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野球そのものを楽しむメジャーの応援がとっても素敵だった話 【観戦記番外編 日ハムvsアスレチックス】

東京ドームに、聞き慣れた秋吉の登場曲が流れる。神宮なら流してもらえなかったところだったけれど(オープン戦、なぜか先発ピッチャー以外誰も流れない。)、メジャーを相手にできる日ハムさんなら流してもらえるのである。ありがとう。ありがとう。

やちくんも、アキヨシも、こうして新しいところで頑張っている。私も頑張らなきゃだし(このハードな観戦スケジュールを)、ヤクルトだってもちろんがんばらなければならない。2日連続でヒットを10本以上うち、同時に10本以上打たれて負けている場合ではない。

あの衝撃のトレードから早3か月、おかげさまで私は、日ハムファンのお友達のおかげもあり、日ハムの試合を観る機会に二度恵まれた。鎌ヶ谷の二軍球場は、戸田と比べてはいけないということが本当によくわかった。鎌ヶ谷専用のユニフォームがあるとか、スタジアムDJがいるとか、マスコットがいるとか、そもそも売店があるとか、河川敷じゃないとか、とにかく驚くべきことは沢山ある。

さてそんなわけで、今日は日ハムとアスレチックスの試合を見に行った。夕方からは巨人さまとイチロー率いるマリナーズの試合があってそちらは大盛況のようだけれど、平日の昼間のこのカードは、人も少なくてどことなくのんびりしている。普段は座らないシートに座り、大田泰示さんはいけめんですねと眺めていた。

ただこの試合がとてものんびりしていたのは、アスレチックスの攻撃時に、球場がとてつもなく静かだった、というのもある。

MLBのプレシーズンゲームとはいえ、ここは日本なのでもちろんこちらファンの方が多い。そしてメジャーのチームなので、応援団はいないし、鳴り物の応援ももちろんない。応援は、象さん(アスレチックスのマスコット。昔の遊園地にいそうレトロなキャラクターでやたらかわいい)のかぶりものをした陽気なおじさんとその一味が、みんなで拍手をしてにこにこ笑っている、それくらいだ。

ドームの球場はどうしても楽器や声が響きがちなので、屋外の球場よりさらに賑やかになる。たまには、のんびりと、静かにビールを飲みながら、ボールとバットの、野球そのものの音だけを聞きながら見るのもいいなと心底思った。ぜいたくな時間だった。

私はひねくれものというかなんというかなので、遠い日本の地で、応援団も応援歌もない文化のメジャーのチームが、日本独特の応援スタイルの完全アウェイの中戦うのをみていると、つい応援したい気持ちにもなった。

いやなんか、すごく良いチームだったし、なんだかとても良い試合だった。

そういえば、メジャーの選手たちは、ストレッチも各々やっていた。トレーナーの指示で、みんなで一緒にやる日本とはそこからして違う。どちらが良い悪いというわけでもちろんなくて(私はごく個人的な人間なのでメジャーのスタイルは好きだなとは思うけれど)、そうだよな自分が「いつも見ている光景」が、「当たり前の光景」というわけじゃないというのは、いつだって、どんな時だって、忘れちゃいけないことだよな、と思う。

ヤクルトの応援と、日ハムの応援は違うし、日本の応援と、アメリカの応援は違う。野球そのものも、それぞれ違う。それを知ることは、やっぱりとても大切だ。自分がいつも見ているものだけが、全てなわけじゃない。

個々でストレッチをしていたメジャーの選手たちだけれど、チームメイトのホームランには自分のことのように飛び上がって喜んでいた。そういうのも、とてもいいなと思う。個とチームのバランスが、とても良い。日本の選手がメジャーへ行って学ぶことは、きっと山ほどあるのだろう。

失恋気分をえらく長く引きずったトレードだったけれど、こうして新しい世界をたくさん見ることができた。アメリカにメジャーの試合を見に行きたいな、という野望もできた。(すっかりアメリカの野球に魅了されてしまった。)

知らないことを知るのはやっぱり楽しいし、今まで見てきたものが当たり前じゃないと知るのはすごく大切だ。それを知ることができたのは、このトレードがあったからこそなのだ。やちくんと秋吉にとっても、このトレードが良い変化になればいいな、と、開幕を前に改めて思う。


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