マガジンのカバー画像

ダレカB

36
ダレカBの記事がまとめて読めます。
運営しているクリエイター

#Bump_Of_Chicken

カイワレ-キャッチボール/BUMP OF CHICKEN(B)

カイワレ-キャッチボール/BUMP OF CHICKEN(B)

「天然な増川とそれに振り回される藤原の図」
という言葉で表すのがとてもしっくりくる。

共にBUMPのギタリストである二人の共作で、普段から仲の良いカイワレコンビのほのぼのとした情景が安易に想像出来る小気味良いテンポのミディアム・ナンバーである。
 他人とのコミュニケーションの比喩として”言葉のキャッチボール”がよく使われるがこの楽曲も相手とのやりとりをキャッチボールを通して表現している。
 言葉

もっとみる
自分のこと-Title of mine /BUMP OF CHICKEN(B)

自分のこと-Title of mine /BUMP OF CHICKEN(B)

 イントロで2本のアルペジオがキラキラと絡み合い優しいテンポで始まるのがとても印象的な曲で、後半に進むにつれまるで苦しげに自身の内面を吐き出すかの様なボーカルに胸がギュッと締め付けられる。
 そして明るく始まる印象とは真逆の歌詞「淋しい時は寂しいと言いたい」という思いが藤原独特の言葉選びで丁寧に紡がれている。
 リリース当時のインタヴューでTitle of mineの詞に対して当初は「ゲロを書いて

もっとみる
チャマ-彼女と星の椅子/BUMP OF CHICKEN(B)

チャマ-彼女と星の椅子/BUMP OF CHICKEN(B)

 BUMP OF CHICKENベース担当のチャマこと直井由文(チャマ)の処女作。ライト・ハンド奏法を初めて取り入れた楽曲でチャマが楽曲に望むサウンドを取り入れている。
 初めてこの曲を聴いた時に感じたちょっとした違和感はこの直井ディレクションの影響nのだと納得したのを覚えている。違和感と表現したが良い意味での"歪み"を感じたとも言える。
 歌中の「彼女」とは、ステージの上でキラキラしている人達に

もっとみる
5ヶ月-ハルジオン/BUMP OF CHICKEN(B)

5ヶ月-ハルジオン/BUMP OF CHICKEN(B)

 大ヒットを記録した『天体観測』の後にリリースされたこの楽曲は、歌詞が出来上がるまでに5カ月もの時間を要したという。
 シンガーソングライターとして、言葉やフレーズが出てこない5カ月間を藤原基央はどの様な思いで過ごしたのだろうか。
 曲のタイトルでもあるハルジオン(春紫苑)は、根さえ残っていれば枯れても再び元気に芽を出すという生命力の強い花だという。
 そこから感じたのは、伝えたいという思いがしっ

もっとみる
(仮)どっこいしょ-天体観測/BUMP OF CHICKEN(B)

(仮)どっこいしょ-天体観測/BUMP OF CHICKEN(B)

 BUMP OF CHICKENの名前は知らずともこの曲を知っている人は多いであろうもはやバンドの代名詞と言っても過言ではない彼らの初ヒット曲である。
 ジュブナイル小説を思わせるストーリー仕立ての歌詞、そして疾走感と若さあふれるサウンドでこの時期の彼らの勢いを感じる事ができる。
 近年のライブでは必ずと言って良いほどセットリスト入りし、幾通りものライブバージョンがあるのもこの歌の特徴で、更にライ

もっとみる
(笑)-ラフ・メイカー/BUMP OF CHICKEN(B)

(笑)-ラフ・メイカー/BUMP OF CHICKEN(B)

 タイトルにもなっているラフ・メイカーは、「THE LIVING DEAD」に登場した悲しみに暮れる人に笑顔を届ける人物だ。

 前回「THE LIVING DEAD」では思慮深い少し控えめな行動を見せていた彼だが、今回は主人公に笑顔を届けるべく部屋に入れろと言ってみたり、泣き落としたり引いてみたり、最終的に鉄パイプを持ち出したりとあの手この手で大胆かつアグレッシブな立ち回りを見せている。

 こ

もっとみる
旅立ちの唄-ダイヤモンド/BUMP OF CHICKEN(B)

旅立ちの唄-ダイヤモンド/BUMP OF CHICKEN(B)

 BUMP OF CHICKENのメジャーデビュー曲。
 2000年に発売され、デビュー当時ならではの荒削りな演奏とボーカル藤原の少し荒い歌声がこれ以上なく歌詞と曲にガッチリと合っており、2022年になった現在も聴く度に色褪せぬ感動を与えてくれる。

 傷だらけになって進んで来た道を立ち止まり振り返って引き返す。
 一般的にネガティブな行動とも取れる「後ろを向く」事が、置いてきた自分と向き合うため

もっとみる
タイムカプセル-Ending/BUMP OF CHICKEN(B)

タイムカプセル-Ending/BUMP OF CHICKEN(B)

『THE LIVING DEAD』の終わりを告げる曲。

 相手が物語を読み終えた事を見届けたラフ・メイカーは、何かを言いかけたが思い止まり次の場所へと向かう……。

「Opening」と同じく1分と少しの短く特殊な楽曲だが、のちに2曲を合わせた1曲「プレゼント」がシングル・カップリング集『present from you』に収録される事になる。
 いや、そもそもひと繋ぎの曲であったこの楽曲を『T

もっとみる
理想と現実-グロリアスレボリューション/BUMP OF CHICKEN(B)

理想と現実-グロリアスレボリューション/BUMP OF CHICKEN(B)

若さ溢れる歌い方と聴き手の背中をグイグイと押す様なパンクサウンドが特徴的な楽曲。
 言葉とサウンドで「大丈夫だ」「大した事ない」と、少々強引にとにかく前へ進めとと押してくる。

 誰もが持つであろう「自信の無さ」を「自前の手錠」と揶揄しながら「自分で外せるのに、まだ着けてるのか、そんなもの早く捨ててしまえ」と前に進めぬ人の背中を押す。

 しかし現実に目を向けると「行け行GO!GO!」と威勢良く唄

もっとみる
認めない-Ever lasting lie/BUMP OF CHICKEN(B)

認めない-Ever lasting lie/BUMP OF CHICKEN(B)

 BUMP OF CHICKEN史上最長の8分を超えるこの楽曲では、どうにもならない運命に抗いただただお互いを信じ続けた男女二人の物語を唄っている。
 しかし、この恋人達を繋ぐものは「嘘」という「信頼」とは正反対の言葉だ。
 お互いが信じ続ける事で「嘘」は「真実」であり続ける。

 BUMP OF CHICKENの楽曲には、この「自分が認めさえしなければ絶望はやってこない」という「根拠なき自信」が

もっとみる
転機-リリィ/BUMP OF CHICKEN(B)

転機-リリィ/BUMP OF CHICKEN(B)

「バンドマンを彼氏に持つもんじゃないね」そんな言葉を吐きたくなるほど、この歌に出てくる主人公は面倒くさい。
強がりや嘘で格好付けた自分に押し潰されそうで、そんな弱音や愚痴を聞かされるなんて誰だって嫌だろう。

でもリリィは笑う。
「かわいい」と彼の全てを肯定する。
そんな彼女の存在はどれほど彼にとって救いであり衝撃的だっただろう。

Cメロで切ない別れを感じさせるが、そこでも笑顔を見せる事でその別

もっとみる
吟遊詩人-K/BUMP OF CHICKEN(B)

吟遊詩人-K/BUMP OF CHICKEN(B)

かつて「自分は童謡を書きたいのだ」とインタヴューで答えていた藤原基央だが、この曲は童謡を通り越してまるでディズニー映画を観ている様な気持ちにさせられる。

ストーリーとしてはバッドエンドなのだが、嫌忌の対象である黒猫に「聖なる夜」と名付け、彼の絵のみを描き続ける絵描きの純粋さと、その親友の絵描きのために命を賭して彼の恋人へ手紙を届ける黒猫「ホーリーナイト」の姿に種を超えた熱い友情を感じ胸が熱くなる

もっとみる
希望の唄-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(B)

希望の唄-続・くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(B)

『FLAME VEIN』に収録された「くだらない唄」の続編となる曲。
 久しぶりに故郷に戻り思い出の場所に立つと、あの頃から自分だけが変わってしまったかの様に感じる。そこで大人になってしまった事で落として来たものの重さに呆然とし、自死すら頭を過ぎるほど絶望してしまう……
 曲の後半で、そんなショッキングでセンシティブな内容の歌詞が出てくるので、ザワザワしてしまう人も多いのではないだろうか。

 け

もっとみる
羨ましい-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(B)

羨ましい-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(B)

「好きな事を職業にすると苦しい」

 スターに憧れ貧しいなか一心不乱に好きな事をやっているひと。
 好きな事が仕事になり地位と名誉を得たが、やがて義務になり周りからの期待や要望で自由が封じられがんじがらめになったひと。
 対極にいる二人がお互いに持つ感情は「羨ましい」だ。
 結局のところ、誰のため何のためではなく「好きだから、やらずにはいられないからやっている」これを思い出すだけで、どちらの立場に

もっとみる