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2022年の猿之助さんⅡ

今年の振り返りをしています。

4月は二つの劇場に出演した猿之助さん。歌舞伎座第一部と平行して’猿之助と愉快な仲間たち’第二回公演が六本木トリコロールシアターでありました。

東銀座と六本木はそう遠くありません。役者さんも移動、ファンも移動(笑)久しぶりのハシゴ移動にワクワクでした。

歌舞伎座では「通し狂言 天一坊大岡政談」約2時間にコンパクトにまとめた通し狂言。とてもわかりやすくて知識なしでも楽しめる作品でした。松緑さん演じる大岡越前守が、猿之助さん演じる天一坊を成敗する話。山内伊賀亮の愛之助さんも悪の側。

同世代三人が共演。パワフルでテンポがよかったです。先日の紀尾井町家話で猿之助さんが、古典のテンポアップの演出はこれから必要。。と言っていたのが納得です。古典は古典のままで時間内に納める演出力が、古典を未来に繋いでいくポイントだと私も思います。

猿之助さんの天一坊は、悪を悪とも思わない。お茶目に見えるところが気味が悪いくらい怖かった。また、三人の所作が美しいのも見どころでした。来年も共演が観たいです。

そして、猿之助と愉快な仲間たち第二回公演「森の石松」は、六本木トリコロールシアターという200席ほどの劇場で行われました。歌舞伎座約1800に対して200ですよ!この距離で猿之助さんを観る機会は、おそろくもうないでしょう。。というくらい小さい。芝居とお客の一体感が生まれ、本当に楽しい公演でした。

が、開幕するまでチケットの売れ行きが思わしくなく。。疫病禍の中、小さい劇場は敬遠されてしまうのか、歌舞伎公演でないことに抵抗があるのか。。実は後半に1回の観劇予定でしたが、この事態にチケットを追加してしまいました。。。初日を観たら面白くてびっくり!もう一枚追加するという(笑)だって夢だった大衆演劇メイクの猿之助さんを、流し目を、見ることが叶ったから。毎日でも行きたかった。「森の石松」は大衆演劇の劇団のお話。その座長役が猿之助さんでした。

評判が評判を呼び、チケット入手困難に。ワンピース歌舞伎もそうでした。初日からしばらく空席があったのが、多くの人がチケットを探す事態になったのです。幕が開いてから席が埋まるのは嬉しいことだと感動でした。

5月は猿之助さんは壱太郎さんと舞踊公演「二人を観る会」踊りはもちろん、お祭りの衣装がすごかった。壱太郎さんは藤十郎さんが一か月しか着ていないもの。猿之助さんは猿翁さんのもの。どちらも派手(笑)三回の公演のトーク内容を毎回変えて楽しませてくださいました。

6月は歌舞伎座第一部「菅原伝授手習鑑 車引」「澤瀉十種の内 猪八戒」です。車引では初役で藤原時平役。三兄弟ではなくラストに登場する敵役。妖気漂う今までの役者さんとはひと味もふた味も違う時平でした。

「猪八戒」はお家芸です。過去4回しか上演されておらず、昭和59年三代目猿之助の春秋会でかかった時以来だそう。この時、三代目は文楽座と共演し、人形浄瑠璃の劇団の皆様に演奏と語りをしてもらったとか。今回はその形を取り入れて竹本連中が演奏と主要役者の語りを担当していました。

猿之助さんが疲労困憊しているのがわかる舞踊は初めてでした。先代も一か月公演は未経験ということにチャレンジし、ご本人いわく「久しぶりに吐きそう」だったとか。最初の童女の長髪姿に「可愛ええ~」萌えまくり(笑)ワンピースなどに出演したアクションチームが歌舞伎座に初登場も嬉しかったです。

何でここまでするのか。。それが猿之助さんだから仕方がない。踊ることと生きることが重なり泣けて仕方がありませんでした。是非、後世に繋いでほしい作品です。

7月は「三代猿之助四十八撰の内 當世流小栗判官」11年ぶりの上演でした。猿之助さんは、当時の上演時間を現在の三部制に合わせて約1時間縮め2時間ほどに納めました。いつもながらこの手腕はすごい。以前よりわかりやすく、物語の肝になることはそのまま伝わるように作られました。

初日は一門の笑也さんが宙乗り1000回記念!女方で宙乗りをこれだけしている方は他にいません。観劇してお祝いができて思い出の宝物ができました。

しかし、体調不良者が出て18日から公演が中止に。他の部も19日から休演し、全ての公演が千穐楽まで幕が開くことはありませんでした。悔しい。

そして、8月は弥次喜多が帰ってきました!

納涼歌舞伎では5作目。完結したはずでしたが、まさかの疫病流行りに帰ってきてくれました。戦後、初めて歌舞伎公演を行ったのは猿之助一座でした。歌舞伎座が焼失していたため東劇で。二代目猿之助と八代目中車の弥次喜多でした。劇場は超満員だったそうです。

自分たちができることで人々の役に立ちたい。これは妄想ですが、そんな想いは当代の猿之助さんにも受け継がれているのです。そのお話は次回へ続きます。

aya


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