無言の人

日々是好日ってどういう意味なのだ

無言の人

日々是好日ってどういう意味なのだ

最近の記事

人間の人間らしい話を聴く

「あのこは、私に仕事を押し付けて上司とBARに行った。それが許せないの。」 これを言ってきたのは、既婚者の女性だ。彼女はもう家庭をもっているのに職場の女が気に入らない。自分に押し付けられた仕事量と、他人の女の魅力を比べて手に入らないものをねだる。手に入れる勇気はないから、自分に愚痴る。 面白いなと思う。嫌味ではなく、人間の性がどこまでも貪欲で飽くなき嫉妬、それを話して理解してもらいたいという欲求。 人は他者をラベル付けして、同ラベルの人間には同等に居ろと命令をする。同じだ

    • そこらへんのクリエイターが貯金1000万超えた話②

      前回の記事はこちら ベアが2000円、貯金は30万程度を行ったり来たり、そんなサラリー生活2年目(24歳)に嫌気がさした自分は、このまま社会のベルトコンベアに乗せられてミンチになるのが怖くなり、知り合いの広告制作会社の社長に声をかけた。大学時代に懇意にしてもらっていた。インターンという制度で働きにも行っていたので、そこからはすんなりと転職話が進んだ。 広告の制作というと聞こえが良いが、世の8割は中小規模なので社会保証系はズタボロであることも多い。自分が入社したときには会社

      • そこらへんのクリエイターが貯金1000万超えた話①

        いつもは身近な鬱々としたnoteを書いているが、今回は実話を何回かに分けて書こうと思う。仕事は現役なのであまり周囲に迷惑がかからないように伏せたりぼかしたりするが、数字自体は事実ベースで語っていく。 まず自分は美術を独学で好きであったが、大学は普通の4年制文系をストレートで出た。ちなみに高校は都内有数の進学校であり、大学合格の知らせを学年いち早く(推薦制度だったので)職員室に入れた時は先生が溜息を漏らしていた。勉強ができるのと、好きなのは違う。 大学に入ってからデザインや

        • 薄給なもので、手を抜いている。

          自分は個人の仕事と合わせて、組織に所属している。だらだらと月日がたってしまったが、作業環境を支給されて税金を払ってもらっている、ヒモのような状態である。 自分の環境は個人事業を営むものとしてはラッキーなことで、追われる納税も、積み重なる経費も、会社に多少出資いただいているので文句は言えない。そんななか、組織の中で頼まれたくだらない仕事をこなしていたら、当括役にこのように言われた。 「もっと頑張ってくれませんか?クオリティをあげて欲しい。」 あら、すみません。とその場では言葉

        人間の人間らしい話を聴く

          僕を書いていくからこの最低な人生を見ろ

          君は誰だ。なぜここにいる。 自分は日本に生まれて、日本に育ち、いまも病原体のせいで海外旅行にも行けない人間だ。もう遠く行けないのかもしれないと思うと、日本人としてのレッテルを深く感じ、レアな人種でありガラパゴスな発達を遂げ最終的に希少種として淘汰され展示されるようなものなのかもしれない、と思っている謙虚な性質の人間だ。 先日、初めてadoを聞いた。まるで個人の気持ちを代弁しているような歌詞が世間にウケたのは、全員がそう思っているからだろう。全員が特別な人間で、周囲より賢く

          僕を書いていくからこの最低な人生を見ろ

          B子の悪い性格と悪くなった人生

          B子の話を続ける。 B子との出会いは幼稚園だった。 彼女は兄弟が上にも下にも複数人いて、地元では大家族で有名だった。彼女は末っ子のほうに近い。わがままであったし、なにかあれば兄弟を呼んで問題解決をしようとするさまはさすが末っ子、といった印象がある。 大家族は嫌いだ。幼い頃に何度かB子の家に行ったことがあるが、いつでもべちゃべちゃと音を立てて食事をしており、大皿の料理がずっと食卓にならび、半分の家族は丸々と太っていた。 兄弟を呼びつけお使いを頼んでは思春期の不機嫌を煽り、見

          B子の悪い性格と悪くなった人生

          自分は性格が悪いが、あんたも悪い。

          言わせてくれ、自分は性格が悪い。 これから書くことは、何度か続けて書こうと思っているテーマで、徐々に掘り下げていこうと思う。感想は読んだ人の手に委ねる。ただ、この文章を通して観てほしいのは性格の悪い自分の眼を通した、彼女のストーリーだ。 B子とする。 B子とはまあまあ長い付き合いだ。彼女は中年に差し掛かる歳になる。 自分の代わりはいくらでもいるような職について、職場と人間関係を悪化させて転職。今はまた、代わりがいくらでもいるような正社員の職についた。 彼女には兄弟が複数

          自分は性格が悪いが、あんたも悪い。

          他人の思想に委ねる世界は楽しいか?

          自分は人の話を黙って聞くことが多い。無言の人間である。 ただ、黙って聞いているときは相手が何を考えて表現しているのかを読み取っている時間でもある。対人コミュニケーションは人並み程度の経験しかなく、読み違えてリアクションすることもある。こちらの表情や仕草に表現されて、相手は違和感を覚えて、最終的な主張が変わってしまったこともある。それは、この協調を求める社会では間違いだと思っていた。 この会話という行動に正解はない。人間のベーシックな機能が毎日、毎時、毎秒どこかで行われていて

          他人の思想に委ねる世界は楽しいか?

          ひとに人生相談をするんじゃない。

          君の人生だ。 昨日、こんなご時世の中で友人に呼び出されて人生相談をされた。 十分に距離をとって、マスクをはずさないまま並んでベンチに腰掛ける。 「最近、終電まで残業続きで。もっと自分に向いてる仕事があるんじゃないかなって、転職を考えてる。君は独りでそういう仕事してるから、どんな感じか聞きたくって」 自分は、人生を人に偉そうに語れるほど余裕を持って生きていない。 毎日、明日はどうしよう、これをしたらこうなるかな、とか、〆切とか、渇望とか、底のない欲が頭をよぎっていくなかで

          ひとに人生相談をするんじゃない。