【連載小説】聖ポトロの巡礼(第6回)

貝の月45日

45日っていうのもなんかイマイチ慣れない感じ。だいたい一月が49ガインっていう暦はどうなんだよ。死んだ人みたいじゃねぇか。

あ!もしかして四十九日っていう習慣はここから来てるとか・・・俺ももう死んだことにされちまったのかな?向こうの世界で・・・なんだかな。



最近はサリサに乗った人なんかとたまにすれ違う。こないだの日記の日から小さな集落を2つほど通り過ぎて、そこから先は農場やら牧場みたいな場所をよく見るようになった。行き交う人が増えてるってことは、いわゆる「王国」って場所ももう近いのかもしれない。

希望的観測ではあるけれど、もしかしたらもう少しで着くかもしれないと思ったら、少しは足取りも軽くなるってもんだ。



しかし、王国っていうのは一体どういう場所なんだろう。

きっと、この世界の中心というか、首都というか、とにかく大きな町なんだろう、というのが俺の想像なんだけど、ま、着いたからといって大歓迎されたり、暖かく迎えられたりっていうのは期待しないほうがいいだろう。きっと市役所に行くようなもんだ。新しい家に引越しして、住所を届け出るために市役所へ行く。でも、まぁ誰も歓迎してくれるでもなく、ただ書類にハンを押して帰ってくるだけだ。ま、そんなもんじゃないかと想像してるんだけど。



にしてもだ、ポトロだからっていろいろ優遇されてるような感じはある。最初のラピの家にしてもそうだし(ラピのじいさんは、ポトロが家に住み着くのはとても名誉なことだと言っていたな)、ドドロの実の手前の集落の、あの宿のオヤジも結構親切にしてくれたし・・・

あ、オヤジさん、俺のためにプレートを作ってくれてたんだ、忘れてた。小さな木の板に、なにやら文字が書いてあって、それがどうやら「ポトロ」って読むんだそうだ。紐がついていて、首からかけられるようになってる。こいつを首に下げて歩けば、きっと周りがチヤホヤしてくれるんだ。なるほどなるほど・・・

でもいいや、やたらめったら親切にされるのも、なんか面倒だ。



「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)