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№1.卒業生の声 長部知夏さん

 多様なバックグラウンドをもつ本コース卒業生へのインタビュー
 第1回は、化粧品会社勤務からキャリアチェンジをした長部さん。
 現在は、順天堂大学医学部附属 順天堂医院の言語聴覚士として、小児から成人領域まで幅広い分野で活躍されており、臨床実習の指導者として本コースにも関わってくださっています。


PROFILE

武蔵野大学 専攻科(言語聴覚士養成課程)2017年卒業(2期生)
明治大学 農学部生命科学科卒業 化粧品会社にて勤務後、本学へ入学
学校法人順天堂 順天堂大学医学部附属 順天堂医院 勤務

●現在の仕事内容

 急性期の⼤学病院で働いておりますので、患者さんの診療業務では、
嚥下障害の⽅が特に多く、失語症や⾼次脳機能障害、構音障害や認知症の⽅などの臨床も⾏っています。
 ⼩児領域については、GCUや小児病棟で嚥下障害や哺乳障害のお⼦さんに対して⾔語聴覚⼠(以下ST)への依頼があります。(GCU)は初めて知る世界で、学校で習ったときには関わることはないのかなと思っていましたけど、そんなことはありませんでした。
 それから、頭頚部がんや⾷道がん、パーキンソン病や脳腫瘍の⽅も多いです。
 その他、教育というほどでもありませんが、主任の先⽣の下に、三⼈ぐらいずつでグループがあるのですが、それ(グループ)を持ち始めました。  
 少し前までは、NST(※栄養サポートチーム)に関わっており、委員会に出たりしていました。嚥下造影検査は、リハ医の先⽣と⼀緒に⾏うなど、多職種との連携もあります。

-仕事をしていてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
 ⼤変ですが、急性期のためか患者さんの全身状態や症状の変化も早いので、すごいと感じます。患者さんが⼤きく回復したときは、もちろん⾃然回復もあると思いますが、患者さんに関わることができて、よかったと思います。

-お子さんの臨床の難しさはありますか?
 そうですね。神経疾患のお⼦さんですと、原因がわかりやすいのですが、呼吸器をつけているお⼦さんで哺乳をしていくとなると摂取するミルクの形態や乳首の大きさなど何がいいのか、すごく探り探りになります。
 退院後は、在宅の医療ケア児となるお子さんもいます。ダウン症のお⼦さんなどは、退院に向けて⾷形態を変えたり、哺乳の練習をご家族にお伝えしたりなどの関りがあります。

-頭頸部がんの患者さんはどうですか?
 最初は手術直後なので、患部の腫れがあったり、ドレーンがいっぱい入っていたりして、ちょっと圧倒されました。
 また、舌や咽頭などの残っている部分で代償的に練習していくっていうのは、すぐにはできないものなのかと思いましたが、患者さんの努力で変化されるので、それもすごいと思います。全く食べられなかったところから、自宅復帰を目指せ、その方のご希望するQOLに近づけるというのはやりがいかなと思います。

●言語聴覚士を目指したきっかけ

 もともと農学部の出⾝でして、⽣命科学科で、体の機序や細胞のことを学んでいました。肌の細胞や化粧品の成分が大学での専攻分野に関連しているかと思い化粧品会社に就職したのですが、そこで肌や化粧品の効果のことを学ぶうちに、より体に関連して専⾨的に働いていきたいと考えると医療分野が近いのかなと思うようになりました。
 化粧品の会社で接客をしていたのですが、⼈と対峙するのは、仕事として楽しいと思っていたので、医療関係の職種を探していた時に、(もともとの)専⾨領域が活かせて、⼈とコミュニケーションを取る仕事ということでSTに興味をもちました。STが話すことに加えて、⾷べる領域にも関わるというのが⾯⽩そうだなと思い、医療職を調べていく中でやってみたいと思いました。

-大学ではどんな勉強をされていたのですか?
 
学科では動物や植物の解剖生理、細胞や遺伝子などの仕組みを学び、研究室ではタンパク質やホルモンを中心に研究しました。

-理系の勉強は役立ちましたか?
そうですね。あんまりこうアレルギーではないですが、(STコースの理系の科目の授業を)聞いていて拒否反応はなかったので。

-武蔵野大学を選んだ理由は?
近くに住んでいまして(笑)。STの学科のみでなく他の学科もある大学というところに惹かれました。

●学生時代の学びについて

 子育てが落ち着いた世代の方もたくさんいらっしゃって、同年代もいてという環境でした。年齢の近い友人と一緒に検査練習しましたが、上の年齢の方も一緒に練習しましたし、皆さん結構オープンというか、お母さん方もよく声をかけてくださったので、クラスみんなで、なんかこう頑張ろうっていう雰囲気があってよかったと思います。

-実習はいかがでしたか?
 ⼤変でしたけど、臨床実習に⾏く前に、先⽣⽅や⼀期⽣の先輩⽅に、全部覚えるのではなくて、どこに書いているか分かっていて、後で調べられればいいよっていうのをどなたかから聞いていました。実習先の先生から出される課題とかは⼤変でしたけど、病院の先⽣もそんなにすぐ学生がわかると思ってらっしゃらず、調べることを促すために課題を出されていたので、そういう情報が先⽣や先輩から聞ける環境は良かったんだと思います。

-就職してから武蔵野大学での学びが役立った場面はありましたか?
 検査は練習する機会が多かったので、病院によっても違うのかもしれませんが、私は最初の職場ですぐに検査を実施させて頂くことがあったので練習しておいてよかったと感じました。
 学⽣時代、先⽣⽅が演習のテストなどもやってくださって、あの実践があってよかったと思います。同じ職場の後輩をみていると、学校によっては全然練習する機会がなかったっていう⼈もいます。検査は知っていても、就職してから内容を把握するという⼈もいるので、学校によっても、きっとやり⽅が違だろうなと思いますが、私がいたクラスはみんなで練習しようっていう雰囲気がありましたし、演習をやっていただけて有難かったなと思います。

● 言語聴覚士の仕事の魅力は?

 患者さんの変化に立ち会えることも面白いですが、お話することも食べることも、患者さんの気持ちが明るくなったり、気持ちが変化することに直結しやすいと思います。
 もちろんPT(理学療法士)のリハビリテーションで、歩くことができて、患者さんが嬉しくて泣いていることもありますが、食べられるようになってきたり、お話が通じると、患者さんもすごくやりがいを持ってくださいます。生活に必要なところに関わっている、これがSTの魅力かなと思います。

●言語聴覚士を目指している皆さんにメッセージをお願いします!

 偉そうなことは⾔えないですが…。ここ(武蔵野⼤学)での勉強は⼤変ですが、STになってから患者さんと対峙するのは楽しいのではないかと思います。これから⼊学をする⽅も、今学んでいる⽅も、きっと勉強が忙しくて、⾟くなっちゃったりする⽅も中にはいるかもしれませんが、勉強してSTになった先に患者さんと関わる楽しさが待っていると思います。大変なことも共有しつつクラスのみんなと⼀緒に学んでいけば、皆さん試験なども乗り越えられるのではないかなと思います。

ご協力をありがとうございました!