我が育ての親　細川松義

細川　松義　享年49歳
（株）細川工務店　代表取締役
　平成10年5月31日　没

俺の育ての親。
俺にとって、最初で最後のオヤジ。
尊師で心から尊敬できた人。

もう2度とこの世に出ない、ミニ田中角栄のような人だった。
俺にとって、死ぬ間際まで弱音を吐かず、常に強気で、頭の回転が早くて、ジョークが凄くて、実は照れ屋で、とにかく誰が相手でも一歩も引き下がる姿を見たことがなかった。

オヤジ。
俺はオヤジより、今じゃもう4年歳を取ったけど、やっぱりオヤジには勝てねえなあ。
でも俺は、30歳で別れたあの日と比べるとちょっとはデカくなったよ。

俺は、オヤジが志半ばで逝って叶えなかった、北九州の親分に必ずなるよ。勿論北九州の弱い人、困った人の悩みを解決できる様な。
それまで天国から見ててくれよな。

天国では子供みたいに我儘ばかり言わずに、ちょっとは人の言うこと聞いて、無茶しないでくれよな。

俺はこの手ででっかいお土産持って、必ずオヤジに逢いにいくよ。

オヤジ。
いつも寝ないで、人の為に権力や神様と喧嘩ばかりしてたなあ。
俺はやっぱりオヤジには勝てないけど、もっと大きくなるぜ。

俺はオヤジのおかげでデカくなったよ。
いつも怒られてたけど、いつも無茶で横着だった俺のために、誰が相手でも陰で喧嘩してくれてありがとな。
本当にありがとうな。
でも俺はこれくらいじゃ終わらないよ。

最近さあ。みんな、どいつもこいつも小さく見えるよ。
人間てなあ。カスみてえな奴が多いなあ。
でもそれは、オヤジみてえな凄い人の側で、毎日生きて来てたからそう見えるんだな。

オヤジ！
俺はもっとデカくなるぜ！
あの世でも「俺がこの世で一番偉いんぞ！柳原！」て、言って胸張って待ってろよ。この世にもう怖いもんなんかないよ。

俺は必ず、オヤジがあの世でもっとデカい顔ができるように、死ぬ気でこれからも生きていくからな。
夢でいいから、オヤジにもう一度逢いてえなあ。
じゃあなあ、オヤジ。
俺は必ずデカくて優しい男になるぜ！

続く。