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患者さまとの信頼関係をつくる“褒め方”

患者さまから「選ばれる」「おすすめしたくなる」「通いたいと思ってもらえる」ような、歯科医院に必要な土台となるのは患者様との信頼関係です。
どんなに治療内容が適切で価値があっても、信頼関係が無い中では、なかなか受け入れにくいのが人間です。たとえ多くの患者さまが来院されても、対応が今ひとつだとしたら、高額な自費診療の契約はもちろん、メンテナンスにも通ってくれません。
医院経営において一番重要なのは“良好なコミュニケーションによる信頼関係の構築”になります。

ミュゼプラチナムには、スタッフ同士のコミュニケーションで大切にしている4つの要素『聴く・伝える・褒める・叱る』があります。今回はその中から”褒める”をピックアップし、歯科医院と患者さまの関係に置き換えて紹介します。

褒める目的

褒める目的は、良い行動習慣化するためです。
例えば、「歯磨き上手ですね!」と褒められると、最初はあまり意識せずに行っていた行動を『良い行動・自分の強み』として自覚し、その後も、『上手に歯を磨く』ことを心掛けるようになり、習慣化していきます。
人間は誰しも「認められたい」という強い欲求を持っており、良い行動を褒められると、それを繰り返そうとします。そのため「モチベーションを上げるために褒める」のではなく、「良い行動を習慣化するために褒めた結果、モチベーションが上がる」ものなのです。

お客さまへ期待を伝える

では、なぜ褒める事でモチベーションが上がるのでしょうか。単純に嬉しいという事だけではなく、たくさん褒める事で、「自分は期待されている」と感じるようになります。
「期待」は、患者さまにとってモチベーションの源泉となり、そして、先生や衛生士さんの期待に応えたいという欲求の源泉になるのです。

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褒めるポイント

□事実を褒める
褒める内容が抽象的で事実からかけ離れていると、患者さまは「なぜ褒められているのか」という根拠が分からず、「本当はそう思っていないのではないか、機嫌をとっているだけではないか」という疑問がわき、ただの「お世辞」に聞こえてしまいます。
事実を褒める為には、まず褒める事実を逃さないようにし、普段から相手の長所を理解し、良い行動に意識を配り、「何が良かったか」「どのように良かったか」を明確にして、褒めましょう。

褒めるのが苦手な方は、以下の理由が当てはまりませんか?
①『そのくらいできて当たり前』と思ってしまう
②『満足してほしくない』
③『甘やかすよりも、厳しく接して伸ばす』
④『褒める所が見付からない』etc...

■Iメッセージで褒める
Iメッセージとは、「私はあなたは~だと思う」と、自分を主語にして相手を褒める事です。
それにより、患者さまに対して「私はどう思い、どう感じているのか」という主観的な意見を伝える事ができ、相手の意見であるので否定のしようがなく、受け入れやすいメッセージとなります。
一方、YOUメッセージは、「あなたは~だ」と相手に伝える事であり、相手に評価を下すような印象を与えるため、患者さまがその評価と違う考えを抱いている場合は受け入れにくくなってしまいます。

(I メッセージ例)
I:「私は、●●さんの歯は奥歯までキレイに磨けていてすごいと思う」
YOU:「●●さんは歯磨き上手ですね」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
I:「私は、毎食後すぐに歯磨きをする●●さんの行動はなかなか実践できない、すごいことだと思います」
YOU:「毎食後、歯磨きするのはすごいですね」

■プロセスを褒める
重要なのは“結果”と考える先生や歯科衛生士は多くいます。しかし、患者さま自身ではどうしようもできない事で、思うように結果が出ない事もたくさんあります。
例えば、「歯磨きしましょうね!」「頑張ってくださいね」というのはダメ出しされたと感じてしまい、「もう行きたくない」という発想になってしまいます。
そのような場面では、行ったプロセス(=行動)の良いところを発見し、褒めましょう。

(プロセスを褒める例)
患者さま「お昼は時間がなくてお口をゆすぐくらいしかできません」
プロセス:「歯磨きの時間がない中で、お口をゆすぐだけでもすごく偉いと思う」
 ⇔結果:「ゆすぐだけじゃ足りないから、歯磨きもしましょうね」

■プラス表現で褒める
患者さまを褒める時は、なるべくマイナス表現を使わず、プラス表現で前向きな言葉を使う事が重要です。
プラス表現とは、「優秀だ」「勉強熱心だ」「努力家だ」「相手の気持ちが分かる」など、相手の性格や能力を「良い」と認める言葉です。
そのため受け取る側は「私は価値のある人間と認められている」と感じる事ができますが、マイナス表現を使うと「いつも私の悪いところやミスを観察しているのだろうか」とあら探しをされているように感じてしまいます。

(プラス表現例)
プラス:「いつも丁寧なブラッシングをしていますね」
 ⇔マイナス:「いつも手抜きをしないでブラッシングしていますね」
プラス:「いつも時間に正確で大変助かっています」
 ⇔マイナス:「いつも遅刻せず大変助かっています」

まとめ

以下のポイントを意識して、今日からでも褒めることを実践しましょう。褒めることはコミュニケーションの第一歩であり、その後の医院経営に貢献してくれるはずです。

褒めるポイント
・事実を褒める
・Iメッセージで褒める
・プロセスを褒める
・プラス表現で褒める

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