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わたしたち、喧嘩のしかたがわからない

恋人と同棲を始めて早くも3ヶ月が経とうとしている。このまえ彼が夕飯の片付けをしている後ろ姿をぼうっと眺めていたら、ついに「水回れの汚れってどのくらい気になる?」と質問をされた。しまった、これは、怒られるやつだ。私がしゅんとして答え方を迷っているところを悟り、「試しているとかじゃなくて、調整のための確認」と言い添えてくれる。

正直、私はほとんどの汚れが気にならない。だって生きるための優先度として、掃除は最もその地位が低いから。食べないと、服を着ないと、生きていけないけど、どんなに家が汚れようが生きてはいける。生ゴミが床に転がっているわけでもないし、毎週燃えるごみと燃えないごみに分別して出せるだけで、してやったりという感じなのだ。髪の毛が足に絡まるくらい、ちょっと不快なだけで生きていける。

我が家では綺麗好きの彼が自然と掃除担当になっていて、大雑把で気にならない私は、そのぶん料理とゴミ出しとリネンなどの洗濯を担っていた。一人暮らしの時から、来客時にしか掃除はしなかった。彼がなんだかんだと毎週家に来てくれたから、そのために掃除をしていただけだ。今は家が広くなりすぎて、ちょっくら掃除しようともならない。

私たちに喧嘩が生まれるとしたらここだろうなと思っていたけれど、最初のストレスが溜まり始めたのかもしれない。実は私の同棲のストレスはもう同棲の超初期で溜まっていたのだけれど、私の方は落ち着いた。彼の方はそろそろ何かが噴出してもしかたがないかなという感じ。いやいや、今日はそんな私の汚さへの耐性を披露したいわけじゃなくて、喧嘩の仕方について話したかった。

私は、喧嘩が苦手なのだ。そして彼も、喧嘩が苦手なタイプだと思う。


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