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カメラを手に旅をしたら、世界が少し鮮やかに見え始めた

昨年の秋、父から古いカメラを譲ってもらいました。PanasonicのLUMIX G。2013年あたりに買ったものだと思うのですが、もっと前かもしれません。とにかく、そんな小ぶりのカメラを手に旅行をするようになって、なにげない景色の見え方が変わり始めました。

これは、初めてカメラと旅行に行ったときのエッセイです。一緒に行った子も写真を撮るタイプだったこともあり、思う存分自分の撮りたいものを撮れました。きっとそれがいいスタートだったんだと思います。すごく楽しくなってしまいました。

光の差しかた、映される色、質感。輪郭と奥行き。iPhoneで撮っていた時にも撮るのは十分楽しかったけれど、カメラがあることで断然面白くなりました。なんとなく連写していただけの写真に、ライタースクールで少しだけ学んだ構図や光の視点が加わります。なんだか自分の写真が自分のものじゃないみたいにまとまって見える。これ、すごい楽しいじゃん、ってなったのです。

旅のエッセイを書くときに元々スマホで撮った写真を入れていました。でも、カメラで撮った写真は、自分の見ていた景色を鮮やかに思い出させてくれるのです。そして、写真も主役になるんです。

この景色をどんな風に切り取ろう。この色を美しく映せるのはどこから撮った時だろう。どうしたら透明感のある仕上がりになるのだろう。試行錯誤をしながらできたものが、一つの作品として出来上がる嬉しさも感じるようになりました。

SNSで見かける素敵な写真の透明感がどうしても出せない。この瞬間、と思ったところをまだ切り取れない。そんなことを思い始める自分に気づくと、しまった、と思います。カメラって、めちゃくちゃ深い世界じゃん。今は楽しいって思って繰り返しシャッターを押せるけれど、上には上がいるってわかって落ち込んじゃうんじゃないのかな。

一丁前に余計な心配をして、それでも旅の荷物にはカメラを忍ばせます。次の旅も、カメラとともに。


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