『だべり場』って!?医師と看護師による会議でもカンファレンスでもない情報共有の場に潜入してみた!
こんにちは!musubi Group採用担当大口です。
今回はmusubiのクリニックと訪問看護ステーションmusubiが実施した『だべり場』に参加してきました。訪問診療や訪問看護における利用者様やご家族様、多職種との関係性の構築や取り組みについてレポートしていきます。
『だべり場』とは??
musubiのクリニックの医師と看護師、訪問看護ステーションmusubiと訪問看護ステーションmusubiホームの看護師やリハスタッフたちの情報共有の場として、『だべり場』を月に4回(musubiのクリニック×訪問看護ステーションmusubi/月2回、musubiのクリニック×訪問看護ステーションmusubiホーム/月2回)開催しています。この会では、会議やカンファレンスのように事前に資料を準備してのぞむものとはちがい、毎回平尾先生がトークテーマを設定して、各々が想っていることを話す場となっております。
今回のトークテーマは?
平尾先生より、musubi Group全体で行われた事例発表会で訪問看護ステーションmusubiの看護師が発表した内容について話していきたいと提案がありました。訪問看護ステーションmusubiの発表した内容は『対・人として関わること』でした。
平尾先生:
今回の発表を定量的に判断のできる、『disease(病気の状態)やhealth(健康の状態)』、定量的ではない『illness(患者の病気に対する考え方)やwellness(コンディション)』というところから分析していけたらと思っています。
発表のよかったところは、まさにillnessを理解したから、healthの状態にもなったし、wellnessを感じれたと思います。医療者が医療を考える時に、このillnessとwellnessが出来ないと、患者様との関係性は構築できないので、ここを深堀できればと思います。
看護師のパトリシアベナーさんという方がいて、『illnessの持つ意味を理解することで、患者が病気に対してどう思っているかを理解する。看護師は患者家族との関係構築だけでなく、wellnessを高めて、治療目的だけではない場合でも、患者の生活をみとって、癒しの存在となり、その状況そのものにケアという概念がある』と言っていて、そこで言語化コミュニケーションと情報的コミュニケーション、いずれにせよ、患者様と視点を合わせることがすごく大事ということを、パトリシアベナーさんは言っているんですね。
凄い面白いなと思っていて、やっぱりillnessは大事で、同じがんという病気にかかっていたとしても、その病の経験は、患者様の人生のどの段階にいるのか、ということだったり、どのような社会的・家庭的環境におかれているのか、とか患者様がどんな経験をしてきたのか、今何を大事にしているのかは個々に本当に千差万別なので、それがめっちゃ大事だねということを言っています。
musubiのクリニック在籍看護師(以下CL看護師):
illnessを感じ取るところって、医療者側にもよるなと思っています。例えばその患者様が病体験とかを語ったとしても、それを聞き手がちゃんと受け止めれるタイプの人間なのか、それを聞いても聞き流してしまうタイプの人間なのかによって、illnessの活用のされ方は全然ちがうなと思いました。同じ事を話していたとしても、多分その人によって受け取り方がちがうのかなって。
平尾先生:
それがいいんですよ。それぞれが、それぞれのアプローチでやるというところが、結局大事ということです。だから、この前の全体での発表の中で、やっぱりこういうところにスポットを当てて、やっていくということが、ものすごく大事だろうと思いましたね。
想いを伝えるというスキル
訪問看護ステーション在籍看護師(以下訪看看護師):
多職種とやる時に、患者様の状態がそれぞれあった時に、どう捉えるかはそれぞれじゃないですか。どこを多職種の方は大事に思っているか。illnessとかwellnessではなく、まずは病気でしょという方も多かったりします。musubiはその人らしさを大事にしたいというところは言語化出来るけど、そこをどうやってわかってもらえるか、共有していけるかっていうのが、訪問看護をやっていて大事なことだなと感じています。発表者さんの場合は、そこを大事にしたいから、外部の主治医や家族様に話をしていました。想いを伝えるというスキルは、めちゃめちゃ大事だなと感じました。
平尾先生:
今訪看の看護師さんが話してくれたことは、チームのすごく大切なファクターを話してくれていて。
訪看看護師:
患者様を中心にってところですよね?
平尾先生:
そうそう、チームで連携して患者様に還元するという点で。
訪看看護師:
患者様が心地よくいれる環境をつくるということですね。全部をこれにあてはめなくてもいいとは思っていて、それが正解とかはないじゃないですか。
発表を実施した看護師(以下発表者):
患者様のカンファレンスに行った時に、病院の看護師さんたちもきっと葛藤はあるんだろうなと感じました。患者様が高カロリーによって、三トンをつけられていて、多分それを誰もよくは思っていなくて、でも病院の対応としてはそうせざるを得ない。
平尾先生:
在宅の強みでもあるのが、wellnessのところまで診れるということだと思っています。むしろその三トンとか、そういうことをするルールとかがない。自由だからこそ、自分たちで決定していかないといけないんだけど、そこに広がりがある。
葛藤や悩みに対して
訪看看護師:
看護師Aさんはどうですか?他の訪問看護ステーションでも働いて、色々と話してくれる事もありますが、色んな葛藤をしながらmusubiに入社したと思うのですが。こういうことを大事にしたいと思って、色々アプローチしたりとか、多職種の方に言ってくださったり、してくれたりすると思うんですけど、どんな葛藤がありましたか?
看護師A:
前職では在宅なのに、病院みたいに決めごとをされて、患者様の想いじゃない方向にすすんでしまっていたことがありました。それに対して前職の事業所は、管理者に意思決定が集中していて、管理者が全てを決めれる状態でした。管理者を通さないと、患者様の想いも通らないというようなところで働いていたんですけど、私が直接主治医に言えるわけじゃなく、管理者からしか言えない。私から管理者に利用者様の希望を伝えるけど、主治医に伝えてくれなかったりとか、そういう葛藤がありました。
平尾先生:
チームがうまくファンクションしていない時に、そういう葛藤を抱えますよね。特にフローがそうなっていると、そうせざるをえないですもんね。どうしようもない状況や考え方にとらわれてしまっている人っていると思うんですね。
そういう意味でもdiseaseを理解してほしいですね。diseaseだけを理解する人になると、頑なになっていってしまうというか、中々難しいです。illnessやwellnessがあってdiseaseがあるんだなと理解できると、よりdiseaseの意味がわかってくる。みんなに共有したかったのは、定量的なdiseaseやhealthを共有するには、illnessやwellnessを共有しないと、共有できないですよねというところなんです。
これだからこうではなく、どういう人かによって合わせることが大事。そういう傾向を知ったうえで、どうやって診ていくことが大事かなと思います。
サポートをするポイントを見いだすことが大切
訪看看護師:
illnessやwellnessを聞くときに、伝えてもらえるような自分じゃないとあかんなと思いました。その時の関わり方も、言葉がけや対応だったり、そこにいくには、diseaseの話しかしてなかったら、相手はその話しかしないと思うし、それ以上の情報はくれないと思いました。
CL看護師:
発表者さんの発表の中には、このフェーズの部分がそれぞれあると思う。
平尾先生:
ここをサポートするんだなというポイントを見いだすことが大切だなって感じます。
訪看看護師:
そこに気付けた時の家族さんの反応とか、本人様の満足感はすごいあるなと。ただ、バランスは大事ですよね。diseaseを忘れてwellnessだと言っていても、絶対患者様の満足は得られないと思うんですよ。wellnessが大事だよと言ったところで、いやいや僕はdiseaseを診てほしいんだよと思う患者様もいると思うんですよ。
平尾先生:
そこを焦点に合わせて、波長を合わせる周波数は大事。相手と視点を合わせるという、周波数を合わせるっていうイメージ。そこから、この人の大切さをどう昇華させていこうかなという。そういうイメージです。
『だべり場』参加レビュー
今回、『だべり場』に参加させていただき、普段の看護師としての悩みを、医師という専門的な分野からアドバイスをもらえる良い場だなと思いました。手技的な成長はもとより、想いや考え方を深める、在宅医療や訪問看護としての専門的で多角的なアプローチを可能にしているのは、こういう場があるから出来ているのではと感じました。
直近で何か悩むこともあるかもしれませんが、おおもとの考え方を共有したり勉強することで、迷ったときにたちかえる場所がここにはあるのかなと。
人との関りの中で正解がない中で、みんなの体験を共有し、自分たちの行動を振り返り、これからの行動に自信を持って、明日から頑張ろうと思える素敵な時間でした。
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