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『すずめの戸締まり』後ろ戸から出てくるアレの正体とは!?

11月11日から新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』が公開されますね。11月7日にIMAXでの先行上映を観てきたので、一般公開直前のこのタイミングで考察してみたいと思います。「場を悼む」という言葉が出てきますが、それは、「場に関わった人」の問題だということなんですね。

ネタバレを含むので作品をご覧になってから読むことをおすすめします。

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。

やがて、日本各地で次々に開き始める扉。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所で
すずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。

公式HPより

廃墟というケガレチに現れるもの

すずめの戸締まりは、すずめが日本列島を縦断しながら廃墟に現れる「みみず」を鎮めていくというお話ですね。今は廃墟となってしまっている場所ですが、かつては人が集う場所であり、そこに関わった様々な人の思いでが紐づいている場所でもあります。

その人々の念が、使われなくなってしまった場に滞留しケガレチとなってしまっているということですね。その念が具現化したものがミミズと考えられるわけです。

伊予で出会う千果が以前通っていたと言っていた学校も、神戸のルミが以前連れて行ってもらったことがある遊園地にも、その場に紐づいた思い出を持っている人々が存在しています。廃墟になってしまったことを悲しむ思いも少なからずあることでしょう。

アレは○○を表していた

東京では、他の場所とは違って非常に大きなミミズが現れますが、これはその場に残った念が大きい、つまりそれだけ多くの人がその場所に関係しているということを示していると思います。

椅子にされた草太が、要石としてこのミミズを押さえるために刺されます。この時、ミミズが空に昇っていって巨大な雲のようになった場面を思い出してほしいのですが、地上にいる人々から黄色い線が上に上がっていっているのに気づかれたでしょうか。

雑踏を無関心そうに歩いている人々からこの線が出ていたんです。つまり、これは人々の意識が集まってできている集合意識を表しているということも言えると思います。

東京のような大きな街には、『天気の子』に描かれていたように様々な負の側面もあり、多くの人が自分の本来性とは随分とかけ離れた生活をしています。そのギャップの大きさ、言い換えれば本音で生きていない度合いが発生するミミズの大きさに現れているように感じられます。

すずめと環のやりとりの意味

「本音を出せない」というのが良く分かるのが、すずめがおばの環と一緒に東北に向かうサービスエリアで言い合いになるシーンですね。4歳の姪を引き取って、女手一つで育ててきたのに、すずめに好きにさせてくれと言われ感情が爆発、しまいには「私の人生返してよ!」と本音が出てしまいます。

実際にはサダイジンが憑りついていたことによって出てきたものですが、今まで言ってこなかった本音をぶつけ合ったことで、その後2人で協力してすずめの実家まで向かっていくことになります。

サダイジンは、わだかまっていた二人のエネルギーを解放し、表に出てくるようにしてくれたと見ることができます。それが、溜まっている人の念を浄化する「要石」としてのダイジンとサダイジンの役目だということもできますね。

自らと向き合うことで○○を浄化する

東北ですずめの実家近くの扉から常世に入ってダイジンとサダイジンは元の姿に戻って現世に出ていこうとするミミズを抑えようと力を尽くします。常世では震災によって破壊された街が燃えています。それだけ無念のうちに亡くなった人々が多かったことを表していますね。

常世ではすずめが草太を椅子から元の姿に戻し、二人で協力して要石に戻ったダイジンとサダイジンをミミズに突き刺して鎮めます。その瞬間、燃えていた炎が消えて青々とした草原に変わりましたね。

実は自らも震災孤児であったすずめ自身が、その苦しみを乗り越えてくすぶっていた大きな念の塊=ミミズを鎮めたことは、本人の大きな成長でもあり、その反転したエネルギーが常世に満ちることで、震災によって浮かばれなかった人々の無念さを浄化するという集合意識の解放になっています。

そして最後には、4歳の時に常世に迷い込んだ自分(小すずめ)と対面し、「あなたは大きくなる」と自らにエールを送っています。ある意味では4歳の自分からしたらハイヤーセルフである未来の自分からの導きと言えるかもしれませんね。

人は常に将来や、まだ起こっていない事、起こるかどうかわからないことに対する不安を抱えがちだけど、今自分が生きているという事実が、今までの自分を全て肯定していると言えるでしょう。

全ての流れを考えると、宮崎で要石をすずめが抜くことも、その後の旅も全ては幼い自分にエールを送れるようになるために起こった必然で、時間と空間を超えた存在である大神=ダイジンが必要な流れに導いてくれていたと見ることもできますね。

つまり、そうなることになっていた

すずめは、4歳の自分のハイヤーセルフとして自らの道を指し示し、更に高次の存在である神=ダイジンが、すずめをハイヤーセルフとして進むべき方向へと導いていったということですね。

閉じ師のような存在と一人一人の役割

ちなみに、閉じ師とは呼ばれないけど、人類の集合意識に溜まった念を浄化する役目を持って日々動いていらっしゃる方というのは、自分の周りも含め世界中にいます。

本当に人目に触れることはないけれど、そういった陰で動いてくださっている存在があって、大難が小難に、そして無難になっていっているんですね。そしてこの作品のすずめのように、一介の女子高生がそういったことをすることが、物語でなく現実に起き得る時代であるとも言えます。

勿論全ての人が閉じ師のようになるわけではないですが、一人一人が自分の内面を観ることが、ミミズが大きくなるのを防ぐことに繋がっています。怖れから本音を言わない自分の本来性でなく周りの人や組織、社会的通念に合わせて生きる人が多ければ多いほど、集合意識には歪みが溜まっていきます。

これは、ただのお話の世界の出来事ではなく、そういった歪んだエネルギーが溜まって、凄惨な事件や地震、巨大台風などの自然災害の形で具現化しています。例えば、自分が持つ上司のパワハラに対する恨みのエネルギーが、今東欧で起こっている紛争を助長するといった形で。

苦しみの意識によってミミズを肥大化させ、震災のように苦しみを強化するような出来事を増やすかどうかは、一人一人の意識の状態次第だと、この映画は教えてくれているように思います。

すずめが旅したそれぞれの場所についての意味は↓で考察しています。

新海誠監督作品の超深読み

『君の名は』や『天気の子』などの新海誠作品をはじめ、映画のネタを超えたネタゴエトークEART LIFE TVという形でJun Amantoさんとやっています。普通に観ているだけだと見逃してしまう隠れたメッセージの情報満載です。こちらもあわせてご覧ください!

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