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ベルリンへやって来たら、デモに遭遇したのだけど、何かおかしい。

-2009-


南米を目指していたはずの僕が、なんの運命かベルリンへやって来てから、そろそろ1週間が経とうとしていた。
そう、グアテマラで出会ってしまった、DJ NECOことマリリンを筆頭に、なんとその時よく遊んでいた4人で、一緒にヨーロッパまで飛んで来てしまったのだ。

 勢いだった。

僕は治験で一稼ぎ!という計画も後押しして、あの時の勢いは決して誰も止められなかっただろう。


【一稼ぎから一転、大転落していく様子はこちら】



ベルリンでは、テルちゃんというアーティストの家で、みんな揃ってお世話になっていた。
みんなでマーケットへ買い出しに出かけ、グアテマラ同様、さとちゃんを筆頭にみんなでご飯を作って一緒に食べた。
夜になって、どこかで面白いパーティーがあれば踊りに出かけた。

グアテマラの田舎町から、突然ドイツの首都に来てしまって、落書きだらけの建物も、洒落たパーティーに集う人達も、道端で音楽を奏でるアーティストも、目に入るものが全部魅力的に感じた。

そんなある日、いつものように街をブラブラと散歩してると、仮装した大勢の人達と出くわした。

中世のようなドレスに身を包んで、馬車に乗って走り去って行く一団。
よくみれば、それ私服?みたいな人達がちらほら歩いてる。

どうやら、巨大なショッピングモール建設の為に、クラブや飲食店が並ぶ地域が閉鎖される事への反対デモがあるのだという。

こいつは面白い!と、僕らはそのデモの様子を見る為、彼らを追いかけて歩いた。





デモのパレードに近くに連れ、なんか変な人達がどんどん増えていく。
大きなトラックの荷台にターンテーブルとサウンドシステムを組んで、DJがプレイしてるし、デコレーションした移動式屋台を押しながら、ひたすらワインを配ってる人、楽器を奏でる人達が鎧を纏ってるグループもいる。

途中、小さな橋の上を歩いてたら、川にまでデコレーションしたボートに乗った人達で溢れてる。

周りを見渡すと、いつの間にかそんな人達が辺りにうようよいるじゃないか。



これ、デモなの。



今まで僕がイメージしてた、学ランに下駄姿で、むっつり顔で無言の座り込みをするような、もしくはプラカードに殴り書いた怖い文字を翳した、マスクにヘルメット姿の、中年サラリーマン風の人達が歩いてるような、あのデモとは全く違う!!(そんなだっけ?)




2011年の東北地震以降、日本でもデモの数が年々増えて、今じゃデモは当たり前の光景だけど、当時の僕は、デモに行ったのも初めての経験だった。
とっておきのコスチュームを着て、好きな音楽を流し、友達や家族とお酒を飲みながら歩いてるデモは、とても楽しそうで思わず行きたくなってしまうのもわかる。

みんなが行きたくなるデモを既に作り上げてるベルリンの人達は、完全にデモ慣れしてる。
怒りに任せてるだけじゃなくて、ちゃんと結果を考えて、工夫してるのだ。

デモという行為をユーモアいっぱいに表現して、まるで遊ぶように反対を表現するやり方は、日本の未来のデモ姿を彷彿させるのだった。


民衆が国の仕組みを変えるには、どうやら怒りだけじゃ難しいみたいだ。
笑える世界は、笑ってないと出来ないらしい。



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いや、これ誰かからサポートあった時ほんまにむっちゃ嬉しいんですよ!!