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【2019シーズン】ヤクルトスワローズ観戦記

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ヤクルト観戦記、2019年シーズンはこちらにまとめて入れていきます。(オープン戦含む) 勝った日も、負けた日も、試合のある日は毎日更新しています。
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2019年4月の記事一覧

平成最後の神宮で、「強敵」たちにたくましく挑んだチームを見届けて 【4/29広島戦○】

かみさまも、ほとけさまもろくに信じてないのに、わたしはそこで、石山に祈る。声も届かないけれど、ただ、手を合わせて祈る。この祈りが、どこにつながるかもわからないのに。でも、私にはそれしかできないのだ。ここでできることは、それだけだから。 ランナーを二人背負い、迎えたバティスタに、石山は真っ向から勝負し、空振り三振を奪う。いつの間にか握りしめていた両手が緩む。ああ勝ったんだな、と私は思う。ここで、広島に、勝ち越したのだ。 パラパラと、小雨が降り出した。「もしあかるかったら、に

少しずつ形を変えながら、少しずつ前に進んでゆく 【4/28 広島戦○】

風でビニール袋が舞い、グラウンドにぽとりと落ちる。それに気づいたライトの長野が走って拾いに行き、自分のポケットに入れる。さすが長野、と私は外野スタンドからそれを眺めながら思う。球場にはいつも、こういう光景があるものだ。 いつだってたいへん辛い結果になることが多かった神宮でのカープ戦だったけれど、いつだってその真っ赤な雰囲気にのまれそうな気分になるけれど、いつだって悪い残像はすぐ頭をよぎるけれど、でもいつまでもやられているわけにはいかないし、前にも書いたけれどもじゃあ広島戦だ

真っ赤な神宮にいつもの景色は戻ってきたけれど 【4/27 広島戦⚫️】

「きょうはかーぷかー!まっかなじんぐうだね!」と、神宮に向かう道でむすめが言う。「そうだねまっかなじんぐうだね」と私は笑う。神宮はもちろん赤いし、カープはいつもの強さを取り戻していた。そしてヤクルトは、素晴らしく好投のライアンに今日も勝ちをつけなかった。つまり、全てにおいていつもの景色が戻ってきたわけだ。 ライアンは何かを取り戻すように、サクサクとカープ打線を抑えていった。それならばとヤクルトも、サクサクと抑えられていった。サクサク合戦である。思うに、あまりに寒い今日の神宮

何度でもきっと、人は乗り越えていける 【4/25 巨人戦◯】

たくましいなぁと思う。こちらが一人で、苦手意識を持って、あぁ無理だなんて思っているのに、みんな必死にくらいついていく。もう絶対ヒットなんて打てない気がしてしまうのに。誰も諦めてなんかいないんだな、と当たり前のことを思う。いつまでもいつまでも、乗り越えられないわけじゃない。 そんなことを、無得点で終わった1回裏と2回裏に思っていた。1回裏、エイオキは早速スガノからツーベースを放った。2回裏、昨日はチャンスで打てなくて悔しそうにしていた雄平が気合の内野安打を打ち、村上くんはヒッ

小雨降る神宮で、てっぱちとエイオキが塁上に並ぶその景色を見ていた 【4/24巨人戦⚫️】

小雨をレインコートで凌ぎながら、一塁上のてっぱちと、二塁上のエイオキを見ていた。歴代のミスタースワローズたちは、同じように腰に手を当て、足を動かしながら、ホームの方をじっと見ていた。相手の一瞬の隙も見逃さないのだ、という顔をして。 私は「ぐっち席」でその後ろ姿を見ながら思う。この風景はきっと今しかない。それはとても贅沢な景色だ。 ・・・その景色を、同じ試合の中で三回も見た上で、一点も入らなかったとしても。まあ、それでも。 息子は隣で、「全部おんなじ形で終わる!!いつもて

風邪は、「今がいちばんつらい」から 【4/23 巨人戦⚫️】

吉本ばななの「ムーンライト・シャドウ」に、こんな一節がある。 「風邪はね。」「今がいちばんつらいんだよ。死ぬよりつらいかもね。でも、これ以上のつらさは多分ないんだよ。その人の限界は変わらないからよ。またくりかえして風邪ひいて、今と同じことがおそってくることはあるかもしんないけど、本人さえしっかりしてれば生涯ね、ない。そういうしくみだから。」 風邪をひくたび、身体が弱るたび、そして心が弱るたび、私はいつもこの一節を思い出して生きてきた。 だけど母が病気で亡くなった時、「う

みんなで「力を合わせてつかみとった」一敗だけど 【4/21 中日戦⚫️】

なんというかこう、みんなで力を合わせてつかみとった負け!という感じの一敗であった。ひとつひとつのプレーを丁寧に積み重ねた、負けである。念のため再度お伝えすると、勝ちではない。負けである。 守備のミスが重なり、その結果として失点が重なり、そして生かせないチャンスが重なった。あらゆるものをみんなで仲良く積み重ね、ヤクルトは負けた。相手より多くミスをし、相手より多くチャンスを潰し、相手より多く失点すれば、負けるのだ。私はとても大切なことに気づいた気がする。当たり前ですかそうですか

おじさんたちが、驕ることなくそこで躍動している 【4/20 中日戦○】

正直なところ、ちょっと2連敗をすると、このまま8連敗では・・・という不安が頭をよぎる。必ず連敗をするチームなのだ。そういうエンターテインメントを成立させているチームなのだ。なぜだか連敗を必要悪だと思い込んでいるチームなのだ。もう騙されない私は。 ところが、去年あれだけ頼りまくっておきながら年俸を下げられたカツオさんは(私はまだカツオさんとびっきーの年俸を下げたことを根に持っている)、また落ち着きはらった「ナゴドのカツオさん」らしいピッチングを見せた。そうだった、なんせ私は去

ソフトバンクではなくヤクルトのファンになった私たちの物語 【4/19 中日戦⚫️】

ナゴドの試合だなあ、という試合が繰り広げられていた。いや、というか、いつものヤクルトだよなあ、と。 朝からPTAの仕事で小学校へ行き、午後から保護者会で保育園へ行き、むすめを習い事に連れて行き、めずらしく母親みたいな仕事(どこが)をしてどっと疲れていた。たぶんこの数日の試合の疲れも残っている。(別に私が試合をしたわけじゃないのに。)私はテレビの前で多くのため息をつきながら静かに日本酒を飲んだ。 あまりにヤクルトたちが点を取りまくり勝ちまくるので、めっちゃ強くなってファンも

ライトスタンドのあたたかい空気もまた、この試合の風景だ 【4/18 阪神戦⚫️】

「なにごとも、負ける時は思いっきり負けた方がいい」と、オットはいつも言う。私はいつもそれがよくわからないと思っていたのだけれど、ただ今日の「思いっきり負けた」試合は、なんだか楽しかったというのは、それは確かだ。 むすめは、「きょねんの、あめのひのかーぷのしあいみたいだねえ」と言う。あの日もぼろ負けだったのだけど、こどもたちは今でも去年あの試合が一番楽しかったと言う。 打たれるたびにそりゃ胸は痛む。なんてこったいと思う。向こうのボールは簡単にスタンドに届くように見える。こち

今日できなかったことを、いつか必ず糧にして 【4/17 阪神戦△】

へとへとになることがあり、試合開始にはさっぱり間に合わず、本当にへとへと神宮へ向かったら、さくさくと5回表くらいまでが終わっていた。 ぐっちの復刻ユニフォームが欲しいばっかりにえらい高い席に座ったというのに、こりゃ21時には終わるな、もったいないわい…と、関西人丸出しのことを考えていた。だいたい今月私はヤクルト球団にあまりにお金を落としすぎなのだ。復刻ユニフォームなんていう企画を思いついた人を小一時間問いただしたい。 ちなみにQRコードチケットを発券している瞬間、もんのす

じゅりと村上くんの成長を、一試合ごとに見守りながら 【4/16 阪神戦○】

じゅりと村上くんが並ぶヒロインに、思わずにこにこしてしまう。 去年一年間を通して、前半ぼろぼろに負けまくったじゅりが、勝てるピッチャーに成長してゆく姿を目の当たりにした。 じゅりがここまで成長してこられたのは、チームがじゅりにかける「期待」が、じゅりにとってプラスに働いたことも大きいよなと思う。 どれだけ打たれても、二軍に落ちても、中継ぎで起用し、そしてしっかり先発に戻ってきた。チームはじゅりを諦めなかったし、じゅりだってその期待に押しつぶされることなく、しっかり向き合

そこにあるあたりまえのしあわせを見失わないように 【4/14 巨人戦○】

しょっぱなからエイオキがホームランを放ち、先制したのもつかの間、あっという間に永遠のアーチに永遠のアーチを打たれて逆転されていた。本当に永遠のアーチってなんなんだ教えて欲しい。 それでも、(もう遠い昔のことのようだけれども)ヤクルトはすぐにエイオキのセーフティやらてっぱちのヒットやらココちゃんのチームバッティングによるタイムリーやら、なおみちの3ランやらで5点を追加する。 6-2。あなたはこれなら勝てると思いますか?私はもちろん思いません。当たり前のように、4点差はあっと

言葉が通じない国で、「4番」を打ち続けるということ 【4/13 巨人戦○】

3塁側内野席の後ろに座った巨人ファンの男性が、「もうバレンティンめっちゃ打ちそうじゃん・・」と言う。「ああココちゃん三振しそうだな・・」と思っていた私はちょっとハッとする。その瞬間、ココちゃんは特大の逆転スリーランを放った。 当たり前だけれども、野球は、表と裏があるな、といつも思う。もちろん攻撃と守備の裏表があり、そしてこちらから見る景色と、相手チームから見る景色は、裏表になっているのだ。 相手チームから見れば「ここでバレンティンはこわい(打たれそう)」だし、こちらから見