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YouTubeの動画戦略「3Hを、3S戦略へ」

noteをご覧いただき、ありがとうございます!音楽マーケティングのnoteを書いている宮本(Twitterはコチラ)と申します。音楽マーケティングに関して考察したnoteとか書いておりますので、「はじめまして!」の方はぜひお時間ある時にご覧いただけると嬉しいです!

このnoteではGoogleが2014年に提唱した「3H戦略(HHH戦略)」を僭越ながら「3S戦略(SSS戦略)」とアレンジさせて頂き、その内容をできるだけコンパクトにまとめています。

3S戦略は「視聴者のコンテンツへの関心を、クリエイター(ブランド)への関心へとスライド・深化させ、ファンになってもらうための戦略」です。

対象はアーティストさんやクリエイターさん、エンターテイメント業界ですが、コンテンツマーケティングの方々も活用できる部分あるんじゃないかな?と考えていますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです!

それでは早速まとめていきます。

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「3H戦略(HHH戦略)」って?

Googleさんが発表されたコンテンツ・動画戦略が「3H戦略(HHH戦略)」です。これはGoogleがYouTubeを分析、視聴者が好む動画を分類して、企業やブランドにとって役に立つコンテンツを3つに整理したものです。

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引用:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

簡単にご説明します!

Heroは、普遍的な欲求を刺激する、めちゃくちゃ強いヒット動画。

Hubは、生活者の興味関心とブランドを掛け合わせた動画。図解で説明するとこんな感じで、重なるところでクリエイティブを作ります。

hub動画

例えば『FINAL FANTASY VII REMAKE』の宣伝で公開された7分TV CM。(現在非公開のため、公式動画ではございません)
「ドラマ」、「窪田正孝さん」「森田望智さん」、「玉山鉄二さん」という生活者の興味と掛け合わせた動画です。CMでしたし、パワーとしてもHero級ではありますが... 「分かってるな!これ作ったやつ!」とファンが唸る素敵なクリエイティブも必見。

任天堂さん×よゐこさんによる「よゐこの○○で○○生活」も好事例。「ゲーム実況」、「ゲームセンターCXのよゐこさん」という、ゲームファンの興味関心と掛け合わせた動画で、Nintendo公式チャンネルの大人気番組です。


Helpは、具体的なニーズに応える動画。
メルカリさんはYouTubeチャンネルで「メルカリガイド」という形でたくさんのHelp動画を公開されています。

スクリーンショット 2021-04-13 14.24.52

前述の任天堂さんでも、解説系動画としてHelp動画を上げられてますね!


これらHero - Hub - Helpでチャンネル運営しようぜ!というのが、Googleさんが言う3H戦略です。

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引用:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

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3H戦略を、アレンジする

で!本題はこれからです。
実はこの「3H戦略」を音楽アーティストに落とし込もうとするとなかなか難しく、アレンジできないか?と考えていました。エンタメの場合、そもそも生活者の興味関心ゾーンではあるので、もう一段階深い方法がないかなー?と。

そこで、今回アーティスト・エンターテイメント用にアレンジしたのが「3S戦略(SSS戦略)」です!何が変わったかというと

スクリーンショット 2021-04-19 19.07.15

Heroが、Superに。
Hubが、Synergyに。
Helpが、Storyに。

このように変わっています。

では詳しく「3S戦略」について、説明させて頂きます。

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「3S戦略(SSS戦略)」とは?

一言で言うと「YouTubeのレコメンドを活用し、新規視聴者をファン化させるための動画戦略」です。

3つのSはそれぞれ、このような内容。

SUPER:Heroコンテンツ同様、ヒットコンテンツ

SYNERGY:ヒットコンテンツとコンテンツ、コンテンツとアーティストを結びつけ、興味を深めるコンテンツ

STORY:ストーリーや舞台裏など、クリエイターへの興味を深め、コンテクストを増やすコンテンツ

そして3つのSは、このように作用しあいます。

- 3S戦略(SSS戦略) -
SUPER

SYNERGY ⇄ 他のクリエイター

STORY

音楽アーティストで例えてみるとわかりやすいので、アーティストを例にお話させて頂きます。

-藤井風さんの場合-

1. SUPER動画が、興味を獲得
藤井 風(Fujii Kaze) - “何なんw”(Nan-Nan) Official Video

2. SYNERGY動画で、曲からアーティストへ興味を誘導
藤井 風(Fujii Kaze) - "何なんw"(Nan-Nan) Behind The Scenes

3. STORY動画で、アーティストへの興味を深める
Artist on the Rise: 藤井 風 (Fujii Kaze)

4. 結果、私めっちゃファンです!!!


と、(最後めちゃくちゃ主観ですが)このように「ヒットソングから、アーティストへ興味を誘導する」ことを重要視します。

この「アーティストへ興味を誘導する」という点が、最大のポイント。昨今、トレンドの移り変わり速度が尋常ではない為、楽曲からアーティストへ興味が誘導できないと、ファンが定着せずに今後の活動でビハインドになります。

このビハインドを阻止しつつ、よりアーティストの”沼”にハマってもらおう。というのが「3S戦略」です。”沼”と表現したように、この3S戦略には条件があります。それは「(ファンにとっての)クオリティ × 本数」です。

というのもレコメンドを主軸にした戦略のため、動画本数が重要となります。レコメンドされるSUPER動画が多ければ多いに越したことはないですし、SUPERまでいかなくともSUB-SUPER的な動画(他のMV等)があれば、強く作用します。”沼”たり得るコンテンツ量がポイントです。

前述の藤井風さんは最高な1st ALBUM収録曲11本、8本の最高なMUSIC VIDEO、7本のライブ映像、100本の弾き語り動画をチャンネルに公開されているので、完全に沼ることができます!

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参考値:YouTubeビデオ数/アルバム収録曲数

ちなみに...
シングル収録曲数にもよるので単純比較はできませんが、昨今のヒットアルバムの「ビデオ公開曲数/アルバム収録曲数」を載せておきます。
皆様、とんでもないクオリティの楽曲を生み出されてるのでこの楽曲クオリティが最大のヒット要因ですが、相関性はありそうです。

- YouTubeビデオ公開数/アルバム収録曲数 -
米津玄師『STRAY SHEEP』(9曲/15曲)
YOASOBI『THE BOOK』(7曲/9曲)
Eve『Smile』(7曲/13曲)
ヨルシカ『盗作』(6曲/14曲)
King Gnu『CEREMONY』(5曲/12曲)


参考話:多くの動画の重要性
この2つのTweetからも本数が重要なことは感じられると思います。

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話を戻しますね!
図解するとわかりやすいので、一度「3S戦略」を図解します。

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本来「無関心の壁」によって見てもらうことはできないのですが、SUPER動画がこの無関心の壁を破り、SUPRE動画を視聴した結果、YouTubeによってアーティスト(チャンネル)の動画がレコメンドされていきます。

SUPER動画で気に入ってくれた時、まだリスナーのファンレベルはLEVEL 1でしょう。このLEVEL を100にするべく、どんどん沼ってもらうのが目的です。

そのためのポイントは3つあります。
1. SUPER動画の多角化
2. SYNERGYの重要性
3. STORYの多様性

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1. SUPER動画の多角化

ここで重要なのはSUPER動画が生まれた時に、SUPER動画の別ver.を複数つくることです。BTSさんは大名曲『Dynamite』を、各音楽番組でのパフォーマンスや、別ver.、振り付け動画など、少なくとも51個のビデオを公開されています。(プレイリストはコチラ

もちろん世界的な大ヒットだからこそ、この本数は可能だとは思いますが、凄すぎですね!

韓国では音楽番組が平日毎日あるので、K-POPは自然と多角化がなされるのがYouTubeと相性がいい由縁ですね。

日本を席巻中の、Adoさん『うっせぇわ』では、Piano Ver.、

Giga Remixと、

原曲『うっせぇわ』と異なるアレンジの2本を公開。

優里さん『ドライフラワー』では、MV5,000万回再生を記念してディレクターズカットver.を公開。

みなさまご存知THE FIRST TAKEも、めちゃくちゃ大きな多角化の一つです。

ONE OK ROCKさんも、LIVE映像を中心に実はめちゃくちゃ多角化されています。名曲『We are』では、LIVE映像作品からの切り出し、

翌年ドームツアー映像作品からの切り出し、

バーティカル(縦型)ビデオ、

NHKさん「18祭」の動画も!(番組がYouTubeにアーカイブを残してくれるかは一つのポイントですね。)

この他にも数多くのライブ映像をアップされています。強みを踏まえた多角化が最も強いということを改めて認識します。

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2. SYNERGYの重要性

SYNERGYが一番分かりやすいのは、総合格闘技のRIZINさんだと思います!

RIZINさんでは「RIZIN CONFESSIONS」という試合前・後のストーリードキュメンタリーがあり、

【密着】Preparationがあり、

記者会見の生放送があります。

これらの映像は、大会と選手を繋ぎ、選手と選手を繋ぎ、各選手のストーリーや文脈・関係を知ることで、より深い興味関心(スキ)が生まれます。

更に、この縦の広がりに加えて朝倉兄弟を筆頭とした各選手のYouTubeチャンネルに選手名を軸に繋がっていきます。図解するとこのような形。

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RIZIN、そして朝倉兄弟をパイオニアとしてYouTubeを初める格闘家が増えたことで一つのエコシステムが出来上がったのが、ここ最近の総合格闘技シーンだと思います。K-1も勿論、同じように盛り上がっているので格闘技シーン全体が盛り上がってますね!

このように動画同士を繋ぎ、相乗効果を出すのがSYNERGYです。SUPERコンテンツから、クリエイター(チャンネル)に興味を誘導していきます。


補足:アーティストの場合
UGCは外とクリエイターを繋ぐSYNERGY動画で、重要です!UGCが生まれやすい動画が公開されているとめちゃいいですね。ダンスの振り付けがあれば振り付け動画。バンドであればパート別の弾いてみたとかとか。

歌い方動画とかとか!(しらスタさん最高!)

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3. STORYの多様性

3HのHero - Hub - Helpだとフワッとして分かりにくいかなー?と思って、”STORY”と規程する言葉を使いましたが... STORY動画には幅が必要です。

目的:
クリエイターのことをより深く知ってもらい、クリエイターのファンになってもらう。

規程:
これ迄のSTORYと、これからのSTORYの一部になる動画

「どんな映像でもその人のSTORYになるねんから、なんでもいいやん!」っと、心の中でツッコミを入れた方。

その通りです!

クリエイターのこと(STORY)をよく知ってもらえるのであれば、なーんでもいいと思います。主語がクリエイターになればいいんです!

ですので、番組のスタイルは勿論!

ゲーム実況でも勿論!

本人解説動画も勿論!

ドキュメンタリーも勿論!

楽曲制作(再現)、カバーも勿論!

企画系も勿論!

Vlogも勿論!

クリエイターさんの良さ・強みが活きるコンテンツであり、クリエイターさんが主語になっている動画が重要です。

BTSさんを筆頭にK-POPアーティストさんたちは、番組やVlog、あらゆるタイプの動画をお持ちです。

このSTORY動画(コンテンツ)の量は、ファン化の大きなポイントなのは間違いないと思います。単純接触効果もありますし!

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「3S戦略」のまとめ

まとめさせていただきます!

3S戦略とは「YouTubeのレコメンドを活用し、新規視聴者をファン化させるための動画戦略」です。

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SUPER動画で無関心の壁を突破し、SYNERGY動画でコンテンツとコンテンツ、コンテンツとクリエイターを結び付け、STORY動画でクリエイターへの興味を深め、ファンに誘っていきます。

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ぜひ、アーティストやクリエイターさんのファン化にご活用いただけると嬉しいです!もちろん各動画で”いいね”や”フォロー”を促すのもめっちゃ大事なので、一つ一つ積み重ねていきましょう!

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さいごに

「3S戦略」いかがでしたでしょうか?気にいっていただけた方は、是非いいね、シェア、よろしくお願いしますっ🙇

Twitterでも音楽マーケティングを中心に情報発信しているので、noteと合わせてぜひフォローいただけると嬉しいです!

Twitter:Miyamoto164


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