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「プラセボ効果」の善と悪

プラセボ効果とは「思い込み」によって実際の効果が出る現象だ。
薬学の世界では以下のように説明される。

効き目のある成分が何も入っていないくすりを服用しても、患者さん自身が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、病気の症状が改善することがあります

日本製薬工業協会ウェブサイト「プラセボ効果とは何ですか?」より

日本製薬工業協会による平成15年の調査では、200人のうち140人(70%)が「プラセボ効果」という言葉を知らないと回答している。
インターネットの発達により今ではこの値は逆転している印象だろうか。

プラセボ効果の力は皆さんの想像以上である。
効果があると強く聞かされたものなら小麦粉でも効果が出るし、逆に本当に効果が認められるものでも悪い噂を聞けば効果を減じたりする。

プラセボ (Placebo) の語源はラテン語のI shall please (私は喜ばせるでしょう)から来ており、その本質が心理効果であることが示唆されている。
BCAAやEAAを疑ってはいけない。

ある時ツイッターでこんな呟きを見た。
元ツイを発見できなかったのだが、概略はこんなところだ。

ある時家族で、世界ふしぎ発見を見ていた。
どこかの国の村人が画面に映った瞬間、一緒に見ていたおじいちゃんが「〇〇(村人の名前?)だ! 〇〇じゃないか!」と叫ぶ。
家族はついにおじいちゃんがボケたと信じていなかったが、テレビにその名前のテロップが表示され騒然。

画面に映る村人が話し始める。
「何十年も前に体調不良で死にかけていた時に、ある日本人が『これを飲めば治る』と白い薬を与えてくれたのです。その薬は信じられないほど甘美かつ爽快で、飲むとスーッと体が楽になり一気に回復しました。今でもその日本人には本当に感謝しています」

おじいちゃんは「かーっ!!〇〇は相変わらずバカだなぁ!!! あれはただの歯磨き粉なのに!!」と大笑いした。

足らぬ頭の記憶で書いているので一部不正確かも知れないが大枠は間違いない。
これはプラセボ効果の強さを表す一例と言ってよいだろう。
和歌山県立医科大学 三輪英人氏は自身の論文でこう語る。

日常臨床において治療効果を期待してプラセボを投与することは稀であるが、治療効果の中にかなりのプラセボ効果が混じている可能性は決して低くない。
歴史的には(おそらくは近代医学が発展する前の時代においては)プラセボ効果は医療効果の本質であった可能性すらある。

三輪英人氏「プラセボの効果 ―特にパーキンソン病における効果について―」より

最先端医療を浴びるように受けている現代人にとっては想像すらできない話だが、医療がまともに発展してきたのはここ100年以内と言ってよい。
医療業界は近年になって指数関数的に発展した業界だ。

医療技術はここ100年で一気に進化したもので、それ以前の医療は玉石混交だった

近代以前の医療は主に「祈り」とか「霊」とか「気」と呼ばれている世界だった。
古代をもとにした創作物で、シャーマン的な存在が医療人として描かれるのはこれが理由だろう。

そこから1000年以上の時を経てやっと、物理的効果が多少期待できる薬草等にたどり着く。
つい最近までの「医療」のほとんどがプラセボだったことは否定できそうにない。

興味本位で医療の歴史を見てみよう。
19世紀、フローレンス・ナイチンゲールという人物が革命をもたらした。

フローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)

彼女は看護婦として働きながら、当時の医療トラブルの多くが「不衛生」によって発生していると唱え、医師らに手洗い・換気・医療器具の洗浄などを行うよう訴えた。
信じ難いことだが、この時代にはまだ「医療行為をする時には手を洗う」という常識すら存在していなかった。
そればかりかほとんどの医療器具が洗浄することもなく使いまわされ(!)、開腹した内部に汚れが入っても誰も気に留めなかった。
彼女の働く病院は何の覆いもない下水施設の上に建てられ、ベッドからトイレから手術器具まであらゆるものが不衛生だったのだ。

しかし、彼女の訴えはなかなか受け入れられなかった。
誰もこれをおかしいと思っていないし、病院の医務長官も報告書に「全く問題ない」と記載して嘲笑したほどだ。

プラセボ効果から話が逸れすぎているが、言うまでもなくナイチンゲールの理念は大きな効果をもたらし、医療を「心理効果」の段階から大きく進歩させる助けとなった。

宣伝とプラセボ効果


本当の話はここからなのだが、ナイチンゲールの話をしすぎた。
歯磨き粉の話や近代以前の医療を見ていくと、プラセボ効果の大きさは計り知れないほど大きいと考えられる(痛み以外へのプラセボ効果は小さいとする研究もあるが、まだ根拠が不十分)

ここまで効果が大きいと、商品を販売する際にこれを利用することは避けられない。

例えば、私は「Fine Rest」というリカバリーサポートサプリメントを販売している。
私が「あることないことを吹聴して儲けてやろう!」という精神ではなく
①使ってくれた方への効果を最大化したい
②少しでも、疲労に悩まず生活できる状態を得てほしい

という善の心だけで活動していると仮定してみてほしい。

①②どちらのためにも、購入者には効果があると信じてもらう必要があるのだ。
効果に疑念を抱かせること自体が使用者のメリットを減じてしまうからである。
このために私は「Fine Restはこういう効果がある」「成分にはエビデンスがある」と宣伝することがあるが、これを見た人からはこれが善と悪、どちらを元にした行動なのか判別が難しい。

断っておくが、私はこの商品を善の元に作っているし嘘を宣伝することはない
(自分で判断するのは難しいが、そう信じている)
効果を感じられるように作っているし、有難いことにその声を多く頂いている。

しかし世の中のあらゆる製品は「ウチの商品いいですよ!」と喧伝することで知らぬ内にプラセボ効果を利用しているし、最終的には善悪どちらを元にしてもその行動は同一化する部分が多いのだ。
商品アピールによって本当に顧客メリットを高めることもできるし、やり方次第で詐欺にも利用できるのだろう。

話が飛躍するが、人類はオウム真理教の最終的な行いを事前に予期できなかった。
科学知識やマインドコントロール技術自体は善悪どちらに使うこともできるが、万が一悪に使われたとしても行動が同一化するために事前に見抜くことができない。

例えば会社で「社員全員参加の運動会」を行うのも、悪の目線で見れば今やブラック企業的な行いにも見えるが、善で見れば将来的に社員が成果を上げ、個人としても成長してほしいと願っているからこその施策だとも取れる。

「有効だと思わせること」は非難されがちだが、一概に悪とは言えない場合もあるのだ。


最後に少しだけお知らせさせて下さい。

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