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イラクサ、教えて?

【昆虫エッセイ】

「イラクサ、自己紹介をしてみて?」

「はい。私はイラクサ科イラクサ属の多年生植物です」

「イラクサ、葉の裏にいるのは、だれ?」

「オオコブオトシブミ です。彼らは、本州にいるヒメコブオトシブミよりも少しだけ大きい、北海道固有種です。」

「イラクサ、彼らは何をしているの?」

なにをしているの?

「………その質問には答えることができません」

「イラクサ、あなたをつまんだ指がとにかく痛むんだけど、なぜ?」

「それは、あなたが私をつまんでいるからです」

「イラクサ、なぜあなたをつまむと、こんなにチクチク痛いの?」

「私の葉と茎には、刺さると皮膚に炎症を起こす刺毛がびっしり生えているからです」

「え? イラクサ、あなたは今、私を刺しているの?」

「はい。刺しながら、蟻酸とヒスタミンを皮膚に注入しました」

「イラクサ、痛い!痛いんだけど!」

「すみません、よくわかりません」

「ちょっと!!イラクサ!!痛い!!チリチリする!!」
「イラクサ!どうすればいいのか教えて!!」

「水でよく流すといいですよ。接触性皮膚炎の場合は、専門医に相談してください」

「イラクサ!無責任ね!痛い!!チリチリする!!」

なんのはなしですか

イラクサと知らずに茎をむんずとつまんだ結果、指先になんとも言えない刺すような痛みが走り、森の中でひとり「痛い!痛い!」泣いたはなし。

そして未だにチリチリ痛いはなし。

痛い思いをして初めて人は成長するのだ。
お主の顔、もう忘れはしないぞイラクサよ。

「イラ」にはトゲ、辛い、ひりひりするという意味があり、イラクサ(苛草、刺草) はまさに、トゲで刺激を与える植物。
薬草名は「蕁麻」。そこからイラクサに触れたときのような皮膚炎のことを「蕁麻疹」と呼ぶようになった。

アサミの豆知識

「トゲに触れてはいけない」と遅ればせながら気づいたあと、オオコブオトシブミを別の葉に載せたところ、偶然どっかのアブの人がお亡くなりになっており、私も彼らも戸惑いを隠せなかったシーンを最後にどうぞ。

良い週末を。

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