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昨夜の記憶は、白のマグナムとともに消えた

お酒で記憶をなくすタイプだ。

それも、翌朝話を聞いても思い出せない部類のやつ。忘れているというより、最初から意識が脳にブロックされているから、本人にとってはなかったことだというタチの悪い酔っ払いである。

話を聞けばだんだん思い出せる時っていうのは、翌朝の自分の前日の自分がしっかり繋がっている。同一人物であるということに安心し、時に恥入る。

けれども、昨日〇〇してたよと言われても、動画を見せられても、ラインの履歴を見ても、それが自分がやったことだとはとても信じられない時がある。

記憶がない、忘れた、というより、最初からその人間には意識がなかったというのに近い。だからもちろん思い出すということもなく、昨日の自分のやったことを一から聞かないといけないのだ。

私にはこれがよく起こる。幸いそこそこにお酒に強く、外で飲んでいたのに自宅に帰らずに潰れて道で起きたりしたことはない。

大抵はとてもハッピーになって自分の知らない私が踊っていたり、その日締め切りのレポートについて後輩にアドバイスしていたり、歩道を走りたいと言ったりするらしい。

らしいというのは全部翌日に人から聞いたことで、自分ではまだ信じられていないから。親しい友人と安心して飲んでいるときにしか起こらないけれど、彼らが嘘をつくとは思えないし(そして時々証拠もあって)結局信じざるを得なくなる。

そんな私だが、酔ってやったかやってないかが分からないということは、今までに一度もなかった。

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