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「太陽の塔」と「鎌倉の大仏」はどっちがデカイか

ああ、講談師の神田伯山を思い出した。

大隈塾でやれなかったこと

学び方に「プロジェクト・ベースト・ラーニング(PBL)」というのがある。
プロジェクトを立ち上げて、その過程でいろんなことを学ぶ。
企画、運営、成果など、ほかに人間関係が一番の学びかもしれない。
大隈塾は、これをやっていた。

「オブジェクト・ベースト・ラーニング(OBL)」という学び方もある、
と昨日、「展覧会とアーカイブ」という講座で教わった。
要するに、「じーっと観る」という方法だが、
①モノに基づく学び
②学習者主体のアプローチ
ということ。

モノ=オブジェクトを読む。
観る、じゃなくて、読む。
講座では、モノの読み方(How to read an object)と書かれたシートを渡された。
内容をかいつまんでいうと、
モノ(美術作品)を観るときに、

・どれくらいの大きさか?
・どんな色か? 形は? ニオイは?
・素材はなにでできているか?
・手製か? 機械製か?
・なんのためにつくられたか?
・単一の用途か、もしくは複数の用途があるか?
・いつ、どこでつくられたか?
・誰がそれをつくったか?
・どこで見出されたか?

大隈塾ではこれに近いこと、対話型鑑賞はやっていたが、
OBLまでは手が届かなかった。

神田伯山の驚き

たしかにそうだな、と思った。
実物を見て驚くことがある。
フェルメールの絵なんて、「こんなに小さいのか?」
たとえば『真珠の首飾りの少女』は44.5cm×39cmしかない。
『真珠の首飾りの少女』は知ってても、
サイズまでは気にしていなかった。

講談師の神田伯山が、大阪の万博記念公園にいって、
修復したばかりの太陽の塔を見て、
「こんなにデカイのか!」
鎌倉の大仏ぐらいか(11m)と思っていたら、
太陽の塔は70mもあった。
その体験から、
「1970年にあの大きさの無茶なオブジェクトをつくった日本はすごい」
という感想を持った。(12/9TBSラジオ「問わず語りの神田伯山」)

いつもとは違うまなざし

OBLは、
・知識を持っていることに安住させない
(既知のものでも思考停止しない)
・自分に関係ないと思っていたモノに近づける
・未知のモノに対峙するときのガイドラインになる
・誰かが用意したストーリーから離れてダイレクトに作品を見る

それはつまり、
①知ったつもりで終わらず、モノそのものに基づく学び
②学習者=それを見る人の学び方でOK
ということ。

東京には、こうした学びのチャンスがころがっていて、
岩手にはないお得感がある。


国立新美術館 連続講座:美術館を考える 第2回「展覧会とアーカイヴ——モノをめぐる空間」 2022年12月18日(日)

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