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B子の悪い性格と悪くなった人生

B子の話を続ける。

B子との出会いは幼稚園だった。
彼女は兄弟が上にも下にも複数人いて、地元では大家族で有名だった。彼女は末っ子のほうに近い。わがままであったし、なにかあれば兄弟を呼んで問題解決をしようとするさまはさすが末っ子、といった印象がある。

大家族は嫌いだ。幼い頃に何度かB子の家に行ったことがあるが、いつでもべちゃべちゃと音を立てて食事をしており、大皿の料理がずっと食卓にならび、半分の家族は丸々と太っていた。
兄弟を呼びつけお使いを頼んでは思春期の不機嫌を煽り、見かねた母親がでてきて雷を落とす。そんな騒がしい家庭があたりまえのようで、だれかが癇癪を起こしていてもだれも気にしない。そんな環境がB子を無神経にしているのだろうと思った。B子は同級生の言うことで、自分の快が伴わないことには従わなかった。それは家族にめんどうなお使いを頼まれたときに無視して殻にこもるようなことで、本人からすれば防衛にすぎないのだが、他人から見るとわがままに見えた。それがあたりまえのように振る舞った。体格の良いB子は幼い同級生たちには、ジャイアンに見えていた。

学校の位があがると、兄弟たちにつらなってB子も成長し、男女の性差がでてくる頃にはB子はよく友人を叩いたり蹴ったりしていた。男よりも体格がよく止められないので、手が出ることに注意する同級生はおらず、当時は皆叩かれるのが怖くて逃げて笑っていた。でも、皆とても痛そうだった。だれもB子にやめろとは言わなかった。兄弟同士でも獣のように喧嘩をしているのだな、と想像した。なにか言うと、上級生の兄弟がなにか言ってくるのではと思うし、注意して治る気性には思えなかった。B子は、力自慢のような自信をつけていた。しかし恥じらいがあるのか、皆に勧められた女相撲には出なかった。本人にしか見えていない、女のプライドだったのかもしれない。

さらに学校の位が上がると、兄弟たちに異変が起き始める。
B子の兄弟の多くは、クラスでもいじめられたり無視されたりするようなタイプになっていた。狭い家族空間を重視して過ごした彼らは、同級生とのパートナーシップを築くのにことごとく失敗した。学校からB子の兄弟が何人か居なくなっていた。B子の後ろ盾がなくなったように見えた。

B子は体格がよく、身長も高かったのでクラスで目立っていた。背の順は一番最後で、柔道部がスカウトしていた。こちらも本人にしか見えていない、女のプライドに則って断り、漫画クラブに入った。
漫画クラブには、百合漫画を倒錯しているのか、B子のことを可愛いと言う気味の悪い女の上級生が3人ほどおり、B子は絵が上手だったのでずっと漫画クラブに入り浸っていた。上級生が持ってくる漫画の感想文を、折り紙のように折った手紙に書いて交換していた。
B子は外見はジャイアン、中身は女の子同士の恋愛に浸るヒロインに育っているように見えた。

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