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ソフトバンクではなくヤクルトのファンになった私たちの物語 【4/19 中日戦⚫️】

ナゴドの試合だなあ、という試合が繰り広げられていた。いや、というか、いつものヤクルトだよなあ、と。

朝からPTAの仕事で小学校へ行き、午後から保護者会で保育園へ行き、むすめを習い事に連れて行き、めずらしく母親みたいな仕事(どこが)をしてどっと疲れていた。たぶんこの数日の試合の疲れも残っている。(別に私が試合をしたわけじゃないのに。)私はテレビの前で多くのため息をつきながら静かに日本酒を飲んだ。

あまりにヤクルトたちが点を取りまくり勝ちまくるので、めっちゃ強くなってファンも増えちゃって神宮のチケットが全く取れなくなったりしたらどうしよう・・・!!!と、私は大変恐れていた。人気球団になってしまう・・!!と。

まあ当然といえば当然なのだけれど、そういう一種の不安を、ヤクルトたちは一気に吹き飛ばしてくれる。心配しなくて大丈夫だよ、ナゴドでヤクルトらしい試合を見せてあげるよ、といわんばかりに。いや、言ってないけど。(当たり前だ)

まあ、そりゃそうだよな、と思う。なにごとも、そんなにスムーズにうまく行くわけじゃない。私が好きになったのは、ソフトバンクではないのだ。

九州に住む、九州生まれ九州育ちのヤクルトファンの方から、twitterでメッセージをいただいた。ご家族は(もちろん)ソフトバンクファンで、ご家族と一緒にソフトバンクの試合を見に行くと、毎回勝ってくれるそうだ。

それでもご自身は、そんな環境の中、ヤクルトファンになった。いや、なってしまった。

ちなみに彼女が過去に3回だけ球場で見たヤクルトの試合は、すべて負け試合だったそうだ。(そのうちの1回は、なんと去年のマツダのサヨナラ負けも含まれている)

それでも、たまにしか見られないヤクルトの試合が楽しかった、と、彼女は言う。

「マツダでは台風接近中で、せっかく広島にホテルまでとって高速バス使って行ったのに、中止になるかも?という状況でしたので、なんとか試合が行われ、観れただけでもよし。(てっぱちのホームランも見れたのでよし。)」と。

そういうことなのだよな、と、思う。そういうところだよな、と。

ソフトバンクはいつだって勝ってくれる。わざわざ高速バスに乗って遠い球場まで行ってサヨナラ負けすることなんてまあないだろうと思う。(いやそりゃ可能性としてなくはないけれども、その可能性はかなり低い)

でもヤクルトはいとも簡単にそれをやってのけて、そしてファンの人たちはついつい、それを受け入れてしまう。「これは結構きっっっついけれどもまあ・・・仕方ないか」というふうに。まったく、お人好しにもほどがある。

でもそういうチームとそういうファンが、なかなかどうして、私は好きなのだ。

私は基本的に、いつでも勝つことより、負けることを知る方が、なんとなく良い気はしている。生きていく心持ちとしてそれは、悪くはないことだと思っている。辛い中に希望を見出せるというのは、結構、本当に結構、大切なことだ。

そしてその繰り返しが少なからず、ファンをあたたかくしているところはあるよなあ、と、思う。

そりゃあ、負けると腹だって立つ。そこまでお人好しなわけじゃない。いい加減にしてよと思うこともあれば、グーグルで「ひいきチーム 連敗」みたいなことを検索する日だってある。(去年まじで検索した。そして出てきた答えは「ソフトバンクのファンになれ」だった。)

でもそれを受け入れ、なんとか乗り越え、修行のような日々を過ごし、苦行に耐え、胃と心を痛め、何かを達観(もしくは諦観)し、今日もまた「でもまあ…良いところもなくはない」と呪文のように唱え、私たちは生きていく。そしてそのうちにときたま打ちまくったり急遽とうしゅおうこくが誕生したりして、あれ…?強い…?人気球団になったらどうしよう…?と、謎の夢を見る。

もう本当に何度騙されたかわからないこの繰り返しにため息をつきながら、さて明日も「ナゴドの柳」の試合を見届けようと思う。あんまりため息はつきたくないので20点取ってくれるといいなと思いながら。

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