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高校生500人に向けて「人は変わる」んだよって伝えたらめちゃくちゃ笑顔と感動をもらえた話。

ある日、うちの広報宛に、わたしの母校である高校(香川県立坂出高校)から講演をしてくれないか、と言う依頼が来ました。

なんでも、今は、「総合的な探究の時間」と言う時間があって、その時間を利用して先輩からのメッセージを伝えて欲しい、対象は1年生と2年生で総勢500名、と言うことでした。

総合的な探求の時間?そんな科目あったっけ?と検索してみたら、文部科学省に下記のようにその目的が記載されていました。

総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。

文部科学省

ええーー!!

これからの時代ますます重要な役割を果たす為の時間!!

ってことは未来ある若者にとって貴重な時間やん!!

(心の声)プレッシャー、、、なんかええこと言わんといかんやん、、、、しかも500人も!!!

さて、、何を話してあげたら良いだろう、、、?話すにしてもあまりに坂出高校生たちのことがわからなかったので、事前に、校長先生と担任の先生と打ち合わせをさせてもらうことにしました。そうすると、校長先生や担当の先生たちが感じている課題が聞けました。

  • 昔よりは真面目でやんちゃな生徒が減った印象。ガッツがない。

  • 主体的な生徒が減っている印象。

  • 苦しいことから逃げる生徒が増えた印象。

  • 公務員志望の子が多い(これ自体悪いことじゃないでしょうが、、、安定を求める志向が強いと言うことでしょう)

  • 変化の激しい社会において、自分はどのように社会と向き合っていけるか。

  • 起業の経緯、苦労、今はどのような人財が求められているか、高校の時にどのようなことをしていればよいか。

  • チャレンジすることの大切さ。困難から逃げないことの大切さ。

  • 学校の勉強がどういう場面で役に立つのかわからない。

だいたい、このような感じでした。

なるほど。
なんとなくですが、これは坂出高校に限ったことじゃなく、今の高校生全般に言えることじゃないのかな、と思いました。

「三角関数が将来何の役に立つの?」と言うような論議もありますよね。

詰め込み式の弊害と言うか、それではモチベーションが湧かないどころか、将来本当に必要になった時にまた基礎を学び直す羽目になったりします。

そうならない為には、今やってる事に意味を見出す能力が必要ですよね。
これは学生生活に限らず、豊かな人生を送る為に必要な能力だと思います。

与えられた事を無条件に覚えるだけではなく、勉強する事や社会との関わりや将来について、どう繋がっていくのか自分で考えるキッカケになってもらいたいなとも思いました。


そこで、今回、大まかに下記のような事について話しました。

・人は必ず成長する、
・目の前のこと(今は勉強)に一生懸命に取り組もう、
・世界に関心を持とう、
・チャレンジしよう、
・自分だけが良ければ良いでは社会は成り立たない、
・一緒に未来を良くしていこう、

また「人は変わる」と言うことも今回のスピーチの副題といたしました。

自分自身も常に変わろうとしています。そして、この言葉を未来を担う世代の人たちに伝えていきたい。

自分の将来にさまざまな思いを巡らす多感な世代であることを意識しつつ、今伝えたいことを全力で話しました!

後ほど、生徒さんから200近い感想が送られてきました。

結果を見ると下記の通りでした。

主要キーワード抽出して簡易解析した結果

送られてきた感想を見るまでは、「なんか知らんおっさんが長いこと話ししてキツかったなー」ぐらいに思われたんじゃないかなと不安でした。しかし、この結果を見る限り、刺さってたんじゃん!みんな素直に自分ごととして受け止めてくれたんだ!と思いました。

メモ取りながら真剣に聞いてくれてます

以下は、講演内容をもう少しご紹介します。ご関心ある方、ご覧になってくださいませ!

坂出高校(通称、サカコウ)は、元々女子校から始まった普通科の学校で、音楽科も併設されている珍しい高校です。それだからか男女比率で言えば、女性徒の方が多い印象でした。

坂出高校HP Toppage photo Galleryより抜粋

香川県立坂出高等学校
1917年(大正6年)に開校した「香川県立坂出高等女学校」を前身とし、1949年(昭和24年)に男女共学となり現在に至る。教育目標は『「高邁自主」の精神のもと、文武両道に基づく教育活動を実践し、社会の変化に柔軟に対応し主体的に行動できる心豊かでたくましい人間の育成をめざす。』。高邁自主(こうまいじしゅ)とは、高い目標を掲げ、自主・自立の精神で取り組むことを意味している。普通科のほか、県内で唯一の音楽科が設置されている。吹奏楽部と合唱部はともに全国大会の常連として知られ、全日本合唱コンクール全国大会とNHK全国学校音楽コンクール全国大会は全国最多出場を誇る。
https://www.kagawa-edu.jp/sakadh01/

なぜ起業したのか

GMOメイクショップというIT企業の社長をしています。まずは、なぜ起業したのかについてお話しします。

私は大学の専攻が工学部の電気電子情報工学科であった為、基礎的ではありますがプログラミングや電子回路設計を学び、また光ファイバーやロボットアームの実験などITど真ん中な学びを得る事ができました。私が大学生のときは、まだインターネットが広く普及する前でした。しかし専攻した環境のおかげで、私は運よくインターネットに触れる機会があり、自分でホームページを作ったりしたことを覚えています。その時に感じたのが「インターネットは伸びる、次の産業をつくる」ということです。

1994年の話ですから、みなさんはまだ生まれてない? 当時のインターネットは遅いし、スマホも当然ありません。ただ、大学で触れる機会があったことが、今思うと幸いしました。

卒業の時に「せっかくなら成長産業で」と、自然とインターネットに関連する仕事を探しました。

一方で、なくならない仕事ってあると思うんです。モノの売り買いも、その一つではないかと。商売のかたちは変われど、モノの売買は今後も続いていくビジネスです。

となると、ネットショップに行きつきますよね。ネットショップの導入や開発に取り組んでいる企業をみつけて就職し、そこで経験を積みました。つくったネットショップは100ほどになります。この経験でネットショップの現場感がわかるとともに、課題も見えてきました。その課題を解決しようと考えたのが、起業のきっかけです。

つまり、なんとなく就職して、なんとなく起業して、ではなかったです。狙いを定めて準備してきました。とはいえ、順風満帆とはいきません。起業後は3年以上、日をまたがずに帰ることはなかったですし、土日も休む間もなく働き詰めでした。

余談ですが、多くの起業家と知り合ってきましたが、成功している人は20代のときに、がむしゃらにやっていました。例外なくです。

世界を見よう

みなさんに「高校生のときにしてほしいこと」があります。

まず世界に関心を持ってほしい。自分以外の“世界”。隣の町、隣の国でもいいです。自分の中から世界を広げていってください。

自分の世界を広げるのは、若いほどやりやすいです。できなくても、知らなくても当たり前。若さゆえの特権です。

日本の人口は減る傾向にありますよね。人口が減ると経済をはじめ、さまざまなところでマイナスな影響があります。将来を不安に思うこともあるでしょう。

でも、世界を見てください。世界の人口は先日、80億人を突破しました。私が学校で学んだときの世界人口は50億人ほどです。ずっと伸びているんです。

国連 経済社会局人口課

同じく世界の経済も成長し続けています。科学の面では、論文の数が加速度的に増加しています。世界は多様な方面で発展し続けていますが、日本だけを見ていると、それが実感できない。世界に目を向けてください。

世界銀行
NISTEP

社会と私

自分の世界を広げるといっても、いきなり何でもできる人なんていません。現時点で何ができるのか。まずはできるところから始めてください。

私が起業するときも、まずはできることに取り組みました。それを積み重ねて現在の会社に至っています。これから先も、それは変わりません。一つずつ積み重ねていきます。

大事なのは、その積み重ねの過程で多くの人にお世話になっているということです。自分一人では何もできません。

「自分さえよければいい」

そう思うことがありませんか。私たちは社会の中で多くの人とかかわりながら生きています。みなさんの服も、誰かが作ったものですよね。自分さえよければいいという考えでは、社会が成り立ちません。

高校生の今はまだ、自分のことで精一杯なところもあるでしょう。でも世界を知れば、視野を広くすれば、みんなで社会をよくしていくことの大切さがわかってきます。みなさんには、そういう人になってほしいし、その気概をもって社会に出てほしい。

企業で必要とされる人

みなさんが社会に出るにあたり、企業ではどのような人が活躍しているのかが気になると思います。これはどう言う人と仕事をしたいか、と言い換えることができます。ポイントは五つです。

一つは「誠実」であること。誠実じゃないと、ビジネスはできません。人としても一番重要です。

次に「主体的」であること。言われないと動かない人はしんどいですよね。モチベートし続けると言うのも限界があります。何か問題があった時に自分ごととして取り組んでくれるような人がいるほどチームとしては助かります。

三つめは「積極的」な人。やろう!!という前向きな気持ちが大事です。消極的な人よりも、積極的な人と仕事をしたいです。

四つめは「他人を尊重」すること。ビジネスライクに人と接するよりも、相手を尊重することで、より大きな成果につながります。ビジネスに限らず、相手を尊重することは人としても大切なことです。

最後が「EQとIQのバランス」。気持ちだけ、もしくは知性だけでは不十分です。授業や部活、コミュニケーションなど、学生生活でしっかり学んでいただきたいなと思います。

将来のことを思うと、勉強なんて役に立たないと思うかもしれません。確かに社会に出ると、答えがないことばかりです。数学や物理の数理・公式を日常生活で考えることなんてそうそうないでしょう。

では、みなさんは、なぜ勉強するのでしょうか。

勉強は、ものごとを解決する基礎知識として役に立つからです。教養がないと判断が難しい局面が、社会では必ず出てきます。

大学へ行くことも、勉強をする理由の一つです。

大学へ行くことは選択肢を増やすことになります。大学では教養や専門知識が身につくだけでなく、いろいろな出会いもあります。すべてが社会に出たときの課題解決能力の基礎となります。豊かな人生の人脈形成にもなります。

創造する人と享受する人

世の中は、二種類の人に分かれます。それは社会の変化を創造する人と、その変化を享受する人に分かれます。

創造する人には、教養が必要です。先に例えで上げた「三角関数が将来何の役に立つの?」ですが、三角関数は波を扱う基礎数学です。ご存知の通り、音も色(光)も電波も全て波です。三角関数がわからないと、それらを扱い利用すること、わかりやすく言えば、スマホひとつも創り動かすことはできません。創る側に立つ場合には必要になります。使う側(=享受する側)はそんな難しいことを考える必要ないですよね。指先一つで直感的に使えます。

三角関数やスマホに限る話ではなく、科学の積み上げである現代世界では、学問は必須です。理系科目だけではなく、豊かな文化世界を創り上げる為にも文系学問も必要です。ぜひ、何らかの分野で創造する人を目指して、しっかり勉強してください。

成長のための「自分軸」

私はこういう人だから、こういうタイプだから、と自分のことを決めつけていませんか。

「人は変わる」

これをみなさんに意識していただきたいです。ただし、どう変わるかが大切です。良い方向に行くか、悪い方向に行くか。

昨日よりも今日の自分、そして10年後の自分。成長には時間がかかります。例えば10年という時間軸は誰にでも平等にありますが、その10年でどう成長するかという「自分軸」はみなさん次第です。

現在よりもどれだけ変化するか、その「変化量」を自分軸では意識してください。

そして、自分軸で意識してほしいのは、自分の価値観です。みなさんが何かをやりたいと思うのは、そこに価値があるからではないですか。社会に出ても同じ。取り組もうとすることには、自分にとって価値があるからです。職業、年収、地位など、いろいろあるでしょう。価値があると思うことを実現しないと、人は満足できません。価値観を意識しながら、自分軸を設定してください。

いきなり10年先は難しいかもしれません。だから今はまず、勉強も部活も本気でやってください。時間とともに、必ず変わっていきます。10年後の私という自分軸を見つけたら、そこに突き進んでください。

日本は恵まれている

世界の人口は80億人を超えましたが、そのうち約9億人が栄養失調というデータがあります。まわりには栄養失調の人なんていない。そう思うかもしれません。また中等教育まで義務教育として誰もが無償で受けれます。日本は恵まれています。日本に生まれた、それだけでラッキーパーソンだということです。

世界に目を向けてください。世界の状況を知れば、自分さえよければという狭い視野ではいられないはずです。勉強して、希望の大学へ行って、人生の選択肢を増やして、その先で見えてくることがあります。

私は「社会をよくしたい」という思いで起業しました。現在では約3,000億円という商品の売買が行われるEコマースのプラットフォームを提供していますが、まだまだ満足していません。社会をよくするための努力は続きます。

人は変わります。

みなさんも諦めずに努力する人でいてください。

今日はご清聴ありがとうございました。

講演を終えて

後日、坂出高校から参加した全生徒の感想文が届きました。目を通すと、自分の将来をイメージしながら聞いてくれたことが良く伝わってきて、胸が熱くなりました。

高校生ですから、自分の将来にさまざまな期待と不安を抱いているはずです。同じ高校で学んだ先輩の話が、少しでもお役に立てれば。そんな思いです。

後輩たちに素晴らしい未来を!

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