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全ての根源はメンタル、心が折れない秘訣

精神論など古いという考え方は賛成だ。水も飲まず休憩もせず根性でやりきれという私が中学時代に部活で言われたような教育は現代ではあり得ない。しかし自分が初めて挑戦する物事、慣れていない新しい環境でパフォーマンスを保つのにメンタル論なしで戦うというのはあまりに脆いのではないかというのが今回のテーマ。『何があろうと絶対に自分は折れない=やりたいことを貫いて見せる』ために何が必要か考えよう。

現在の私の戦いで言えば、①慣れない言語/文化/人種と一緒に働くまたは診療をする、②診療/手術流儀の違い、③自分の不足していた知識、技術が浮き彫りになりそれをクリアすることを前提とした上司からの高い要求、④AMG(北米出身)のドクターと比べられ、あれこれダメ出しされる毎日。これらは多くの若手が思い描く”理想”とは程遠いもので、海外で働いているなんて充実感と解放感に浸ってふんわりマイペースで進めるというのは到底できない課題である。

ではこの課題に対して我武者羅に戦え!寝る間もなく仕事しろというのはあまりに幼稚であり、それこそ古い根性論と変わらない。ここでは少し頭を使って論理的な精神論で自分を鼓舞する方法を雑草外科医なりに解説してみます。


1.戦いの動機づけを強固にする

①やる気が出ない、②やってもできる気がしないは立ち位置が大きく違います。まずは前者①、【モチベーションが湧かない】を相手にしましょう。

これに対しての答えははっきりしていて、自分の最終目的が何なのかを考えます。具体的に自分の5年後、10年後をイメージして、何をしたいかを考える。そこから逆算して自分の目の前の課題が必要であるかどうかを判定する。必要なら、やるしかないと割り切る。必要でないならやめた場合のデメリットが自分の将来に与える影響を考え、影響がないならやめてしまう。これは情報収集さえできていたら、少し考えたら分かります。将来イメージの強化が出来ている人は、次章に行きましょう。

将来イメージのが曖昧な人は、じっくり考えてみます。自分は何に興味があって、何が楽しいと思うのか。譲れないものの優先順位はどちらが上か。例えば、ほとんどの方は仕事で悩むでしょう。ある特定の職業を除いて、ほとんどの人は平日の日中大半を仕事に費やします。この仕事が苦痛、将来につながらないと考えるならば成人人生の約半分を苦痛と共に歩むことになります。それは遠慮したいところです。自分が何に達成感を感じるのか、それは学問的部分なのか、ヒトとの関りから生まれるものなのか、目に見える(例えば開発実績や利益)なのか。これをまず把握します。また仕事以外にもプライベートがあるわけで、趣味、友人や恋人、家族を過ごす時間や内容も加味して何を優先したいか=どこまで自分の労力と時間を仕事に向けられるかをはっきり定義しましょう。ここが芯になっている人は次章の折れない自分を作るにおいて絶対的に有利になります。まず自分が何をしたいのか知ることから始めましょう。

2.自己肯定感は最強の武器

動機づけが論理的になされた後は、【折れない自分を作る】に進みましょう。折れないとはどういうことか、それは一般的な想像である「変化を許容しない強情な自分を作る」とは意味が違います。私の定義では『課題を達成するためにありとあらゆる手を尽くすことを可能にするメンタルを持つ』です。核心の動機は前章で造られたとしても、その達成に必要な経路と方法、課題の数々は常に変化します。この変化に対応して課題をこなし続けるメンタルに必要なアビリティが自己肯定感です。あなたにとってその超えるべき課題は新しい壁です。人生で使ってこなかった部分の成長が必要であったり、高い壁で超えるために一層の努力が必要なことはよくあります。その過程で一番ストレスなのは、自分が慣れていない、環境が今までと違う点です。この状況は非常にメンタルに影響を与えやすい。みんな不安ですよね。孤独を感じたり、自分の無能感に浸ったり、後ろ向きの感情が出やすい。このネガティブな方向性をいなすのが自己肯定感です。自分は必ずできる、いまは思うようにいかないが、近い将来に必ず達成できると信じる能力です。日本の教育ではここが非常に弱い。周囲に合わせることを第一にした文化は、自分の目標を言いにくい、自分が努力していると周囲に知られたくない、結果が芳しくないと落ち込む。まずこの三つを逆手にとりましょう。
まず自分が必要と考えて出した結論を他人に伝える練習をして迷わない自分を作る。そこはどこでもよい。まずはTwitterでつぶやくだけでもいいし、上司や同僚に今これに挑戦しているんだよねと言うのも良い。自分が何をしているか、どこまで進んでいるか、それを方向付けて発信できる人材の自己肯定感は強い。周囲が賛同して思わぬアドバイスや材料をくれるかもしれない。迷わない自分にとって最大の敵は、周囲からの否定です。よくある話ですが、例えば医師の海外留学が良くないという人の大半は海外に留学経験のない人です。海外の手術は雑?それは海外で実際に働いたことがない人が言える内容ではありません。否定的メッセージを受け取った際は、その人の状態と助言内容が本当に自分に重要な内容か吟味して、時には斬り捨てる必要があります。最前線に進めば進むほど、妬みや嫉み、根拠のない批判はつきものです。それらに一喜一憂しないのも自己肯定感です。
次に結果の捉え方。試験合格のようなスコアで分かるものはその達成に向けて励む、ただそれだけです。でもスコアかできない信頼関係や手術の巧さといった項目は達成が判断しにくく課題として最も難しい。その際に他人と比べたり、最終アウトカムが芳しくなく凹むということはよくあります。これに関しては、周囲と比べ過ぎない、できれば気にしないが有効です。誰々がうまくやっているから自分には不要だ、又はできないと考える必要は全くないですし、自分に必要な項目は他人だどうであろうとクリアする必要があります。
また結果が満点でないことは最高だ!と考えます。ちょっと意味不明と思った方が多いでしょうが、満点の内容なんて自分に本当に必要であったかも疑わしい課題です。結果から得るものがない。でも例えば40点で返って来た課題があれば、それはまさに自分が激変するチャンスです。すべての課題をクリア出来たらあなたは今の2倍以上の成長を見込めるのですよ!(超ポジティブ)この自分のあらゆる結果にPositive feedbackを掛けられる自己肯定感は絶対にやりきる、変化に対応するためのキーの一つです。

最後に繰り返しますが、折れない自分を作るとは、自分があらゆる変化を許容しても課題をやりきる意志を持つということで、それまでの人生のやり方を曲げないとは境地がまるで違います。

雑草外科医の座右の銘

これは講演会でよく聞かれるのですが、私の座右の銘は『常時全力』です。それはやりたいことがしっかり決まっていて、そのためにクリアすべき課題と、それをやりきる自分が常にイメージされているので、日常に手を抜く理由が一切ないからです。言い方を変えればギラギラしているということになります。ギラギラしているってマイナスですか?自分の課題に中途半端に向き合うと、その成果は自分にとって100点満点の成果ではないです。手を抜いてクリアできる課題などあなたの本当の課題ではない。全力を以て必要な課題に打ち勝つ、これこそが唯一必要な要素です。

結語

ブレないメンタルを持つことはあなたにとって有益でしかない。何をしたいのか、本当にできるだろうかという迷いや不安を上手く自分で処理して、自己肯定感を作ることができればその人の本当のポテンシャルが発揮されることは間違いない。他人と比べて自己肯定感を上げ下げしない。できないこと=できれば自分のレベルがガンガン上がる!自分の一度きりの人生をどこまでやりきるかは自分の考え方次第。絶対にできると信じた者勝ち!

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