糸野 麦

紡ぎたいことばを、思うままに 🪡受賞歴等 https://lit.link/mugit…

糸野 麦

紡ぎたいことばを、思うままに 🪡受賞歴等 https://lit.link/mugitono

最近の記事

アンバランスの水槽

こうやってきれーに服がならんでんの見てると、ぐちゃぐちゃに壊したくなりません、と真実ちゃんは言った。私はお金を数えながら、ドアの施錠をし終わった彼女がレジのすぐ目の前で落ち着きなく身体を揺らしているのを数秒見つめる。綺麗に結われていない茶髪のツインテールの毛先は遠目に見ても傷んでいて、後れ毛らしき髪の分量は左右非対称だった。 「そうかな」 「あー、沙也香さんには分からないかな。人生のレール踏み外したことなさそうですもんね」 「そんなことは、ないけど」 そう答えながら、

    • この世界から音楽がなくなったら私は生きていけないと思う

      つい先日、「車の運転中一人でいるときに何をしているか」という話題になったとき、なにもしていない、という人が一定の割合でこの世界にいるという事を初めて知った。驚愕した、は言い過ぎかもしれないけれど、わりと驚いてしまった。だって、車の中なんて好きな音楽が聞き放題なのに、と。 代車を運転するときも無音が悲しいからわざわざラジオにするし、最新のイヤホンが出れば必ずチェックするし(高くて買えないけど)、ヒットしている曲のランキングは海外日本問わず知っておきたいし、大好きなアーティスト

      • 第1回あたらよ文学賞を振り返って

        楽しみにしていた文芸ムックあたらよが届いた。 と、同時に、公開する予定のなかった、あたらよ文学賞の落選作品を公開しようという気持ちになった。第2回に向けて少しでも参考になったらいいな、という気持ち半分、あとは自分自身の作品を振り返ることで次に繋げていけたらいいな、という気持ち半分。 あたらよ文学賞のことを知ったのは、たぶん、それこそnoteだったと思う。 もともと短い物語を書くのが好きだったこともあって、3作品も応募できるなら、まずはいちばん短い3000字くらいのものを応募

        • 物語の種が生まれる日

          これもまた昔の話になるけれど、わたしは基本的に精神が追い込まれるとたくさん文章を書く傾向がある。高3のころ、読書感想文で賞をとるぞ!と意気込んだ時も、大好きだったひとにフラれた直後だった。悔しさとか、悲しさとか、そういうのは創作のばねになりやすいんだろうなと、思う。反対に、これといった大きな不満がないような日々がつづくと、ぽっかり穴があいたみたいに、頭になにも流れてこなくなるときがある。 やばい。今なんも物語書ける気しない。 からっぽだ。 なんて思ったりする。 だから、そ

        アンバランスの水槽

          モノカキとして活動するモチベーションについて

          もうすぐモノコンが始まりますね! なんだか久しぶりに時間がゆったり取れる日々が続いているので、表題の件について自分の気持ちを整理するためにも書いてみようかなと、思います。 monogatary.comという小説サイトで物語を書いているわたしですが、もし何かの参考になれば嬉しいです…! わたしは地方の会社員のひとりなのですが、社会人になってからというもの自分の仕事を楽しいと思ったことがありません。 何かで前に話したことがあるかもしれませんが、言葉や文章を書くということが好き

          モノカキとして活動するモチベーションについて

          20代前半で2回うつになったHSP気質の繊細さんが、ほんの少しだけ生きることに疲れたなと感じるあなたに伝えたいこと。

          中学生にあがる前、ショッキングなニュースが耳に入ってきた。どうやら私の上がろうとしている中学校には、4つしか部活がないらしい。 王道の野球部。(これはまあ、分かる) ヤンチャなバスケ部。(これもまあ、分かる) 安定の吹奏楽部。(まあ、そうなるよね) 異彩を放つコンピューター部。(……なんで?) いま思えば、なにも無理に入る必要などないことくらい簡単に分かるのに、時代ならではの圧と若さとは恐ろしいもので、 「こんなかだったら憧れの先輩がいるから、バスケ部かな。仲良いともだ

          20代前半で2回うつになったHSP気質の繊細さんが、ほんの少しだけ生きることに疲れたなと感じるあなたに伝えたいこと。

          わたしが創作を続ける理由

          たしか、小学4年生の頃だったと思う。 母から、耳の垂れた犬のキャラクターともぐらが描かれたピンク色のノートをもらった。 なにがそんなに自分を高揚させたのか、今になってみると疑問でしかないのだけれど、わたしは幼ごころに思ったのだろう。 "このノートに、いっぱい物語を書こう" と。 これは後から気がついたことだが、そのキャラクターはフジテレビの公式キャラクターだった。つまりはもちろん、名前も、ちゃんとした設定もある。 けれど、そのノートに書き始めた物語は、表紙に描かれた犬

          わたしが創作を続ける理由

          空想Bath salts

          ようこそ、空想bath saltsの世界へ。 春の夜風がここちいい日 木枠の丸い窓をあけると 満点の星空が目の間に広がっていて 深い青色 キラキラとした海のような 【春風の心地いい夜のときめき price¥3,400】 秋の夕暮れどき 山の麓 黄金にそまった稲穂をながめながら 鈴虫のなきごえが聞こえて 黄緑と赤のグラデーションが美しい紅葉のような 【色づく秋と稲穂に揺られながらprice ¥3,100】 日本らしい和風の空間のなかで しとしと静かな

          空想Bath salts