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【メイドカフェ】を文化にした者からオタクへの密命

「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「どうも」嘗て同一ブランド世界最多店舗数を誇るNo.1メイドカフェチェーン(当時の在籍メイド数500人以上)を運営する企業の事業推進部長を一時期務めていたIwahori Toshikiです。

敢えてタイトルでは「メイドカフェを文化にした者」と書きましたが、「メイドカフェ(Japanese maid café)を文化として政府に認めさせた者」というのが正確なところになります。「メイドカフェ文化」(Japanese maid café culture)を日本を代表するカルチャーとして日本政府に認めさせ、メイドカフェを業とする企業として初めて内閣府「クールジャパン官民連携プラットフォーム」に参画させたのが私です(エンターテインメント業界的には韓国からグローバル市場に韓流ブームを起こした仕掛け人として知られていますが、クールジャパンにも貢献しています)。ただし、現在は当該企業に属しておらず、本稿も個人的見解となります。

メイドカフェ文化を育む

実際に「メイドカフェ」あるいは「メイド喫茶」を文化として育んできたのは、『コスチュームカフェ』(コスチュームカフェ実行委員会)や世界初となるメイドカフェの常設店『CURE MAID CAFÉ』(2001年)を開設したコスパグループのみなさん、2001年からメイドカフェのメイドをなされている『ひよこ家』(2001年)のひよこさん(本当の店長の名前は「ひよこちゃん」ではなく「まいさん」です)や『Cafe Mai:lish』(2002年)のまほれ店長・まゆみ副店長(いわゆる「メイド四天王」のひとり)といったレジェンドメイドさんたち、そして名も無きオタクたちであり、私などが「メイドカフェを文化にした」などと言うのは本来おこがましいことです。

メイドカフェは文化になったのか?

そもそも「メイドカフェ」あるいは「メイド喫茶」は文化となったのかという問いが依然として存在します。この問いに対する統一見解はまだ形成されていないと思います。界隈でも見解が大きく分かれることでしょう。「オタク」と同様に一般化したと見做し、既に文化(カルチャー)として捉える向きも当然いると思います。一方、『めいどりーみん』を運営するネオディライトインターナショナルの社長は「メイドカフェをサブカルチャーではなくカルチャーにする」ことを目標のひとつに掲げています。

北米最大のJapanカルチャーイベント『Anime Expo 2017』で「モーニング娘。」に取って代わり公式テーマソングを担当した「めいどりーみんドリームチーム」を率いた私の個人的感覚としてもやはり「メイドカフェ文化」は道半ばというのが正直なところです。

メイドカフェか?メイド喫茶か?

「メイドカフェ」あるいは「メイド喫茶」という名詞が一般名称化している時点でサブカルチャーではなく文化(カルチャー)だという意見もあるかもしれません。「メイドカフェ」という表記と「メイド喫茶」という表記がありますが、「カフェ」か「喫茶店」かは営業許可が「飲食店営業」か「喫茶店営業」かの違いと考えて差し支えないと思います。

分類的には、コンセプト飲食店⊃コンセプトカフェ⊃コスプレカフェ⊃メイドカフェ⊃メイド喫茶、コンセプト飲食店⊃コスプレ飲食店⊃コスプレカフェ⊃メイドカフェ⊃メイド喫茶といった感じです。

『CURE MAID CAFÉ』『JAM Akihabara』『メイド喫茶橙幻郷』などイメージ的には「純喫茶」という雰囲気で店名に「メイド喫茶」と入っているところもありますが、どこもガッツリ食事ができるので(未確認ですが)営業許可的には「カフェ」なのだと思われます。ここで少しメイドカフェの歴史を振り返ってみます。

メイドカフェ御三家

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「メイドカフェ御三家」とは、世界初となるメイドカフェの常設店として2001年に開店した『CURE MAID CAFÉ(キュアメイドカフェ)』、同じく2001年に開店した「昼はメイドカフェ、夜はメイド居酒屋」の『ひよこ家(HIYOKO家)』、2002年7月19日開店でメイドさんが特定のコスプレネームを持つようになった『Cafe Mai:lish(カフェメイリッシュ)』(開店当時の店名は『Mary's』でコスプレ喫茶だったそうです)を指します。

オタクの社交場として確立

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「オタクの社交場」としてメイドカフェを確固たる存在にしたのは移転前の『ひよこ家』です。秋葉原に来たオタクたちは『ひよこ家』に集い、パソコンやアマチュア無線の情報交換を行い、マンガやアニメ、ゲームなどの話題で熱い議論を交わしました。残念ながら移転後は十分なスペースがなくなってしまいましたが、元祖「オタクの社交場」が存続しているだけでも有難いことです。パステルカラーのメイド服をバリエーションの一種として初めて採用したのも『ひよこ家』でした。

そして、2001年のメイドカフェ誕生からメイドさんをなされているひよこさん(本当の店長の名前は「ひよこちゃん」ではなく「まいさん」)はいわゆる「メイド四天王」を超越したレジェンド中のレジェンドメイドです。もはや「人間国宝」と言っても過言ではないでしょう。

メイドさんのタレント化

メイドカフェにおいて個々のメイドさん(Japanese maid)にスポットライトを当て、メイドさんの個性を尊重し、メイドさんをタレント化したのは『Cafe Mai:lish(カフェメイリッシュ)』が始まりです。

開店当時の店名は『Mary's』でコスプレ喫茶だったそうで、ウエイトレスが同店の制服とも言えるオリジナルのメイド服を着用して給仕する「メイドタイム」とウエイトレスが自身の持つキャラクターコスプレ衣装を着用して給仕する「キャラコスプレタイム」の二部構成だったとのことです。ポイントはコスプレイベント等で活躍中のコスプレイヤー10人をウエイトレスとして採用してスタートしている点にあります。

もともとコスプレイヤーやアイドルがメイドカフェのメイドさんになっていることが多かったという当時の状況もあり、オタクにとって会いに行けるアイドルとしてメイドさんのタレント化が加速しました。

テーマパークとしてのメイドカフェ

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メイドさんのタレント化とほぼ時を同じくしてメイドカフェのテーマパーク化が起こりました。テーマパークとしてのメイドカフェを確立したのが『メイドカフェぴなふぉあ』(2003年)です。秋葉原駅前のガラス張りの路面店(残念ながら「ぴなふぉあ1号店」は現存せず)は観光スポットになり、多くの人が店内を覗き込む光景が常態となりました。ピンクを基調としたメイド服も革新的で、メイドカフェ業界に震撼が走りました。

また、『電車男』などの作品を通じてメイドカフェの存在を広く世間に知らしめたのも「ぴなふぉあ」でした。「ぴなふぉあ」が切り拓いた道を発展的拡張により独自進化させたのが、エンターテインメント系メイドカフェである『あっとほぉーむカフェ(@ほぉーむカフェ)』や『めいどりーみん』(および『アキバ絶対領域』)、コンセプトカフェとしては『王立アフィリア魔法学院』といって過言ではないでしょう。

メイドカフェ定番フレーズ

メイドカフェ御三家には、お客さんを「ご主人様」と設定するコンセプトはありませんでした(現在でもありません)。お客さんを「ご主人様」「お嬢様」設定し、「お帰りなさいませ、ご主人様(お嬢様)」というフレーズを生み出したのは名古屋・大須のメイドカフェ『M’s Melody』(2002年9月13日開店 - 2018年7月1日閉店)だと界隈で言われています。

残念ながら「お帰りなさいませ、ご主人様(お嬢様)」フレーズ発祥のお屋敷『M’s Melody』は現存していませんが、今ではメイドカフェのみならず大多数のコンセプトカフェ(コンカフェ)にとってなくてはならないフレーズとなっています。

また、御三家など伝統的なメイドカフェには存在しませんが、エンターテインメント系メイドカフェには「おいしくなーれ、萌え萌えキュン」などのおまじないフレーズがあります。おまじないフレーズが知られるようになったのは『あっとほぉーむカフェ(@ほぉーむカフェ)』hitomiさんの貢献によるところが大きいと思われますが、あくまでエンターテインメント系メイドカフェに限定されたフレーズであり、メイドカフェ(メイド喫茶)一般のフレーズではない点に注意が必要です。

未来を切り拓くのはオタク!?

メイドカフェにはお屋敷やメイドさんの創意工夫があり、現在に至る発展と変遷を遂げてきました。しかし、通奏低音として常にメイドカフェを支えて来たのはやはりオタクたちです。コロナ禍でオンラインメイドカフェなど業態も普及したり、これから先いかなるメイドカフェが誕生することになってもメイドカフェを支える猛者こそがオタクなのです。

コロナ禍に揺らぐメイドカフェ

2020年度のGDPは前年度比4.6%減と日本の多くの産業同様、いわゆる「メイド四天王」のひとり有井エリスさんが主催したメイドカフェ『私設図書館 シャッツキステ』(旧『シャッツキステ屋根裏部屋』2006年3月15日開店)が2020年11月15日に閉館するなどメイドカフェ業界もコロナ禍で揺らいでいます。秋葉原名物メイドさんのお散歩も、今ではメイド通り、ジャンク通りだけでなく、中央通りまで本物のメイドカフェのメイドさんではない「メイドカフェに見せかけた」プチぼったくりカフェ&バーの呼び込み似非メイドが大勢を占めるようになりました。

現在ではオタクに憬れコンテンツを消費する一般大衆というべき巨大な層が形成されたとも言われますが、オタクに憬れる層は当然メイドカフェを支えなければなりません(と断言しておきます)。せっかく秋葉原に来たのだからメイドカフェに行ってみようという層は呼び込み女子(ガールズ)に注意し、無銭がっつきしながらスマホで店の情報をしっかりチェックしたうえで、問題なければそのお店へ行きましょう(もちろん、プチぼったくりカフェ&バーへ行きたい方々の話は別ですが、無許可接待営業の場合は風営法違反になります)。

ただし、メイドカフェ御三家など伝統的メイドカフェ、エンターテインメント系メイドカフェでも『あっとほぉーむカフェ(@ほぉーむカフェ)』などのメイドさんはお散歩を行っていませんので、呼び込みを振り切りお屋敷(お店)目掛けてまっしぐらでお願いします(ちなみに『めいどりーみん』のメイドさんはお散歩しています)。

全てのオタクはすべからくお屋敷に帰宅せよ

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メイドカフェを文化として政府に認めさせた者として(なぜか上から目線で)オタクに密命を下します。全てのオタクに対してメイドカフェへの帰宅を命じます。ステイホームです。

パンデミックという人類共通の敵を前にしても人類はひとつになれないことをコロナ禍が証明しましたが、オタクは団結してください。推しがいるお屋敷、嘗て愛でたメイドさんがいたお屋敷、箱推しするお屋敷、嘗て住んでいたお屋敷、緊急事態宣言明けにでも新型コロナウイルス感染対策を行ったうえで、思い当たるお屋敷にすべからく帰宅しましょう。

その際、決して密命を受けて帰宅したとは言わないよう肝に銘ずることです。あくまでも「コロナ禍で大変だろうから様子を見に来たよ」と自らの意思で帰宅した体裁を保つことを厳命します。たわいない会話を交わすもよし、オタトークをぶち込むもよし、戦術の遂行はオタクに一任します。

メイドカフェを愛する全てのオタクはすべからくお屋敷に帰宅せよ。

尚、このメッセージは自動的に消滅しません。



SDGsビジネスnoteアカウントへのご帰宅もお待ちしております。


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