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『すずめの戸締まり』すずめが列島縦断した意味とは!?

11月11日に『すずめの戸締まり』が公開になりましたね。一足早く11月7日に観た時の感覚での考察第2弾です。聖地は一体どこかといった考察は色々あると思いますが、今回はすずめはなぜ、こことあそことに行くことになったのか?について見ていきたいと思います。


始まりは九州から

物語の冒頭、坂の途中で草太と出会うすずめが住んでいる町は宮崎県にある港町ということになっています。作中の地図からすると日南市、港の雰囲気からすると油津港ではないかと言われていますが、宮崎が選ばれたのはなぜでしょうか?

まず、すずめの名前自体が岩戸鈴芽という名前で、アメノウズメ天宇受賣命)をモデルにしたと監督も言っていることから宮崎県高千穂への天孫降臨、天岩戸神話を下敷きにしているというのが分かりますね。

アメノウズメは芸能の神、福の神(おたふく)であり、巫女であるということからも、一介の女子高生ではあるものの、すずめは巫女の性質を持っているということができるのではと思います。

そして、西の要石はここ、東は東京にあることを考えると、天皇家のルーツとされている宮崎、そして現在の住まいがある東京に置かれていると見ることも出来るかと思います。ちなみに一瞬映っただけですが、淡路島に要石があった時期もあったようです。

千果との出会い

その後訪れる伊予(伊予西条)にも、天皇家と関係するものが出てきますね。みかんのご縁で宿に泊めてもらうことになった千果の苗字は海部(あまべ)。海部氏というのは、元伊勢と言われる籠神社の宮司を古代から行っている氏族で、天皇家の祭祀一族なんですね。そういった人の後押しを受けて旅を進めていくというのが見て取れますね。

東京はなぜあの場所だった?

そして、東京御茶ノ水。草太のアパートがある場所として出てきますが、なぜ御茶ノ水だったんでしょうか。ここは、江戸総鎮守である神田明神の傍ということで、東京を鎮める場所に敢えて住んでいるということも言えるかもしれません。

そして、ここでミミズが出てくるのは丸ノ内線のトンネルから地上に出てくる部分でしたね。ということは、円環状に配置された丸ノ内線自体が結界のような役割を果たしている?のかもしれません。

そしてミミズが出てきた方向には皇居があり、間の大手町には平将門の首塚があったりして、正に要とも言うべき場所ですね。椅子になった草太を突き刺してミミズを鎮め、すずめは水に落下します。

その地下にある扉は大きな門の形をしているので、これはもしかしたら皇居=江戸城の門?と感じさせられました。落ちる瞬間の画が一瞬映るんですが、どうも竹橋辺りの皇居のお堀のように見えました。

皇居からすると、竹橋、御茶ノ水、神田神社、寛永寺と、江戸の鬼門を守るために置かれた場所に向かって一直線に並んでいます。つまりこの扉は江戸城の地下、北東の方角である鬼門を守る位置にあることが分かります。

実は悪い方向とされている鬼門、丑虎の艮神は大国主命であり、国獲りで譲った側である大国主命を鎮めるという意味も込められているかもしれませんね。

もうちょっと見ていくと、国津神の代表である大国主命、その系統である宗像(草太)が要石として鎮める役割を担う、という構造になっているということも言えるのかも?と考えられます。

また、門のような扉から椅子にされた草太が刺さっているところを見ると、富士山のような形をしていることが分かります。ということは、いつ噴火してもおかしくない富士山の押さえも東京の要石がしているということもあるかもしれません。

そういえば、君の名はでの場所の意味は以前触れていますね。ここでも直接出てはこないですが皇居が関係しています。

神戸に行くことになったのは?

すずめが神戸に行くことになったのはなぜでしょうか?かつて都が置かれたこともあるので、天皇家にも関わりのある場所ではありますが、何か別の理由があるように思います。

神戸は、書いて字のごとく神の戸を表していて、今回の戸締まりというタイトルにも出てくる扉というのと、言葉で繋がっているのかも。神々のいるあの世=常世と繋がる扉があるのが神戸ということなのかもしれません。

ミミズが出てくる場所は六甲山系の山の中にある遊園地ということになっていますが、六甲と言えばカタカムナ文献が見つかった山でもあります。そして淡路島からこの辺りにかけては東経135°が通る地域でもあります。

1995年に起こった阪神・淡路大震災は、それまで0°にあった文明の中心が、135°に移ってきた号砲であると言われます。そういう意味では、西から東まで移動した天皇家が戻ってくる場所としての135°という意味があるのかもしれません。

加えて、すずめ自身が被災した東北地域と同じく、地震で大きな被害を受けた場所でもあります。扉の場所は遊園地でしたが、震災つながりで選ばれたと見ることもできると思います。実際多大な被害を受けたことで、兵庫県の経済は大きく地盤沈下し、回復するまでに長い低迷期に入っていました。そういった念も少なからず入っているのではと感じます。

一方で、ボランティアやNPO活動などが活発化することになったのもこの震災でした。東北震災では神戸周辺から多くのボランティアや支援が入ったことが知られていますが、お互い様の精神が、日本にはまだ息づいていることを象徴する出来事と言えるでしょう。

そして東北へ

各地のミミズを鎮めながら、すずめは最終的に自分が孤児となってしまった東北・宮城の実家跡を訪れます。途中で一緒にドライブすることになった芹澤から美しい場所だと言われ、驚く場面が出てきますが、すずめにとっては日記にもあったように黒歴史であり、トラウマを抱えることになったきっかけの場所でもあります。

その大きな苦しみを消化(昇華)するために、自らの過去と向き合いに東北に赴くわけですね。これは場に残っている念を鎮めるということと、自分自身が抱えている苦しみが繋がっているということを表していますね。

これまでにも、江戸時代などに定期的(約70年おき)に地震が起こっていたりするんですが、飢饉や打ちこわしなどの社会不安とこれらの地震は時期的に連動しています。正に、これからまた起こるかもしれない地震を、集合意識の解放を介して防いでいくという巫女的な役目のためにすずめは動かされていたということですね。

この一連の東に向かっていく動きというのは、天皇家が東に移っていったプロセスを表していると書きました。そして東北には蝦夷と呼ばれる縄文系の人々が暮らしていましたね(もののけ姫のアシタカの一族など)。

そういう意味では、先の大国主命との関係や、草太が宗像であるというのも考え合わせると、大和民族による「ごめんなさい」の旅だった?と考えることもできるかもしれません。

逆に、縄文やさらに古くからの伝統が比較的色濃く残されてきた場所なので、北海道や沖縄は物語の舞台に選ばれなかったということなのかもしれませんね。

旅の道中、千果やルミ、芹澤、そしておばの環など、様々な人に助けてもらいながらミッションを成功させたすずめのように、大変な時にお互いを助け合う本来の日本人の精神に立ち戻っていく必要があるということもこの映画は表しているように思います。

『君の名は』は〇軸『天気の子』は〇軸の話!?

『すずめの戸締まり』の前の作品である『君の名は』、『天気の子』も含む映画のネタを超えたネタゴエトークをJun Amantoさんとしています。かなり深い考察が入っているのでぜひご覧ください!


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