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7本指のピアニスト 西川悟平さんにインタビューしたら 不思議とポジティブになった

西川悟平さんはニューヨークを拠点に、世界で活躍するピアニストです。15歳でピアノを始め、絶対に不可能だと言われた音楽大学のピアノ科に合格。24歳の時、世界的ピアニストであるデイヴィッド・ブラッドショーに才能を見出され、単身ニューヨークへ。リンカーンセンター・アリスタリーホールで華々しいデビューを飾った人物です。
しかし、西川さんは指が動かなくなる難病ジストニアを発症し、もう二度とピアノが弾けないと医師から宣告を受けました。そこから奇跡の復活を遂げ、今では7本指まで動かすことができるようになりました。

インタビューまでの経緯

今回インタビューを申し込んだ背景には、西川さんのライブを鑑賞し、著書「7本指のピアニスト」と読み込んだことがきっかけです。
大学受験、初めてのコンサート、ジストニア、大抵の人間であれば逃げ出したくなるような状況でも、西川さんは果敢に挑戦し成功を納めて来ました。「最悪の出来事もちょっとした考え方と行動で最高の出来事に変わる。」と語っていますが、ジストニアになっても常に前向きだったわけではありません。ちょっとしたきっかけが、気持ちを前に前に運んでくれたんだと思います。ポジティブな想いや最高の出来事だと思える根底には“感謝の想い”が強く感じられたのです。

少し話は変わりますが、ミュゼは相手の立場に立って考え、感謝の気持ちを持って行動できるスタッフの育成に尽力している企業です。スタッフには感謝の気持ちを持つことで、人に対して優しくなれる。人の気持ちも考えられるようになる。今の環境や成長を良くするのも悪くするのも、自分に関わるお客さま、仲間に感謝の気持ちを持てるか持てないか、自分の考え方や接し方次第で変わる。というメッセージをスタッフに伝えています。
西川さんはまさにこれを実践し、様々な壁を乗り越えてきました。その経験を、スタッフに伝える機会を作りたいと考え依頼し、若い世代の力になるならと快諾いただきました。

今回この記事ではインタビューの中で、とても印象的だった言葉を紹介させていただきます。

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溢れ出た感謝の想い

26歳で患ったジストニアによって、ピアノの前で両手の自由を失ってしまった西川さんですが、その時は命を絶とうと本気で考えるほど思い悩んだそうです。しかし、それを救ったのは幼稚園の子供達でした。

落ち込んでいる西川さんを見かねて、知人が経営する幼稚園に気分転換になると招いてくれました。そこで園児たちから演奏をせがまれ、5本の指できらきら星を弾きました。すると、子供たちは笑顔で楽しそうに歌い踊り始めました。曲がった5本指で弾いていることを全く気にせず、素直に音楽を楽しむ子供たちを見たとき「動く指があれば、それで弾けばいいんだ」と気付いたといいます。
それまでは、動かない指に対して悲観する一方でしたが、前向きな気持ちに変化した瞬間溢れ出た感情があったと言います。それは「動く指に対する感謝」です。キャリア、希望、未来、全部奪った憎きジストニアのはずが、「気づかせてくれてありがとう、ジストニア」とポジティブに捉えることで、指も7本まで回復し、今では西川さんの守りになってくれているそうです。

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NYで生き残る方法

NYには世界中から一流の演奏者が集まってきます。その中でピアニストとして生き残るために、恩師デイヴィッド先生に教わったNYで⽣き残る⽅法。それが「Find your own voice(君⾃⾝の声を⾒つけなさい)」という言葉です。『1から10までそつなくできなくていい。ただ何か1つ、ずば抜けて⾃分のものにできるものを持ちなさい』という教えでした。
ジストニアによって西川さんの演奏スタイルが変わり、努力によって自分にしか弾けない、自分だけの演奏法を確立されました。そうすると、不思議と世界中から演奏の依頼が舞い込むようになったそうです。

自分を理解してもらう前に、相手を理解する努力をする

全世界の言語や異文化が行き交うニューヨークで鍛錬を積んだ西川さん。今いる環境を良くしていくためには、「⾃分を分かってもらおうとする前に、相⼿のことをどれだけ分かろうと努⼒するか。」に尽きるといいます。
相⼿のことを全て理解できなくてもいい。大切なのは違いを認めて、受け入れる努力をすること。そうすることで、どんな環境でも生きやすくなると語ってくれました。ニューヨークにあるスタインウェイホールとの契約をとった際も、以前からスタインウェイホールの従業員に感謝の気持ちを伝えていたそうです。掃除してくれてありがとう。椅子を並べてくれてありがとう。警備してくれてありがとう。コンサートは1,800倍の倍率でしたが、最終的には従業員たちが西川さんとの契約を社長に推奨したというのです。
これは日常だけでなく仕事にも通じることです。商品やサービスの良さをお客様に伝える前に、お客様の気持ちになって、お客様視点の行動を心掛けることで、満足度や信頼関係にも繋がってくるのだと改めて思いました。

西川悟平さんのお話を聞いて

西川さんのお話を聞くと、不思議と元気になれます。それは彼の想いが私にも伝染しているからかも知れません。物事をポジティブに見ようとするだけでも世界は変わりますし、感謝の想いがあることで、よりポジティブな気持ちになれるのだと感じました。
今回のインタビューは主にミュゼの新人スタッフに向けて、研修の中で紹介していきます。彼女たちも研修中壁にぶつかり、乗り越えなければならない山がいくつもありますし、これからを担う世代として、様々なフィールドで活躍してほしいと思っています。
最後に、西川さんのインタビュー動画を特別に紹介させていただきます。この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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