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1分で読めるショートショート9・コンプレックスからの解放

流人は、自分の名前が嫌いだった。
なぜなら、流人という名前は、流れ者や追放者という意味があるからだ。しかし、流人は、自分の名前にふさわしくない人生を送りたいと思っていた。
だから、彼は勉強に励み、スポーツに打ち込み、友達と仲良くし、誰にでも優しく接した。その結果、流人は、自分の名前とは裏腹に、みんなに愛される存在になっていった。

高校卒業後、流人は都会の大学に進学した。
新しい生活を楽しみにしていた流人だったが、東京に着いた日に、大きなショックを受けた。なぜなら、彼が降り立った駅の名前が、自分の名前と同じ漢字を持つ流山駅だったからだ。

一瞬、彼は落ち込んだが、すぐに気を取り直した。
自分の名前と同じ駅に住むことは、偶然ではなく、運命だと思った。自分の名前と同じ駅に住むことで、自分の名前に対するコンプレックスを克服できると思った。そして同じ名前の駅に住むことを、ポジティブに捉えることにした。

流人は、同じ名前の駅に住むことを、自慢するようになった。自分の名前と同じ駅に住むことを、自分の個性や特徴として誇るようになった。そして、自分の名前を愛するようになった。

流人は、同じ名前の駅に住むことで、名前に対するコンプレックスを克服した。
流人は、自分の名前が大好きになった。なぜなら、流人という名前は、流れ者や追放者という意味ではなく、流山駅という意味だったからだ。
流人は、自分の名前にふさわしい人生を送っていた。だから自分の名前に感謝した。そして彼は、笑顔で自己紹介する。

「私の名前は、流人です。流山駅の流人です」

流山駅の名物となった。
もちろん、お気楽な人物として。

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