中矢風夏(なかやふうか)

Singer song writer/ Vocal instructor

中矢風夏(なかやふうか)

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最近の記事

「わたしのお気にいり」に憧れる

サウンドオブミュージックの劇中歌に「My Favorite Things(わたしのお気にいり)」という曲がある。 正直言ってこの歌詞で歌われているのがどういう事象なのか、あんまり想像できないものが多いのだけど、それでも好きなものを並べた詞と心踊るようなリズムには思わず浮き立つ感じがする。 わたしには昔から「あんまり気に入ってないものをなんとなく長く使ってしまう」癖がある。 年長さんの時に着ていたお下がりのトレーナー、小学生の時に使っていた缶ペンケース、キャラもののシャー

    • 【おんがく探究日誌Vol.1】 シャッフルビートとせつなさ

      「おんがく探究日誌」は、音楽(主に歌もの)について、メロディ・リズム・サウンド・構造・歌詞・声色・テクニックなどなど様々な切り口から新しい見方で考えてみよう!という企画です。 第1回のテーマは「シャッフルビートとせつなさ」。 シャッフルビートとは 4分音符1拍の中に「タタタ」と音を3つ打つ三連符の、真ん中を抜いたリズムが基本となるビートのことを言います。 わたしの個人的な印象としては陽気で明るく、すこし気の抜けた柔らかいイメージの似合うビートです。 代表曲はこんな超有

      • もしもわたしの感性が、豊かであるとするなら 〜22の詞から

        言葉が好きだ。 言葉によって、心に輪郭がついて、世界が違ったように見えて、自分に気づけるようになるのが好きだ。 そのなかでも歌詞はとくべつで、歌をはじめた8歳の頃からとにかく歌詞を聴いて育ってきた。詞の技術的な凄さはもっと後になってから感じるようになったことで、そういう詞はまた別の記事にまとめることにする。 今回はわたしの心を掻き混ぜ、耕し、潤し、育て、象り、そして傷つけ、奮い立たせてくれた歌詞たちを集めた。 失くしたものと記憶 10代は「喪失」を聴いていた。「ここにい

        • わたしの帰る家は

          「じゃあまた。次は年末くらいにね」 そう言って笑って車に手を振った。 そこから一時間くらい電車に揺られ、見慣れた最寄り駅で降りる。 一人暮らしのアパートまでの道は長くて急な下り坂で、そのいちばん高いところからは遠くの街灯までよく見渡せた。15時すぎの空が、お昼と夕方のまんなかくらいのやさしい色をしている。 帰ってきた。 そう思ったら、ほんのすこしだけ涙がでた。 悲しいわけじゃなくて、寂しいわけじゃない。 数ヶ月ぶりに実家に帰省していた。電車で一時間で行ける距離なので、逆

        「わたしのお気にいり」に憧れる

          届かないものと失くしたものは、「わたし」になったのだと気づいた

          「わたし」を形づくるものは、なんだろう。 たとえば好きな映画、詩、海の風景、木漏れ日。 毎日の暮らし、柔軟剤の匂い、仕事、恋人との時間。 音楽が好きで、言葉が好きで、ひとが好きで、ひとりが好き。 そういうもので、今のわたしはできていると思う。 でも、いま持っているものだけが、わたしなのだろうか。 結局手に入らなかったもの、もう二度と会えないひと、今ここにないものがわたしにはたくさんある。 叶っていない夢の過程ばかりを他人に語ってきた。もうずっと何年も、誰も座らなくなった寂

          届かないものと失くしたものは、「わたし」になったのだと気づいた

          金木犀を「わかりたい」夜

          今日の帰り道は、むしゃくしゃしていた。 もうすっかり暗くなってしまった18時の夜道で、むしゃくしゃしながらひとり自転車を漕いでいた。 楽しみにしていた週末の予定がなくなり、おまけに仕事で帰りがけに嫌なことがあって、華金だというのにパッとしない。全部仕方ないと割り切ろうとしているのに、どうにもうまくいかないのだ。夜風はすっかり涼しくて雲も夜の色に染まっている。口を真一文字に結んで、重たいペダルを漕ぐ。ああむしゃくしゃする。 そのとき不意に、あ、と思った。 金木犀だ。 どこ

          金木犀を「わかりたい」夜

          note、再出発しました。

          4年前、夏楓という名前でnoteを始めました。 backnumberの推し語りの記事(わたしの長い長い失恋を添えて…)をたくさんの方に読んでもらい、コメントも多くいただきました。 わたしの好きなこと、得意なこと、琴線にふれたもの、心を揺らした瞬間。 そういうものを言葉にしていきたくて、できる気がして、意気揚々と書き始めたのです。 で、4年経ってみると、結局ほとんど手つかずのまま。 「書きつづける」ことの難しさを、ぶっ刺される形で痛感したのでした。 ここ数年は自分のことや

          note、再出発しました。

          虹と京都と、「親友」のかたち 。

          私には20年の付き合いの女友達がいる。 ちなみに私は今年20歳になったので、実に0歳児の頃からの家族ぐるみの付き合いだ。家は徒歩3分、保育園、小学校、中学校も一緒、部活も一緒、高大は離れたが今はバイト先も一緒。幼馴染みで親友。腐れ縁ともいう。 私と彼女、"りお"は、つくづく変な関係だと思う。 まず、性格は正反対。私は昔から自己主張が激しく、仕切りたがりでせっかち。りおはとにかくのんびりしていて、優柔不断なマイペースだった。 趣味嗜好も揃わない。りおが物凄い熱量で語る2.

          虹と京都と、「親友」のかたち 。

          「絶対、俺変わったりしないから」

          深夜12時半。 数人の友人との久しぶりの飲み会から流れで来たカラオケだった。 1人の男友達が10数曲目に何気なく入れたこの曲で、私は不覚にも泣きかけた。 というか途中から、こっそり泣いた。 一応言っておくと、この男友達のことが好きだからでも、酔っ払っていたからでもない。まあ多少はお酒も残ってたけど。 「絶対 俺変わったりしないから 俺変わったりしないから ずっと君が好きだから」 初めて聴いた曲のサビのこのフレーズが、そのときなぜかとても刺さったのだ。 https:/

          「絶対、俺変わったりしないから」

          忘れられる名前、思い出の映画。

          「お名前はなんて言うの?」 と、500回くらいは聞かれた。 ある縁で特別養護老人ホームに一週間ほど通った。 そこでお話させていただいたある利用者の方から、一週間のうちにそのくらい名前を忘れられ、質問された。数分前に質問したことも忘れていた。 その方は脳梗塞を患い、後遺症で左半身のまひと記憶力の低下があるのだそうだ。 お話していてとても楽しい方だった。「ここの男性はみんな眉毛が細いわね」と内緒話で私に言ってくれる可愛いおばあちゃんだった。 「今自分がどこにいるのか、これから

          忘れられる名前、思い出の映画。

          back numberを聴く男の人とはお付き合いできません。

          back numberを聴く男の人とは付き合えない。 私はback numberの大ファンだ。 7年以上好きだし、全曲好きだし、ラジオも聴いてたし、シングルもアルバムも新譜は必ずCDで買うし、ファンクラブゴールド会員だし、ライブも毎年行くし、タワレコのback numberカフェも行ったし、ほぼ毎日聴く。 でも、彼氏にするなら、back numberに全然詳しくない人がいい。たまにカップルでおそろいのTシャツを着てライブに来ている人を見かけるけれど、全く1ミリも羨ましいと

          back numberを聴く男の人とはお付き合いできません。