロい義父。
彼らの担任のエロ教師が被害者だ。

犯人は、何と狐面をかぶった13歳の少女

さらに、風呂場で見つかった腐乱死体

犯人は誰?
動機は何?

どんでん返し、返し、返し、かえしーーという展開です。
ミステリーとしても楽しめます。

小説のラストで真昼が言います。

「やりなおせるから少年なんだよ」

だから14歳以下の少年少女は罪に問われません
刑事未成年
14歳以下の少年少女は、どんな罪を犯しても刑罰を科すことはできない。

犯人の13歳の少女はこんなことを言っている

みんなが恋人作ってドキドキしたいと思うように
私は人を殺してドキドキしたい

さらに続く

14歳になってから殺すと、罰っせられちゃうんだって。だから、今しかないの。


犯人は感情がほとんどない。
だから、反省なんてない
心に問題がある
そういう血だと登場人物の一人は言う

本当に、そんな生き物がこの世界に存在していて
こんな思考を持っているのだとしたら
それは危険でしょうと思ってしまった。

もちろん、これはフィクションです。


2021年3月21日



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